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【病気】入院生活、21日目。病状とベッド周りの住環境。

先週からずっと、そして来週まで雨または曇りらしい。
遅れてきた梅雨本番、といった感じだ。
せっかくの窓際なのになかなか太陽が拝めず、少々悲しい。
とはいえ、そういった感想を持てる程度にはメンタル面は余裕ができた。
看護師の方々の日々の堅実な業務、また笑顔には本当に救われている。

月が替わり病状もある程度落ち着いたので、現在の私の病状と入院生活について書こうと思う。

断っておくが、入院生活は大変なものであるし、ましてや楽しいものでは決してない。
私は私なりの生き方、メンタルの保ち方として、楽しく過ごそうと努めているだけだ。
私より重症で自由のない患者さんがたくさんいることは理解しているし、それに対し優越感などは欠片もないことは記しておく。

それを踏まえたうえで、「楽しそうに」している私を見て、こんな過ごし方もあるんだなぁ程度に思っていただければ幸いだ。

痛みとメンタルはほぼ回復

7月に入り、気づけば入院生活も丸3週間。
入院当日の状態から比べると、病状は順調に回復に向かっている。
以前の記事で書いた「地獄のシャワー」も、ようやく普通に楽しめるようになった。

熱いお湯で、強めの水流で、市販の薬用シャンプーを使い、頭皮を指でマッサージして、トリートメントして、指で髪をほぐしながらドライヤーをかけ、ブラッシングで整える。
頭を洗う当たり前の工程だが、3週間前の私にはこのすべてが苦痛でしかなかった。
ただ頭を洗えることがこんなにも幸せと感じる日が来るとは、人生わからないものである。

顔や体のほうもまだ傷や腫れは残るものの、痛みという点ではほぼ回復している。
ときどき一部がチクチクと痛むこともあるが、無視できる程度だ。
ピーク時はどうやら皮脂と水分のバランスが崩れ、頭皮と顔、首に油分がほぼない状態だったようで、寝起きの乾燥時にはヒビが入るのではないかと思うほどの感覚だった。
今は油分も戻り、肌も元気を取り戻しつつある。

また首に少し汗をかくだけで、そして服が首回りに擦れるだけで痛みを伴ったものだが、それらも落ち着いてくれた。

ただ生きているだけで痛いというのは耐えがたいもので、ここが解決したことはメンタル面でも大きい。
医療は偉大だ。

聞いていたより美味しい病院食

これまで40年間、有難いことに入院するほどの怪我や病気はしてこなかった。
それがいきなり1ヶ月超の入院である。
病気の回復のためとはいえ、日常からの隔離には覚悟と不安があった。

その中でも特に気になっていたのが、食事である。
病院食と言えば、味気ない、不味いイメージをお持ちの諸兄も多いのではなかろうか。
私自身がその一人なのだが、さて、初めての病院食はどんな味なのだろうか。

なんと驚き。
全然不味くない、むしろ美味しいじゃないか。
白米はホカホカ、主菜に小鉢、果物まで。
魚に至っては骨が全部取ってある。
さすがに少々薄味ではあるが、これで不満などあるはずが・・・あるはずが・・・
いや、量が、少ないな、これは・・・。
元々食べることが好きな私からすると、全部食べても腹5分目というところだろう。
もちろんおかわりなどできようはずもない。
それ以上何ができるわけでもないので、仕方なし、入院当初は常に腹5分目の食事で過ごすことになった。

院内にコンビニ、さらに移動売店

3日ほど過ごすと入院にも少し慣れ、色々と考える余裕が出来てきた。
ウェットティッシュなど欲しいものもいくつかあったので、院内にあるコンビニへ初めて足を運んでみたのだが、あるものが目に留まった。
ふりかけの近く、黒い塊が入った小瓶。

そう、「ごはんですよ」である。
他にも鮭フレークやなめ茸など、心強いご飯のお供たちが列を成しているではないか。
これは買うしかない。
実は元々、ふりかけはいくつか持ち込んでいた。
これにご飯のお供が加われば、食事の量はあまり変わらずとも満足感だけは底上げできるはずだ。

また病室からあまり移動できない患者用に、ワゴンでの移動売店が1日に1度回ってくるのだが、こちらのラインナップもなかなかバラエティに富んでいた。
結果、現在この状態である。

頼もしいご飯のお供戦士たち
小型冷蔵庫もある

これだけあれば、当分は毎食、どれを使うか選ぶことができる。
食事の時間が、より楽しみになった。

退屈は少しで充分だ

入院が決まってバタバタと準備をしているとき、何を持っていくべきかかなり悩んだ。
仕事用にノートPCの持ち込みが可能かは確認していたのだが、それ以外に関しては大丈夫なラインがわからない。
わからないのであれば、いっそ思い切って色々と持っていくほうが得策ではなかろうか。
最初はともかく、慣れたころに退屈になることが最も恐ろしい。

そう考えた私は、キャリーケースにあれやこれやと入るだけ物を詰め込んだ。

ノートPCと液晶タブレット、ゲーミングマウス
ノートPCでゲームする用のPS4コントローラー
Switchとポータブルモニター
メトロイドドレッドは名作

少なくともこれで、仕事と娯楽は確保できた。
今にして思えば、痛みが限界、明日から急遽入院という精神状態でよくもまぁ詰め込んだものだ。
何事においても状況を楽しもうとする意識の高さは、自信を持っていいのかもしれない。

Amazon注文に遠慮がなくなる

持ち込んだもの、コンビニ等で買えるもので、仕事と娯楽含め最低限(?)必要なものは確保できた。
しかしやはり、数日過ごしてから気付くことも多い。

まず枕。
当初、病状のせいで横になれず、リクライニングを立てたベッドに座って寝るしかなかった。
しかも痛みで後頭部を預けることはできない。
仕方なしにバスタオルを巻いて首の後ろに置くのだが、安定性は皆無だ。
どうしたものか。

考えた末、旅行用のネックピローならどうかという考えに至った。
しかし確認すると院内にはなく、当然コンビニにも売っていない。
親か友人に、見舞いがてら差し入れてもらうか・・・そう考えていたのだが、ふと気になって看護師さんに聞いてみた。
するとなんと、Amazonなどの配達は病室で受け取れるというではないか。
なんという好待遇。
であれば、ネックピローも直接受け取るとしようではないか。

本当に届いたネックピロー

勝った。
これができるのであれば、さらなる住環境の向上を視野に入れることができる。

例えば、尻。
ベッドはリクライニングできるが、その為のベッドマットは決して厚いものではない。
ベッドに腰かけてPCを使っていると、少しづつだが尻への負担が溜まっていく。
このままでは尻がカチカチになってしまう。
さて、どうしようか・・・ポチィ!!

ジェルクッション
これがないと尻の寿命が縮む

本来は消灯後は就寝すべきなのだが、前述の状態なのでまだ睡眠がどうしても浅くなってしまう。
当然、その分は昼に寝ることになるのだが、自分だけのために照明を消すことはできない。
どうしようか・・・ポチィ!!

目の疲れのケアもできる、充電式ホットアイマスク

1ヶ月超の入院、運動はできないので体は鈍ってしまう。
しかも6月中旬に入院したのに、退院は夏真っただ中だ。
確実に気温にやられる。
どうしポチィ!!

適度な運動は大事
ラジオ体操もいいぞ

病状が落ち着き、一応は横に慣れる程度には回復した。
しかしまだ耳に傷があるため、病院の硬く小さい枕ではどうしてもダメージを受けてしまう。
そもそも、硬い枕は苦手なのだはいポチィ。

大きくて柔らかい枕は安眠を運んでくれる

診察や食事、風呂予約の都合で時間を確認することが意外と多い。
スマホやPCで時間は確認できるが、やはり手元に置時計でもあったほうが便利だ。
まぁこれは本当にシンプルなもので何この時計めっちゃ可愛いんだがポチィ。

大好きなスヌーピーの置時計
:が肉球というのがエモい

こういった感じである。
心身共に健康になるためだ。
そこに遠慮など1mmもない。

入院のお供の定番

本当に有難いことに、親族や友人たちが定期的にお見舞いに来てくれる。
1時間程度の面会が可能なのだが、誰にあっても涙目になってしまうの気恥ずかしく、また嬉しくもある。
そんな友人たちからの差し入れに、このタイミングでなければ触れなかったものがいくつかあった。

本である。

PCやスマホが普及する以前、いや携帯すらない時代から、本は入院時の暇つぶしの定番だ。
自宅からも読めていなかった本を少し持ってきてはいたが、活字、しかも自分の知らない本を手にする機会はそう多くない。
読んでみるとどれも楽しく、また勉強になるものばかりだ。
せっかくなので、それらの本も紹介させていただこう。

友人の書いた本
入院中の精神状態にはとてもよく効く
実際、とてもいい内容なので買う価値は大いにある
脱出ゲームをモチーフにしたパズル本
思いのほか手強く、また最後の仕掛けとやらも気になるので
けっこう本気で取り掛かっている
友人の愛読書である詩集
初版はなんと1969年らしい
すごく想像力が磨かれる、気がする
自前で持ってきた、雑学系の本
有名な哲学や科学が嚙み砕いて書かれているので
読み終わると賢くなれる、気がする
イラスト系の実用本
1冊は自前、2冊はポチィ
入院中に勉強している

病院に恩返し

そんなこんなで、私の入院生活は思いのほか充実している。
もちろん外出はできないし、友人のSNSを見て羨ましく思うときはある。
ただ当然の話だが、私は病人なのだ。

今も痛みはなくなったが、腫れはまだ残り、症状がぶり返す可能性もしっかり残っている。
もしかしたらあの痛みが戻ってくるかもしれないという不安は常に抱えており、病床の住環境強化も心の防衛本能の一部だと思っている。
退屈になると、怖い。

それでもこうやってメンタルが元気でいられるのは、前述のような物よりもまず先に、病院の方々のお陰だ。
仕事、娯楽、買い物ができるのも、治療の甲斐あってのもの。
お医者様や看護師さんの献身には、何度お礼を言っても足りることはない。
では、自分にできることはないかと考えてみた。

そうだ、もうひとつ持ち込んだものがあるじゃないか。

バルーンアート用のエプロンバッグ
いつも現場で使っている

痛みのなくなった今なら、人前に出ることはできなくても作ることだけは可能なはずだ。
そもそも病気の影響で実に2ヶ月、バルーンアートは休止している。
私自身、仕事の観点からもリハビリを兼ねて指を動かしたい。

よし、やるか。

渾身のミスバニー
花とハートのおまけつき

・・・可愛すぎるだろう。

我ながら、いいものを作った。
担当の看護師さんに自分の仕事を明かし、バルーンアートを預けた。
お世話になってる看護師の皆さんへ、だ。

ところがこれが、私の思っていた以上に好評だったようで、ナースステーションで話題の患者になってしまったらしい。
自らやったこととはいえ少々気恥ずかしく思いつつ、それでも喜んでくれることは私自身も嬉しいので問題はない。

しかし2個も3個もはさすがに迷惑かもしれない、でも単純に数は作りたい。
週末、少し仲良くなった看護師さんとそう話していると、妙案が口をついて出てきた。
「小児科に渡せませんかね?」
自分で自分の言葉を聞いて驚いた。
そりゃいいじゃないか!

ここは地域でも大きな大学病院。
小児科にはきっと、退屈している、遊び盛りの子供たちがいる。
そんな子たちが貰ってくれるのであれば、こんなにパフォーマー冥利に尽きることはない。

看護師さんも同じように思ってくれたのか、すぐに看護師長さんへ話を繋いでくれた。
そして本日、正式に許可が下り、私のバルーンは小児科のプレイルームへ寄贈されることとなった。

嬉しい。
本当に嬉しい。
こんな状況でも誰かを笑顔にできる仕事、それができる自分に誇りを覚えた。
明日からもちょっとずつ、子供たちに笑顔をおすそ分けしていこう。

これから退院までの道のり

とまぁ自分でも驚くくらいアクティブな患者となってしまったわけだが、退院までの道のりはまだ長い。

落葉状天疱瘡の主な治療法(完治はできないが)はステロイドの大量投与なのだが、これは副作用として免疫力の著しい低下を招いてしまう。
私の入院の一番の理由はそこで、免役低下中のケアを行うため、二次感染を防ぐためである。

厄介なのはこのステロイド、病状が改善したからといってハイ終わりとできないらしい。
正しくは、病状の改善傾向が確認できてから、約4週間をかけて徐々に投与量を減らし、免役を正常な状態に持っていく、という工程になる。

先週にそのGOサインが出て、本日から実際に薬の量は減り始めた。
つまり、ここから約4週間は入院が確定しているというわけだ。
その間でもしも病状がぶり返した場合、振り出しに戻ってしまう。
それだけは絶対に嫌だ。

色々と楽しく過ごそうと努めてはいるが、それは自身のメンタルを保つためだ。
心身の回復を最優先、油断せずに、順調な回復となるよう、祈らない日はない。
明日も明後日もその翌日も、まずは心を健康に、笑顔を忘れないよう過ごしていこうと思う。

頑張れ、明日の私。

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