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[おぼ数]加法定理・二倍角の定理

はじめに

高校数学で覚えるのがイヤになっちゃう公式のひとつが、加法定理ではないでしょうか?わたしも高校時代に「咲いた(sin)コスモス(cos)コスモス咲いた…」「コスモスコスモス咲いた咲いた…」と呪文のようにぶつぶつ言っていたように思います。でも、いくら呪文を唱えてもテストになると「これ、sinのほうだっけ?cosのほうだっけ?」「どれは足して、どれを引くんだっけ?」と訳がわからなくなってしまった苦い記憶があります…。

このnoteでは、sinおよびcosの加法定理・二倍角の定理のうち、おぼえるべき公式を2つにしぼります。さらに、その2つの式を忘れかけたときに思い出す方法についても示してみたいと思います。これでコスモスとオサラバしましょう!

加法定理・二倍角の定理とは

まず、教科書的に6本の式を見てみましょう。見るだけで頭がガンガンするのはわたしだけではないはず…(笑)

「咲いたコスモス…」では間がプラスかマイナスか判らない加法定理の覚え方。
さらにtanの加法定理「タンタスタンタン…」を唱えはじめると本格的にヤバい目で見られる。

加法定理とは「2つの角度(ここではα、β)を足した角度の三角比を元の2つの角度の三角比で表したもの」で、二倍角の定理とは「ある角度θの三角比によってその2倍の角度(2θ)の三角比を表したもの」です。

おぼ数では、これらのうち(1)と(2)にしぼって理解するものとします!
他4本は(1)(2)を変形して作ることができるからです。

※もちろん、すべて覚えているに越したことはありませんが、記憶力には個人差や限界があります。そのような理由から、おぼ数では①まずは理解して②覚える際も優先順位をつけるという方法を提唱しています。

”差の加法定理”の作り方

順番が前後しますが、(1)(2)を頭に入れた状態を前提に(3)(4)を作るところから始めてみます。(3)(4)は左辺の角度のところが(α−β)と引き算になっているので、勝手に”差の加法定理”と呼ぶことにします。

差の加法定理は(1)(2)の β に −β を代入して作ります。
−β を代入すると、(1)(2)は次のようになります。

角度の前に付いているマイナスを勝手に三角比の符号としてつけ替えることはできませんから、ルールを確認してみましょう。

−θとは、θと同じだけ逆まわりに回転するという意味でした。また単位円上においてsinは (x座標)/(半径)、cosは (y座標)/(半径)のことでしたから、それぞれ以下のように表すことができます。

sinは逆まわりで符号が変わるけど、cosは変わらない。

つまり、次のように言うこともできます。(ヒント:上の式を代入しよう)

sin(−θ)=−sinθ
cos(−θ)=cosθ

この性質に注意しながら −β を代入した式を変形すると、”差の加法定理”の完成です!

二倍角の定理の作り方

どんどん行きましょう!二倍角の定理は加法定理のα=βバージョンだと思えばOKです。α も β も同じ θという大きさだとしましょう。そうすると以下のように式を作ることができます。

あっという間に二倍角の定理の出来上がりです。ちなみに、cosの右辺を見て似たような式を思い出しませんか?パッと出てきた人は、数学となかよく出来ているかも。三角比の変換で出てきた、次の式です。

移項した式を二倍角の定理に代入すると次のように表すこともできます。

どの三角比に変換したいかによって使い分けるべし!!

加法定理をど忘れしたら…

ここまで加法定理から”差の加法定理”、二倍角の定理を作る方法について見てきましたが、最後にそもそも加法定理をど忘れした場合について最後に考えてみましょう。

公式をど忘れした場合、定番の解決法は「具体的な数で考えること」です。
30°、60°、90°の三角比はもうバッチリでしょうか?(笑)ここは三角比の基礎なので絶対に理解しておきましょう(リクエストがあれば別noteで解説します)。

・sin30° = 1/2
・sin60° = √3/2
・sin90° = 1   ∵直線になってしまうので分母=分子

・cos30° = √3/2
・cos60° = 1/2
・cos90° = 0   ∵直線になってしまい幅がないので分子=0

大丈夫そうですか?それではど忘れしたときですが、この三角比の値を辻褄(つじつま)が合うように組み合わせられればよい訳です。登場するのは、2つの角度とsin、cosの組み合わせなので2×2=4種類。

①sin30°・cos60° = 1/4
②cos30°・sin60° = 3/4
③sin30°・sin60° = √3/4
④cos30°・cos60° = √3/4

・sin(α+β)

sin(30°+60°) = sin90°= 1 なので足し引きして 1 になる組み合わせを考える。
足し引きして1になる組み合わせは①+②なので、
sin(30°+60°) = ①(sin30°・cos60°) + ②(cos30°・sin60° )
というように加法定理をたしかめることができます。

・cos(α+β)

同様に、cos(30°+60°) = cos90°= 0 なので足し引きして 0 になる組み合わせを考える。足し引きして 0 になる組み合わせは③−④または④−③です。
正しい組み合わせは④−③なのですが、この二択から絞り込む方法は正直まだ「コスモス、コスモス、咲いた、咲いた」しか持ち合わせておりません(※アイデア募集中!)。
cos(30°+60°) =④(cos30°・cos60°) − ③(sin30°・sin60°)
と、こちらも(すこし呪文を使いましたが…)加法定理をたしかめることができました。

まとめ

いかがでしたか?このように加法定理のうち2つさえ理解できてしまえば、差の加法定理、二倍角の定理も(ちなみに三倍角も)導き出すことができます。そして、大事な加法定理自体を忘れた場合は具体例を持ち出して考えてみましょう。「コスモス、コスモス、咲いた、咲いた」を一度だけ唱えてしまいましたが、何度もつぶやく必要は無くなるんじゃないかと思います。みなさんの暗記量を多少なりとも減らせたなら幸いです!

おぼ数ではみなさんのリクエスト等を受け付けております。noteのコメント欄や弊塾Twitterまでご連絡ください。


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