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ウィズコロナ時代では何が変わるか?(4)これからの組織開発

今日は僕の柱の一つである組織開発について。

これまでの記事で書いた通り、これからの組織は、一言で言うと”自律分散型”に移行していく。
そうすると、組織開発の力点も当然変わっていく。これが僕の仮説だ。

では、その力点はどのように変わっていくのだろうか?

まず、これまでの組織開発で力点が置かれていたのは、対話による分断の解消という側面が大きい。

その分断は、製造ー販売ー開発といった機能間の分断もあれば、経営者ー中間管理職ー一般社員という階層間の分断もある。
小集団内では強固な関係があるが、ある小集団とある小集団というかたまりの間に大きな壁があるという構図であり、このような構図では、小集団間での対話によって壁を取り除くことが重要だ。僕自身、このような対話のファシリテーターを何度も経験しているが、痺れる場面の連続だった。
なお、このような課題が生じる背景としては、指揮命令系統を明確にすることによる計画の着実な実行、事業や機能で明確に組織を分けることによる専門性の追求などによって、競争優位の構築を図ってきたことがあげられる。

しかしながら、自律分散型に移行していくと、階層が減るとともに、機能ごとの小集団というまとまりも薄れていく。
強固な関係を持つ小集団が徐々に消え、全員が等しくばらばらで緩やかにつながっているという構図になる。

そうすると、大きな分断の解消よりも、緩やなつながりの中での求心力の醸成や心理的安全性の確保が重要になり、それらを達成するために、組織開発の力点は次のようなことに移っていく。


1.ビジョンの共創

組織のミッション(存在意義・存在目的)に共感した個人が集まったとしても、価値観は多様だし、外部環境に対する認識も一人ひとり違う。
そのような中で、自分たちのミッションを達成するために、どのようなビジョン(実現したい社会や組織の状態)を掲げるか、このような核となる部分を共創することが重要になる。

多様な人々が集まれば集まるほど、ビジョンを共創するための対話は欠かせない。お互いが見えている景色や、それぞれの価値観、感情などを共有しながら、一つのビジョンに昇華させることが、組織開発の一丁目一番地となると思う。

なお、トップがビジョンを示し浸透するのではなく、みんなで共創するというのがここでのポイントだ。


2.弱みを見せあい、Help!を出し合える文化、関係性づくり

共創したビジョンによって求心力が醸成されたとしても、一人ひとりが分散していると心理的安全性は低下してしまう。

そして、以前も書いた通り、1on1だけでは、その時間的接点の少なさから、心理的安全性は十分に担保できない。
(1on1はこれまで以上にめちゃくちゃ重要になるけれども)

では、どうすればいいか?

僕は、組織の誰にでも気軽にHelp!を出せて、誰かがそのHelpに応えるという組織のあり方を追求するというのが、有力な解になると考えている。

そして、そのために必要なのは、お互いに弱みを見せあうこと。わからないことや知らないことを隠して取り繕うのではなく、「わからないので誰か教えて!」と言い出せるようになることだ。
これは、組織の中で成功を重ねてきた人であればあるほど難しく、特に大企業で出世競争を繰り広げてきた方にとっては、大きなパラダイムシフトが必要になると思う。

そして、「今日から弱みを見せて、Helpを出してOKです!」と言っても変わらないだけに、一人ひとりがなぜ弱みを見せあえないか?から紐解き、対話を重ねていく必要がある。そうして、「弱みを見せていいんだ」「誰かが助けてくれるんだ」という状態になれば、緩いつながりでありながらも、心理的安全性の高い組織が実現できると思う。

このような弱みを見せあえる組織づくりのための対話が、これからの組織開発のもう一つの力点となるだろう。
そして、その難易度は高く、人の内面を深く理解した関わりがこれまで以上に僕たちに求められると思う。

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