いちばんの近道

あぁ、おいしかった
ほんとにそう思う

冷凍パンに、オリーブオイルを
うっすら、ぬり広げ
トースターに、ポトンと入れる
チッチッチッ、と
小刻みに動くタイマーが
それと同時にいれ始めたコーヒーの
ポタポタこぼれ落ちる静かな音とが
重なりあい
ワクワクしてしまう

付け合わせは
きゃべつを千切りにして
お弁当の残りの
オムレツふうをのせたサラダ。
(白身に蕾菜をまぜて焼いただけ)
最近はまっている甘酒を
ジャッと流す
ほんのり甘いだけの
頼りない味だけど
発酵食品をつかっている、という
元気のおまじない(気の持ちようともいう)を
自分にふりかけ
あぁ、おいしい、となるのだ

単純でいい

と、健康の塊みたいな生活を
送っているかといったら
そうでもなく
最近、ついつい手がのびてしまう
アルフォートを食べすぎて
(クッキーとチョコがダブルになったやつ)
右頬に、吹き出物ができたのだ
あぁ、と鏡で見つけたところで
どうしようもない
甘いものを控えよう、と
ちょっとばかり反省するだけ
でも、
いちご大福を見つけたら
立ち止まって
買ってしまうだろうし
あのたれが、たまらないのよ、な
みたらし団子と目があったら
ちょっとだけよ、と
三本入りのほうを買ってしまうだろう
あぁ、そっか
アルフォートのせいだけじゃなかった
おはぎの食べすぎもあったなぁと
白々しく、思い出す

食欲の秋ではなく、食欲の春。

おいしい時間を過ごすことが
自分を奮い立たせる
いちばんの近道なのだ。

最後までお読み頂きありがとうございます、