楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ6 第2番 c-moll BWV773 ③
いよいよ本格的な夏が到来ですね。
それでは、今回もインヴェンションの第2番の分析をしてみましょう。
●主題と対旋律のつくり
主題と対旋律の関係を見てみます。
丸で囲ったGの音、どのように感じますか?
「濁った感じ、ぶつかった感じがします…!」
そう。この音は非和声音なのです。
この拍ではF-As-Cの構成音の和声が設定されていると考えられる箇所なのですが、対旋律は構成音ではないGの音が鳴っている。Asの音と、長7度の関係です。
長7度という音程は、とても厳しくぶつかった響きのする音程関係なのです。
この非和声音はFに解決します。このような非和声音を倚音と呼びます。
「この倚音にはどんな意味があるのでしょうか??」
●非和声音の意味を考えよう
次の曲をご覧ください。ブラームスの交響曲第3番、第3楽章の旋律です。
この曲では、冒頭、チェロが主旋律を担当して、他の楽器が分散和音で伴奏を受け持っています。
丸で囲まれた部分は、非和声音「倚音」です。
「この倚音も、とても厳しくぶつかった響きがしますね!」
それでは旋律の非和声音(倚音)と和声の音程関係を見てみましょう。
aの箇所は短2度、bの箇所は長2度の音程になっています。
この2つの非和声音、それぞれどんな感じがしますでしょうか?
このブラームスの交響曲の続きを聴いてみますと、チェロの旋律に続いて、ヴァイオリンによって1オクターヴ上でメロディが引き継がれます。
cの箇所は長7度、dの箇所は短7度の音程になっています。
このような、aとcや、bとdの上下を反転させた音程の関係を転回音程と言います。
今回のそれぞれの音程は、どのような感じがしますでしょうか。
aとcの音程は胸を刺すような心の痛みのような響きを感じます。それに続き、bとdの部分は、やや痛みが和らいだような、しかし悲しみを噛み締めるような心の動きを感じます。
まるで、人の心の動きが音楽で描かれているようです。
強い痛みを伴った1度目の心の痛み。そして余韻のような痛み。
ブラームスの深い孤独感や悲しみを、私たちが追体験するかのような感覚になりますね。
今回のインヴェンション第2番の音の1つ1つの響きも大切に考えて、作曲家の気持ちを想像し、心に寄り添うような音楽を奏でたいですね!
生徒「今回もありがとうございました!」
●最後に…
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