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コミュニティ新時代の、はじまりはじまり。

こんにちは!株式会社洒落 代表の豊田です。
2024年初の投稿は、「コミュニティ」について書きたいと思います。

私は現在、会社を経営しながら社内外を含めたいくつかのコミュニティ運営に関わっています。
特に2023年は、自社でコミュニティの運営を本格化したり、仲間と趣味のコミュニティを立ち上げたり、既存のコミュニティに「コミュニティマネージャー」として関わる機会をいただいたり・・という経験を通じ、その強さと可能性をとても感じた1年でした。

現在私が関わっているコミュニティの事例についても触れながら、記していこうと思います。


そもそも、コミュニティとはなんなのか

コミュニティとひとことに言っても、趣味のコミュニティ、近所のコミュニティ、昔の友だちコミュニティなど、いろいろあります。

広辞苑によるとコミュニティとは

コミュニティー
〘名〙(community)
1 一定の地域に居住し、共属感情を持つ人々の集団。地域社会。共同体。
2 アメリカの社会学者マキヴァー(Robert M. MacIver1882〜1970)の設定した社会集団の類型。個人を全面的に吸収する社会集団。家族・村落など

広辞苑

とのこと。
かつては、地域社会や居住地域を同じくし、利害をともにする“共同社会”のことで、複数の人が集まって形成されるものを指し、“リアル”の集まりが必須でした。

ただ、現在では言葉のもつ意味が徐々に変わってきています。
ネットが普及し、オンラインでの交流が一般的になったことをきっかけに、遠く離れた人たちの間で、趣味や志向性、目的が似ている人が集まれるようになったことが、変容を加速させました。

オンラインのコミュニティで活発な一例を挙げてみます。

  • 最新のWebツールの利用ノウハウを共有するための技術コミュニティ

  • プログラミングの勉強をスタートした人たちの学習コミュニティ

  • 好きなアーティストの推し活をする人たちで集まるファンコミュニティ

これらのコミュニティは、近くに住んでいなくとも、“共属感情”さえあればWebツールでつながることができ、そこでシームレスなやりとりができれば、リアルなコミュニティと同じような機能を果たすことができるでしょう。

否、もしかすると「近くに住む」というだけで集合するコミュニティよりも、価値観や目的意識が似ている仲間と集まることができ、その共属意識はリアルよりも強い可能性すらあります。

つまり現代のコミュニティとは「共属感情でつながる」ことであり、“一定の地域に居住し”という居住地による前提は重視されない傾向にあると考えられます。

もちろん、地域コミュニティはとても大事で「消防団」のような組織体は非常に重要な役割を果たしているし、地域づきあいを否定するものではありません

コミュニティは、働き方も変える?

こうしたコミュニティの概念は、働く場面にも影響を及ぼしはじめています。

これまで、“仕事”とは一般的に、会社員として企業に所属して働くことでした。
会社員としての働き方の先には、個人として独立したり、得意分野で副業したり、もしくは起業し会社を経営したり・・などの道があり、個人が自分の志向性によって働き方を選択してきました。

そんな働き方が、「コミュニティ」によって少しずつ変わってきているように感じています。
会社員として企業に所属すること、手に職をつけ個人事業主として独立すること、
その中間地点に“社会に対する共通の課題意識”や“類似の価値観で集合する”コミュニティが存在しうると考えます。

実例をもとに説明します。
現在、eQUALITYという複業マッチングサービスを運営するなかで、専門スキルを保有する人たちの「コミュニティ(※)」ができています。
(※正確にはプロジェクトチームですが、プロジェクトの枠を超えて付き合う仲間であります)

 eQUALITYには、本業をもちながら経験の幅を広げたい人、個人事業主としてスキルを活かしたい人などが登録しています(サービス資料より抜粋)

eQAULTIYでは、企業の課題をプロジェクト化して受託し、コミュニティのメンバーたちの集合知で解決に向け進めていきます。
ここに所属するメンバーは、本業で培ってきた専門スキルやノウハウをもち、“個人事業主”でも通用するコミュニケーション能力を保有します。

ならば、個人事業主でいいじゃないか?と思う方もいるかもしれませんが、「コミュニティ」で課題に向き合うことで、個人では到底できない規模のプロジェクトに向き合うことができます。

だったら、会社員でよくない?と思う方もいるかもしれません。
しかし、そこもちょっと違うと思うのです。
もし、あなたが会社員だった場合、所属する組織の慣習や調和、過去の事例をもとに「失敗しないように」「基本的に社内の合意形成をした上で」プロジェクトを進めていくでしょう。
eQUALITYという、企業組織の外にあるコミュニティには、そういったしがらみが一切なく、ゼロベースの仮説やアイデアから課題解決策を生み出すことができます。

また、所属するメンバーのなかには、自社のプロジェクトを進めていく以上に専門性が発揮できることにやりがいを感じるメンバーが多く、会社員と個人の“中間地点”としてコミュニティが機能していると感じているようです。

コミュニティを軸に、収益を生み出す

また、昨年立ち上げたZINE Communityでは、「本づくりをしたい」人たちが全国から集まり、自著を執筆したり、メンバー全員で一冊の本を作ったりという協働の仕方でコミュニティを運営してきました。

完全に“趣味”の集まりのように見えますが、私の目的としては
なにも持たない(と思い込んでいる)個人や地域からでも、稼げるコンテンツを生み出せる、という仮説の実証をすることでした。

私はこれまで全国さまざまな地域に関わってきましたが、その中で、
「自分なんてふつうで、なんにも特別なものはない」と発言する個人や、
「地方はお金がないから低予算でしか何もできない」という地域企業、
「情報発信の仕方が下手で観光客も獲得できない」と諦めムードの自治体
に出会ってきて、そのたび「本当に、そうなの?」と思っていました。

小さな商圏や地域内のコミュニティに依存せず、拡張して考えていくと、稼げるコンテンツって生み出せないのかな?と。

そこで、昨年の8月に愛媛県松山市でZINE Communityを発足し、キックオフを行いました。

「どんな人にも、必ず1冊は本にできるネタはある!」というのは共同主催者のまさとらんさんのお言葉

現在は全国から業種や職種、肩書きや年齢の異なる13名の仲間が参加し、楽しみながら本づくりを行っています。
昨年11月にはコミュニティ内で3冊の本を出版することができ、2023年中に即売会に4回参加しました。

私もコミュニティのメンバーに相談しながら一冊の本を書き上げることができました。いさ
これは、自分ひとりでは絶対にできなかったことです。

Web記事は死ぬほど書いてきましたが、自分の本を出版し、販売するのはやはり違いますね。

日本最大の規模を誇るコミックマーケット(コミケ)や、技術書の祭典・技術書展でブース出展した際には、自分で読者に本を販売し、“売れる”実感をもつことができました。

売れた瞬間!即売会の会場で初対面のコミュニティメンバーもいました。

おかげさまで初版・第二版ともに完売し、「0からでもコンテンツがつくれる」「コンテンツを軸に稼げる」ことが証明できました。(証明と言うには、実際にはもう少し事例が必要ですが)

ZINE communityに賛同してくれている仲間は、多様な価値観の持ち主が多く、メンバーと共に壁打ちやブレストを行うことで、これまでに思いつかなかった企画のアイデアが浮かんできます。
これらをきちんと売れるコンテンツにし、コミュニティ全体として「収益化」を図っていくことも、今年の目標の一つです。

2024年、コミュニティを軸に“仕事のあり方”が変化する

共通の目的や熱量を持つコミュニティには、コンテンツを生み出す強さがあります。

私が2023年、複数のコミュニティに関わる中で感じたのは、「仕事」や「労働」「働く」という概念からの脱却です。
いかに、気の合う仲間と繋がって、楽しめるか。
世の中のニーズにあうプロダクトやコンテンツを、仲間と協力しあってつくれるか。
コミュニティの強さは、“好き”や“一緒にいて居心地がいい”というプラスの感情にあると思います。

また、社会に対して共通の課題感を持つ個人が結びつきあえば、互いの専門スキルをぶつけ合い、高い次元での解決策を導き出すこともできます。
企業から受託してプロジェクトをこなすだけではなく、ゼロベースで「コンテンツ」を生み出し、稼いでいくことも、夢ではありません。

それを実現するには、コミュニティの存在が欠かせないのです。

ネットワークは似て非なるもの。共属感情を持って集まるのがコミュニティで、コミュニティのひとりひとりが保有する人の繋がりがネットワーク

正確性が求められる作業や労働がAIに置き変わっていく未来がすぐそこにあります。
その先にあるのは、人間が、人間らしくある証明だと思います。
生成AIが実現できない、ヒトの感情を揺さぶるコンテンツをいかに作れるかが、私たち人間に求められる使命であり、コミュニティにはその可能性があります。

もしかすると、会社員という働き方に、変化が生まれるかもしれません。
そういった意味で、2024年は、働き方を変える「コミュニティ元年」になるのではないかと思います。

ただ、課題もあります。
オンラインでのコミュニティは、住む場所も、共通言語も、見ている世界も違う人たちの集まりです。
それぞれに共通の目的や、高いプロ意識があったとしても、同じ方向を見るためのディレクションは大変です。

コミュニティとして共通の目的や意識を持って「集まった」先に目指す世界をどう作っていくか、どう進めていくか、これを2024年の1年間を通じて検証したいと思います。

また1年後、どんな未来が待っているのか。コミュニティの力で、未来は変わるのか。
私も「コミュニティの一員」として、楽しみにしたいと思います!


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