見出し画像

ウィズコロナ時代では何が変わるか?(3)マネジャーに求められること

前回、これからの企業のあり方で書いた通り、これからのマネジャーには、管理ではなく、1on1で気づきを促すことがより求められるようになる。

そして、この1on1では相手がどのような経験を有しているか、相手の最近の状態はどうかなど、その時の状況によって、ティーチング(自分の中にある知識などを教える)とコーチング(相手の中にあるものから気づきを引き出す)を切り替えて行わなければならない。相手に対して、より幅の広い関わりをすることが求められるということだ。

ところが、これまで指示・アドバイス、あるいは管理・評価が主な役割だったマネジャーにとって、後者のコーチングは難易度が高い。

今回は、コーチングで一番大事な”相手の話を聴く”ために必要な3つの要素に沿って、なぜ難易度が高いのか?どうすればできるようになるのか?をまとめた。

1.聴く技術

まずは、技術・スキルが必要だ。相槌を打つとか、(基本的には)途中で遮らないといった単純なことから、話の内容だけではなく相手の表情や雰囲気を感じる、その表情の変化などを相手に伝えてあげる、などの応用的なものまで、いい聴き方をするためには、いくつかの技術・スキルがある。それらを学び、知ることも必要だ。
ただし、これらは学びさえすれば知ることができるので、大きなハードルではない。


2.聴く体力

聴く技術を学び、多少できるようになると、同時にその大変さを感じるようになる。いい聴き方を続けるのは、かなりの体力を使うからだ。
しかしながら、体力を鍛えるのは時間がかかるし、これまで自分が話すことに慣れていた人ほど、聴く体力がない。結果、聴き続けることができず、自分が話してしまい、心が折れる。

加えて、この”聴く体力”ということについては、企業側の理解がまだ追いついていないのではないかとも感じる。
「1on1を導入し、管理職にコーチングの研修もやったけど、なかなか変わらない。最初は部下からのいい反応もあったけど、続いていないようだ・・・」
体力をつけるには時間がかかるので、当然こういう状況になる。でも、短期的なその状況を我慢しなければならない。
企業においてスピードは重要だし、ウィズコロナ時代にはその重要性は増す一方だと思う。でも、スピードを求めることで変化・変容を妨げることもあるのだ。諦めずに、体力をつけるための時間を与える、そのための支援を続けることが結果を左右すると思う。

このように、体力は技術よりも断然ハードルは高いが、そのことを理解して、続けるしかない。


3.聴くためのあり方(Being)

聴く技術を知り、聴く体力をつければ、相手の話を聴くスタイルにすんなり転換できる方もいると思う。
一方で、聴く技術は分かった。聴く体力をつけるために、何十時間、あるいはそれ以上に聴く場を作った。でも、何度やっても途中で話すスイッチが入って、誘導したり説得したりしてしまう。なかなか変われない。このような方も多い。
そういう方が、最後にぶつかっている大きなハードルが、聴くためのあり方(Being)だ。
実は、何事においても、一番大事なのは、何をするか(Doing)ではなく、どうあるか(Being)だ。その人の根底にあるBeingがDoingには絶対に現れる。

聴こう、聴こうと頭で思っていても、根底に相手への好奇心を持っていなければ聴き続けることはできない。特に、自分と違う考えや価値観に対して、好奇心を持てるかどうかが大事だと思う。
(例えば、自分の出世や成績など)自分への好奇心のほうが強かったり、部下に自分と同じ考えになってほしいと思っていたりすると、結局話してしまう。これらは、技術でも体力でもなく、あり方(Being)の問題だ。

あり方(Being)は体力よりもさらにハードルが高い。なぜ自分への好奇心が強いのか、そこにどんな思い込みがあるのか、など自分自身の内面を深く深く見つめ、自らを変えなければならない。その過程では、苦しい過去に向き合わなければならないことも多い。
でも、向き合い続ければ、変わることができる。コーチをつけて自分が話を聴いてもらうのもいい。変われない自分を責めるのではなく、自分で自分を受け止め、新しいあり方(Being)を探求すると、どこかで大きく変わるタイミングが来る。

その頃には、聴く体力もつき、聴く技術もより自分のものになり、これまでとは違うスタイルで相手に関わることができるはずだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?