楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ4 第2番 c-moll BWV773 ①
●はじめに
夏も近づくある日。
先生「はーい」
生徒「インヴェンションの分析の続き、お願いしますっ!」
それでは、今回はインヴェンションの2曲目、ハ短調BWV773をアナリーゼをしていきましょう。
●第2番ハ短調
Invention 2 c-mur BWV773
1番のハ長調に続き、豊かな表情を持つ、息の長い旋律が印象的な音楽ですね。
●全体の構成
それでは早速、この曲の全体の構成を見てみましょう。
音楽全体を通して、右手(上声)と左手(下声)の主題や対旋律が時間差で奏でられている構造だということがわかりますね。
生徒「カノンですね!」
●カノン
カノンとは、対位法の技術の一つです。独立性を持った旋律が時間差で追いかけっこをする作曲技法です。
例えば、有名なセザール・フランクのヴァイオリンソナタの終楽章を見てみましょう。
ピアノで提示される旋律に続いて、ヴァイオリンが1小節遅れで約37小節にも渡って1オクターヴ上で完璧に模倣している音楽です。
驚くべき美しさを持つこのカノンは、作曲家の芥川也寸志が「神の成せる技」とまで評しています。
生徒「素敵な音楽ですねっ!」
●主題の提示1
さて、今回のインヴェンションのカノンを見てみましょう。
上声で提示される主題が、2小節遅れで下声で模倣されていることがわかります。
さらに、対旋律A、対旋律B…と、次々と登場する旋律が模倣されています。
生徒「主題と対旋律A、対旋律Aと対旋律Bがペアになっていますね!」
●主題の提示2
同じく、2つ目のカノンが始まる11小節目を見てみましょう。
今度は下声から主題が開始、2小節遅れで上声が模倣していきます。
●主題と対旋律の転回
主題と対旋律Aの関係を楽譜に起こしてみました。ご覧ください。
このように、上声と下声の高さを逆さにすることを転回と言います。
前半のカノンと後半のカノンを見てわかるように、バッハは主題と対旋律を逆さに(転回)してもきちんと音楽として正しく機能するように作っているんですね。
生徒「全く違うメロディなのに、上下を逆にしても成立するなんて、すごいですね!」
次回は、さらにこの曲の仕組みを掘り下げていきます。お楽しみに!
生徒「今日もありがとうございました!」
●最後に…
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