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バーバリアン(2022) 一番不気味なのはキースな映画。

 海外で高評価と話題だったこちらの映画。何系ホラーなのかよく分からないまま二転三転としていくストーリー展開が面白かった。だがしかし。いくつか「?」となる部分が残ったのもまた事実。私は考察の余地を残す映画が嫌いじゃないからいつも通り考察サイトを読み漁って楽しめたけど、人によっては不完全燃焼かも。続編があってほしいなぁ。 

 この作品に興味がある方は予備知識なしで観た方が絶対良いと思うので、鑑賞したらまたここに戻ってきてください(図々しい)。どんでん返しって訳ではないんだけどね。

〈あらすじ〉

仕事の面接を受けるためデトロイトにやって来た女性テスは、ネット予約した宿泊先の民家に到着するが、そこには既にキースという男性が滞在しており、手違いでダブルブッキングされていたことが判明する。嵐の中、他に行く当ても見つからないテスは、キースとともにそこに宿泊することを決める。翌日、トイレットペーパーを探しに地下室へ下りた彼女は、そこで謎の扉を発見する。

映画.com


〈感想〉

※以下ネタバレを含みます。未鑑賞の方は閲覧注意※

 ひとまずあらすじを語らないと感想が書けないのでもう少し説明が続きます…

 テスが借りた民家に居座っているのがキースという男。ITでペニーワイズを怪演したビル・スカルスガルドが演じてるせいもあるかもしれないが、とにかく言動が不穏で怪しい。最初はワンチャン身体目的かと思いきや何かを隠しているような雰囲気もあり、地下の隠し部屋を発見して逃げ出そうとするテスをあの手この手で引き止める。なるほど監禁が趣味の変態男かと思いつつ観ていると、キースは自ら地下の様子を見に行き、そこで呆気なく謎の怪力女に惨殺されてしまう。つまりはミスリードだったというわけだ。

ビルが演じるキース

 その後話はガラリと変わり、セクハラで訴えられてピンチに陥った俳優AJの話に移る。この男があの民宿の所有者である。AJは宿泊者の荷物が置きっぱなしになっていることを不審に思い、存在すら知らなかった地下を探索しているうちに彷徨っていたテスと出くわす。同じ女に遭遇するがテスの助けにより殺されずに済む。

 ここからまた場面が展開し時は遡る。まだ綺麗で活気に溢れているデトロイトの住宅街にあの物件は存在していた。そこには一人の中年男性が住んでいたが地下からは女性の悲鳴が聞こえる…

 再びテスとAJのターンに戻る。AJは地下の奥で寝たきりの老人(上記の中年男性)に出会い、同時に大量のスナッフフィルムを発見する。この老人は数多の女性たちに乱暴して子供を産ませ、その子供も犯すというおぞましい行為を繰り返していた。そうして生まれたのがあの女だったのだ。この女は怪力を持っているが、おそらくは家から出たことのない普通の人間。母性だけが異常に発達しているので侵入者を自分の赤ちゃんだと思い込み、おっぱいを相手の口に押し込んで母乳を与えようとしたり執拗に追いかけ回してくる。

地下の女

 テスとAJは一緒に女から逃げ回るが、自分のことしか考えないどクズAJの行動によりテスは何度も死にかける。怪力女はテスのことを特に気に入っているので、自らの命も顧みずテスを守ろうとしてくれる。ここで気が付く。あれ?怪物は女じゃなくてAJの方かな?と。バーバリアンは野蛮者という意味であり、本当に野蛮なのは誰でしょうというメッセージが込められているのだろう。もちろんレイプ魔の男もまともに受けあってくれない警察も含めて。

 もっと見どころはあるんだけど、一応ここまでがざっくりあらすじ。

 さてさて。ここまで来ると疑問が湧き上がってくるのです。それは「最初この家にいたキースって本当は何者なの?」という根本的な疑問。ダブルブッキングなんていうのも怪しいし、テスが来ることを分かって待ち伏せしていたような気がする。寝ている時にうなされていたのはなぜ?どうして異様にテスに執着していたのか。彼の何らかの目的が達成できなかったとはいえ、本当に味方だったのか最後まで分からないキースという男が一番ミステリアスで不気味だった。

 何度も移る洗面台のポーチや床に置かれた電動歯ブラシの意味もよく分からなかった。

 AJは映画史上でも屈指のクズ男でその行動には呆気に取られたし、怪力女はもともとが哀しい生い立ちであることもあり、必死に赤ちゃん(テスだけど)を守ろうとする姿には切なくなってしまう。登場人物は少ないけれど斬新な設定の新感覚ホラー。もし続編があるのならレイプ魔の最盛期と、キースがあの家にたどり着くまでの模様を描いてほしいなぁ。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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