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倫理的にアウト。欲望に負けたフォアグラ天国ブダペスト🇭🇺

世界三大珍味のひとつ、フォアグラ。
世界最大のフォアグラ生産国にして、70%超えという圧倒的な消費量を誇るフランスでは、この10年間で消費量が90%以上減少している。(それでも8割超えの人が食べているらしいけど。)
というのも、育て方が可哀想過ぎる。
倫理的によろしくない。とてもよろしくない。

濃厚な旨味の塊、フォアグラ

と、頭では理解しつつ、世界No.2のフォアグラ生産国ハンガリーにはフォアグラが溢れていて、あまりにも美味しく身近なもので、葛藤しつつも結局食べてしまう。
うまい。とてもうまい。

ガチョウさん本当にありがとう、ご馳走様でございました。
そう言うわけで、せめて食事の存り方について、真剣に考えておこうと思う。


倫理とフォアグラ

鴨ざんまい

フレンチと言えば、分厚い牛フィレ肉にトロけるフォアグラと香り高いトリュフを乗せたロッシーニ!ごちそうにフォアグラは欠かせない!

そんな常識はすでに過去のもの。
フレンチの神、ポール・ボキューズ氏ですら動物福祉の観点からフォアグラの消費に反対し、クリスマスのご馳走フォアグラが、リヨンのクリスマスイベントから姿を消したのは記憶に新しい。
「フォア(肝臓)グラ(脂肪)」ならぬ植物性の「フォー(偽物)・グラ(脂肪)」が鋭意開発中で、意外に美味しいんだとか。

禁止され消え行くフォアグラ

フォアグラがここまで駆逐されることになったのはその給餌の仕方、ガバージュ(強制給餌)が問題視されてのこと。

フォアグラは、冬に脂肪を蓄えて渡り鳥となる鴨や鵞鳥の習性を利用して、チューブを口から胃に差し込んだ状態で餌をガンガン流し込み、脂肪肝になったところをいただくという、育て方を知ってしまうとどう考えても可哀想過ぎる食べ物。

一昨年にはイギリスのチャールズ国王がフォアグラ禁止を宣言しており、欧米では「フォアグラ禁止」の国の方が多くなってきた。
フカヒレやキャビアなども似たような状況(こちらは乱獲忌避)にあり、希少故に高級である食材のマーケットに大きな変化が起こっている。

アニマルウェルフェア(動物福祉)と肉食

可愛いよ、イルカは。
そして、美味しいよ。豚も、牛も、鶏も。

根底にあるのはアニマルウェルフェア、「動物にも動物らしく幸福に生きる権利がある」という思想。もっともだ。とってももっともだ。

ただ、いつも動物福祉及び倫理について考え始めると頭をかすめるのは、ドイツで見たシーシェパードのデモ。血まみれのイルカに扮して「鯨食うなら日本人が食われろや!」と叫んでいた。(これはちょっと過激すぎる例だけど😅)
その中の人を1人捕まえて、「鯨を食べてどうもすみません。でも私たちはヒゲの一本にまで感謝して使い切るよう心がけてきたと思います。それでもダメですか?」と質問してみた。
「知能が高い(ある)から」という回答が、肉食に対するベジタリアンの意見を含めると、今までで1番多かったように思う。

私たちはベジタリアンなら、ヴィーガンなら、
世界を傷つけていないのか?

虫なら、草なら、痛いのが分からないはずっていうのはちょっと違くない?と汎神論の国で生まれ育って考える。
野菜も今そこで生きているやつを「引っこ抜かれて〜、食べられて〜(byピクミン)」だし。
脱水すればするほどトマトが甘くて人間にとって美味しいものになるのは、トマトにとって本当に残酷なことではないのか?
肉にしても野菜にしても、何かを虐げて、虐げたことに後ろめたくなりつつ、だからこそ感謝を欠かさないことぐらいしか、何かを食べて生きている私にで出来ることはないのでは?と思いつつ、その中でもエシカルな食べ物を選んでいかなくてはいけないんだ、とも思う。

ただ、それもある程度恵まれた立場にあればこそ選択ができるわけで、オーガニックでエシカルなものは高い。世界中の人が平等にエシカルな選択ができるようになるのは、いつなんじゃろ?

だから選ばなくて良いとはみじんも思えないし、そういう選択が出来ない日もある自分が恥ずかしいけれど、ハレの日ぐらいはご馳走でお祝いして良いかしらとフォアグラを目の前にして考える。

フォアグラ天国ハンガリー

ピスタチオがまぶされたフォアグラのパテ

と、考えに考え、シンプルに欲望に負けた。
ハンガリーでは伝統製法であるガバージュが継続されているそう。
生産者さんが言うには、
「鳥は棘のついた魚を丸呑みできるとても丈夫な喉をしているので、チューブを入れても大丈夫」
「もともと太る習性がある鳥だから、給餌は許容範囲内」
「鳥がストレスを感じていたら、美味しいフォアグラができる訳がない」
らしい。うん……。😅

生産者さんも提供者さんも誇りを持って仕事をされている。
「最高のフォアグラを伝統的で華やかな文化と一緒に提供したい」という気持ちがとても強いということは、お店でいただくだけでも良く分かった。

日本のフォアグラの祖国!生産量世界2位のハンガリー

ユダヤレストランでいただいたフォアグラのパテ

ブダペストにはヨーロッパ最大規模のシナゴーク(ユダヤ教会)がドニー街にあるけれど、食の戒律が厳しいユダヤ人の生活にフィットしていたため、ハンガリーでのフォアグラ生産が活発になったのだとか。

フォアグラ乗せリゾット

ちなみに日本にやってくるフォアグラは、ほとんどハンガリー産で7割前後を占める。
そう、ハンガリーは日本のフォアグラと羽毛布団の故郷なのだ。
フォアグラの残りの3割の内訳は、2位がイスラエルで、フランス産は1割にも満たないんだって。

フォアグラの聖地「comme chez soi(コム シェ ソワ)」

名前はフレンチ、でもイタリアン

かれこれ15年前にはすでに大人気店だったけれど、現在も満席で断られることが多々あるイタリアン「comme chez soi」。
ホスピタリティがすご過ぎる。

サービスの前菜とバゲット

お兄さんはとてもにこやかで、非常に丁寧なサービスをしてくれるので、ちょっとした記念日にもぴったり。
軽い軽いランチでコースを頼んだ訳でも無いのに前菜をサービスしてくれた。

エビとトマトのクリームパスタ
フライパン(左奥)いっぱいの濃厚なフォアグラは
クリーミーなマッシュポテトと召し上がれ。

焼き立てをフライパンに載せてサーブされる、りんごを添えたフォアグラのポワレは、シェフ自ら取り分けてくれる。
分厚いフォアグラが2人分なのにたっぷり5枚🥹❤️
カリッと香ばしく焼き上げられた表面、舌の上でとろけるフォアグラの甘み。りんごの酸味がマッチして、ただただ至福。
フォアグラと一緒に脳みそが溶けちゃうー。
ダメだ、溶けてはいかん。心に刻み、これをなるべく人生最後のフォアグラにしよう🥹

デザートはチョコレートとシャーベット
食後酒までサービスしてくれた。

燃えるようにフォアグラを食し、ハンガリーワインを楽しんでいると、最後にチョコレートとシャーベット、レモンの食後酒までサービスしてくれた。
「日本には親戚がいるから」とお兄さん。
なんとお会計の際にはお土産にチョコレート1箱まで用意してくださっており、感激しっぱなし。

ワイン赤・白各2杯、ビールとジュース、(サービスでレモネード)
(サービスで前菜とバゲット)、パスタ、りんこソースのフォアグラ・マッシュポテト添え、(サービスでシャーベットとチョコレート)
いや、くれすぎ!!!!

イタリアンの老舗でこれだけ飲んで、こんなにもたっぷりいただいているのに2万フォリントいかないことに驚嘆😭

ハンガリーに住みたい!!!!

ホスピタリティ最高のイタリアンでブダペストの思い出を

鴨様ご馳走様でした。思い出すだけで脳が溶ろけそうです。じゃがいも様も、りんご様もぶどう様も皆様ご馳走様でした。涙ぐむほど素敵な思い出をありがとう🥹!!
どうぞ皆様も、ブダペストでは身も心もガッチリ掴まれる最高のお食事を!

comme chez soi
住所Aranykéz utca 2., Budapest 1052 Hongrie
Email: commechezsoi@gmail.hu (予約推奨)
電話: 00 36 1 318 3943
携帯電話: 06 70 250 9705
営業時間: 火曜〜土曜日 12:00-23:00


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