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楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ2C-Dur BWV772 ②

前回に引き続き、インヴェンションの分析の続きです。

生徒「せんせー!」

生徒「こんにちは!」

先生「はーい。」

どうも。

インベンションの1番、提示部の続きはどうなっているんですか?

それでは今回は3小節目以降の、「推移」について考えていきましょう。

●主題の反行

3小節目をご覧ください。

3-4小節目

この作品の主題の形が、上下逆さまになっているのがわかります。

主題が逆さまになっています。

この作品の主題の形が、上下逆さまになっているのがわかります。
これを、音楽用語で「反行」といいます。

3、4小節目の右手のメロディーは、主題の反行形が繰り返されているのです。
では左手はどうなっているのでしょう。

「左手も主題が変形したものなんですか?」

●主題の拡大

実は、そうなのです。

3-4小節目の左手

冒頭の主題のa1.の部分は16分音符ですが、これを倍の長さの8分音符に変えてみましょう。

左手の順次進行は、冒頭の主題a1.の部分の音価(音の長さ)をにしたものなのです。

音価が倍の長さになっています。

これを、音楽用語で「拡大」といいます。

「なるほど!反行形と拡大形に変形した主題が組み合わさって推移しているんですね。」

組み合わさったメロディーは、3から4小節目にかけて、どのように移り変わっていますか?

●反復進行

先ほどの組み合わせが、2度ずつ下行していっているのがわかります。

2度ずつ下ってきていますね。

このように、音形を変えずに音高を変えながら遷移する書法を「ゼクエンツ反復進行)」といいます。

続く、5小節目はいかがですか?

●その他の変形1

「5小節目は、左手に主題が…そして、反行、拡大した主題が組み合わさっています!」

5-6小節目

では、右手のこの部分はいかがですか?

この部分。

「えっ!ここも主題が変化したものなのですか?」

そうですね…例えばa.の部分は、このように考えてみてはいかがでしょうか。

主題の後半の動機が変化したものに見えます。

「確かに…!主題が変化したものに見えてきます。」
モチーフは、こんなに自由に変形をするんですね。

そしてその後、反行形、拡大系を用いてだんだん上昇して行って、ト長調のカデンツ完全終止となります。
この完全終止の部分(b.〜e.)はどんな造りになっていますか?

この部分です。

「え、ここも?」

●その他の変形2

はい、では次のように考えてみましょう。

主題と変形した動機の関係。

旋律の断片が、全て最初の主題が形を変えたものに見えてきますね!
さらに、左手の動きも。

こちらも主題の動機が用いられています。

すごい。こんなに動機は自由自在に形を変えて登場するんですねっ…!

「全ての音が、冒頭の主題の変形で出来上がっているんですね!」

はい、このようにバッハは「こんな組み合わせもできますよ。」「こんな展開もできますよ。」と私たちに教えて下さっているんですね。

「こういう一つ一つを意識すると、演奏も工夫できそうです。」

次回はもう一歩進んで、バッハの内面に迫っていきましょう。

今回もありがとうございました!

●最後に…

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