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楽曲分析 J.S.バッハ インヴェンションのアナリーゼ5 第2番 c-moll BWV773 ②
暑い日が続きますね。
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生徒「インヴェンションの分析の続き、お願いしますっ!」
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それでは、今回はインヴェンションの2曲目、ハ短調BWV773をアナリーゼをしていきましょう。
●主題のつくり1
今一度、この曲の主題について考えましょう。
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この主題の和声を分析してみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1720404028691-L45dHGj5Y9.png?width=1200)
このように、主和音(I = トニック)からIVを挟んで(V = ドミナント)に進行するシンプルな主題ですね。
注目すべきは、非和声音や、音の跳躍です。
●主題のつくり2
主題を特徴づける部分として、まず、次の動きに注目です。
![](https://assets.st-note.com/img/1720404846300-Aq4vghMgfF.png?width=1200)
冒頭①の、CからH、そしてCに戻ってくる動き、そして②のAsからB、そしてAsに戻ってくる動きです。
このHの音やBの音を刺繍音と言います。
双方とも刺繍音ではあるのですが、何か違いがありますね。
「①は短2度下行して戻り、一方、②は長2度上行して戻ってくる刺繍音ですね!」
はい。短2度の音程の方が、不安定で緊張感があるように感じます。つまりこの冒頭は、IからIVの音に移行して少し静的になり一度安定する。その後動き出す、という作りになっているんですね。
特に次の音程を見てください。
![](https://assets.st-note.com/img/1720406518631-aln7TQ9ucn.jpg?width=1200)
主題の後半に、短調を特徴づける音程、減7度の跳躍があります。この主題の中で一番緊張感がある部分です。
「主題を前半と後半に分けて感じると良さそうですね!」
●主題のつくり3
11小節目からの、ト短調(g moll)で演奏される主題をご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1720876491078-LzrXZC3461.jpg?width=1200)
主題の終わりは、上声のFis-Gとの重なりでもわかるように、この箇所の調性であるg mollのV(ドミナント)であることがわかります。
それでは、次の場所はいかがでしょうか。
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主調であるハ短調(c moll)の主題の場所です。この箇所の調性であるc mollで終わるはずの場所ですが、対旋律の音によって、変ホ長調(Es dur)に変化しています。
「ハ短調のメロディなのに変ホ長調の和声付けになっているんですね!」
同じくハ短調で主題が演奏させる23小節目をご覧ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1720416355869-mVYJqsMDbT.png?width=1200)
主題がそのまま主調のハ短調(c moll)になっており、そのまま完全終止に至っています。
●完全終止
バッハはどんなつもりで、このような和声付けをしたのでしょうか。
主題は本来は主調で演奏されるものですが、あえてハ短調で終わることを避け、最後の最後である「完全終止」が行われる場所初めてハ短調で終止する。
これは、音楽が完全終止して流れが止まることを避け、音楽の流れが滞らないようにされているバッハの工夫なのです。
「音楽の全体の流れが考えられているんですね!!」
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生徒「今日もありがとうございました!」
●最後に…
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