eqhor music labo Tokyo

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楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ6 第2番 c-moll BWV773 ③

いよいよ本格的な夏が到来ですね。 それでは、今回もインヴェンションの第2番の分析をしてみましょう。 ●主題と対旋律のつくり 主題と対旋律の関係を見てみます。 丸で囲ったGの音、どのように感じますか? 「濁った感じ、ぶつかった感じがします…!」 そう。この音は非和声音なのです。 この拍ではF-As-Cの構成音の和声が設定されていると考えられる箇所なのですが、対旋律は構成音ではないGの音が鳴っている。Asの音と、長7度の関係です。 長7度という音程は、とても厳しくぶ

    • 楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ5 第2番 c-moll BWV773 ②

      暑い日が続きますね。 生徒「インヴェンションの分析の続き、お願いしますっ!」 それでは、今回はインヴェンションの2曲目、ハ短調BWV773をアナリーゼをしていきましょう。 ●主題のつくり1 今一度、この曲の主題について考えましょう。 この主題の和声を分析してみます。 このように、主和音(I = トニック)からIVを挟んで(V = ドミナント)に進行するシンプルな主題ですね。 注目すべきは、非和声音や、音の跳躍です。 ●主題のつくり2 主題を特徴づける部分として

      • 楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ4 第2番 c-moll BWV773 ①

        ●はじめに 夏も近づくある日。 先生「はーい」 生徒「インヴェンションの分析の続き、お願いしますっ!」 それでは、今回はインヴェンションの2曲目、ハ短調BWV773をアナリーゼをしていきましょう。 ●第2番ハ短調 Invention 2 c-mur BWV773 1番のハ長調に続き、豊かな表情を持つ、息の長い旋律が印象的な音楽ですね。 ●全体の構成 それでは早速、この曲の全体の構成を見てみましょう。 音楽全体を通して、右手(上声)と左手(下声)の主題や対旋律

        • 楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ3 第1番 C-Dur BWV772③

          前回に引き続き、インヴェンションの分析の続きです。 生徒「せんせー!」 先生「はーい。」 インベンション1番の分析を続けましょう。 「わたし、このインヴェンションを最後まで弾き終えた時…」 ●終止のこだわり1 「終止まで弾いた時、とても幸せな気持ちになるんです。」 とても美しい音楽の終わり方ですよね。 終止の直前の和声を見てみますと、シがフラットになっている…つまりヘ長調(下属調)に寄り道をしてからハ長調の完全終止になっていることがわかりますね。 バッハは

        楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ6 第2番 c-moll BWV773 ③

          楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ2 第1番 C-dur BWV772 ②

          前回に引き続き、インヴェンションの分析の続きです。 生徒「せんせー!」 先生「はーい。」 インベンションの1番、提示部の続きはどうなっているんですか? それでは今回は3小節目以降の、「推移」について考えていきましょう。 ●主題の反行 3小節目をご覧ください。 この作品の主題の形が、上下逆さまになっているのがわかります。 この作品の主題の形が、上下逆さまになっているのがわかります。 これを、音楽用語で「反行」といいます。 3、4小節目の右手のメロディーは、主

          楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ2 第1番 C-dur BWV772 ②

          楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ1 第1番 C-Dur BWV772 ①

          ●はじめに …ある日の午後。 先生「はーい」 今日はどうしましたか? 「最近、子供のころに取り組んだJ.S.バッハのインヴェンションを久しぶりに弾いてみたら…」 ほうほう。 「久しぶりに弾いてみたら、どの曲も、とてもいい作品だなぁって改めて思いました!」 なるほど、小さいころには気づかなかった魅力を再発見したわけですね。 「今まで色んな曲を弾いてきたり、色んな音楽理論を勉強してきました。そんな今の自分なら、子供の時よりもバッハを理解しながら演奏できるのでしょ

          楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ1 第1番 C-Dur BWV772 ①

          ピアノ連弾作品を作曲しよう⑦旋律と伴奏

          ●完成に向けて 来月(※記事の最後をご覧ください。)の作品の全曲初演に向けて、作曲の完成を目指す生徒さん。 おやおや、まだお悩みが尽きませんか 生徒「センセー」 メロディや伴奏は決まってきたんですが、連弾では、Primo(第1奏者=高音域パート)とSecondo(第2奏者=低音域パート)、どちらが受け持てばいいんですか?? 「なるほど。それでは実際の作品を参考にして考えてみましょうか。」 ●連弾の旋律と伴奏1 連弾では単純に考えて、4手ということで4本の手がそれぞ

          ピアノ連弾作品を作曲しよう⑦旋律と伴奏

          ピアノ連弾作品を作曲しよう⑧作曲するということ

          ●作曲をするということ この連載記事「ピアノ連弾作品を作曲しよう」では、これまで7回にわたって、作曲の考え方や書き方について学んできました。 作曲をする愉しさ、面白さを感じていただけたら嬉しいです。 歴史を振り返ると、これまで多くの素晴らしい音楽が生み出されてきましたが、作曲家は一体どのような気持ちで創作と向き合ってきたのでしょうか。 例えば、若きF.ショパンは、20歳のころ、腕試しのために欧州各国に出かけました。 しかしその間に、祖国ポーランドに革命が起きてしまい、

          ピアノ連弾作品を作曲しよう⑧作曲するということ

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!⑥転調2

          ●作曲を頑張る。 前回は、転調の方法を勉強した生徒さん。 近親調への転調を勉強しましたが、調子はいかがでしょうか。 生徒「せんせー」 先生「ホイホイ」 生徒「近親調以外に転調するにはどうすればいいですか?」 ●遠くの調 それでは、実際の作品の転調例を見てみましょう。 次の転調の例は、サン=サーンスのオーボエソナタなのですが、変ロ長調(B dur)からト長調(G dur)に転調している例です。 音源はこちら↓ (スマホの方はListen in browserをタッ

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!⑥転調2

          左手のためのピアノ組曲を書く②

          前回の記事では、左手のためのピアノ組曲を書くにあたり、組曲の「前奏曲」を書き始めました。 ではそもそも、「前奏曲」とはどのような楽曲なのでしょうか。 ●前奏曲とは 前奏曲は、かつてルネサンス期に、リュート奏者が演奏前の指慣らしと、調弦確認を兼ねて行った音出し用の即興的な演奏を起源としています。 その後、前奏曲は、規模の大きめな音楽に先立って演奏される、即興性を伴った自由な発想な性格を持つ器楽曲として確立することになります。 ●前奏曲の例 前奏曲として、まずは「前奏

          左手のためのピアノ組曲を書く②

          左手のためのピアノ組曲を書く①

          ある日、J.ブラームスは、右手を怪我してしまったクララ・シューマンのために、J.S.バッハの無伴奏バイオリンのためのパルティータ第2番(BWV1004)の、あの有名なシャコンヌを左手用に編曲しました。 音源はこちら↓ (スマホの方はListen in browserをタップしてお聴きください。) しばらく期間、両手で演奏することができなくなった、大切な人、失意のクララを励ます思いで音符を書くブラームスの気持ちを想像すると、胸が熱くなる思いがします。 ●左手のためのピア

          左手のためのピアノ組曲を書く①

          作曲のお勉強②-G.フォーレ先生に学ぶ-

          「フォーレ様式のピアノ曲を書こう!」 はじめに こんにちは。eqhor (エコール)music labo Tokyoです。 今回も、作曲のお勉強をしていきます。 どんな音楽を作曲しようかなぁ。 今回も作曲の先生を講師としてお呼びして、実際のご自身の作品を題材に、作曲の書法を教えていただくことにしましょう。 今回の先生はなんとこちら! フランスの作曲家、ガブリエル・フォーレ先生です! お忙しいところ、ありがとうございます。 先生のご経歴 先生は、19世紀後半から2

          作曲のお勉強②-G.フォーレ先生に学ぶ-

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!⑤転調1

          ●作曲を続けています。 ピアノ連弾組曲の作曲を続けている生徒さん。 生徒「うーん?」 おやおや、また少しお悩みのようですね。 「せんせー。」 「はーい。」 「先生、これ見てください!」 曲のスケッチですね。どれどれ。 音源はこちら↓ (スマホの方はListen in browserをタップしてお聴きください。) 素敵なメロディーですが、どうしましたか? 生徒「なんだか、ずっとG dur (ト長調)が続いているんです。」 ●転調をしてみたい 「そろそろ違う調に転調

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!⑤転調1

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!④旋律の流れ

          ●作曲を進めましょう。 コンサートも近くなり、作曲も急ピッチで進めている生徒さん。 「うーん。」 おやおや、難しい顔をしてしまって。また何かお悩みですか。 生徒「センセー。」 ●音楽の「流れ」 「和声の骨格に合わせてメロディーを作ってみたんですが、どうもギコチナイというか。」 どれどれ。おお。これはサラバンドという形式の音楽ですね。 音源はこちら↓ (スマホの方はListen in browserをタップしてお聴きください。) 旋律も和声も間違えはないのですが、

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!④旋律の流れ

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!③

          ●メロディーを書き進めよう ふんふーん♪うーん。 今日も作曲を頑張る生徒さん。書き進めていますね、関心関心。 でもちょっと、旋律の書き方で迷っているようです。どうしたのでしょう。 生徒「センセー。」 生徒「これ見てください。」 ●旋律の作曲 この和音の動きにメロディーをつけていますが、どうもしっくりこないのです。 小節の中の和音の動きに合わせてメロディを考えているのですが、動機の断片は思いついても、どうやって書き進めれば良いのかわかりません。 先生「では今回は

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!③

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!②

          ●伴奏を作ろう! 大切なメロディーを支える、伴奏。 伴奏一つで、旋律が際立ったり、音楽の印象をガラッと変えたりしますので、丁寧に考えていきたいところです。 でも伴奏は、どうやって考えたら良いのでしょう。 今回も先生に相談してみましょう。「センセー。」 先生「まずは、和声を分散和音にしてみましょうか。」 ●分散和音 「例えばハ長調の主和音があったとして…。」 このドミソの音を崩して分散和音にしてみましょう。 この分散和音の形を変えてみると… そう。この形は、古

          ピアノ連弾作品を作曲しよう!②