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巣ごもり需要で大躍進!任天堂の最新決算まとめ
今回は、グローバルの巣ごもり需要の影響を直に受けた、任天堂の決算分析を行います。
この記事では、任天堂の決算書を見たことない方でも、任天堂の特徴がわかる「重要な数字」を用いて解説します。
今回の記事の構成
・2021年3月期 第1四半期(4-6月)決算のサマリー
・任天堂を理解する上で「重要な数字」の紹介
任天堂株式会社の2021年3月期 第1四半期決算が8/6に発表されました。
売上高は前年同期比で約2倍の3,581億円、営業利益は5倍超の1,447億円と、コロナの影響を大きくうけた結果となりました。
(任天堂株式会社「2021年3月期第1四半期 決算説明資料」2020年8月6日より抜粋)
任天堂の「重要な数字」まとめ
「任天堂」という会社と、今回の決算を理解する上で、重要な数字をまとめました。
もともと任天堂は利益率が高く、営業利益率は20%程度で推移しています。
売上高の約半分がハードウェア(ゲーム機本体)ですが、残りのほとんどがゲームソフトで、ゲームソフトも原価がほとんどかからないダウンロード版の比率が半数程度あることから、利益率が高いのも頷けます。
ただ、1Qの営業利益率はなんと40%を超えています。
(ちなみにソニーの「ゲーム&ネットワークサービス」セグメントの1Q営業利益率は20%(前年同期16%)と比べても非常に高い数字です)
ここから、任天堂の売上原価と販管費のうち、変動費的に増える費用はそこまで多くないことがわかります。
■参考(飛ばしてOK):1Qの売上原価と販管費 2,100億円のうちざっくり固定費は810億円、変動費は1,300億円?!
2020年3月期と2021年3月期の1Qの数字のみを使って、簡易的に任天堂の変動費と固定費を計算すると、固定費は約810億円、変動費は約1,300億円になります。机上の計算で、実態と結構異なる可能性がありますが、ご参考までに。
【計算例】
2020年3月期(1Q):売上高1,721億円、売上原価+販管費1,446億円
2021年3月期(1Q):売上高3,581億円、売上原価+販管費2,133億円
2020年3月期(1Q)の変動費=(2,133億円-1,446億円)÷(3,581億円÷1,721億円-1)=635億円
2020年3月期(1Q)の固定費=1,446億円-635億円=811億円
(2021年3月期(1Q)の固定費も同額)
2021年3月期(1Q)の変動費=635億円×(3,581億円÷1,721億円)=1,321億円
また、広告宣伝費はむしろ減少していることから、検索や広告以外からの流入での購入が多かったと推測できます。
(任天堂株式会社「2021年3月期第1四半期 決算説明資料」2020年8月6日より抜粋)
最大の閑散期である1Qに年間予算の40%を稼ぐ
左のグラフは、売上高・営業利益の季節要因を、右のグラフは、年間営業利益の、四半期別構成比率を示しています。
毎年、Black Fridayからクリスマスのある第3四半期(10‐12月)に最大の商戦を迎え、年間の利益の50-60%をこの3ヵ月で稼いでいるため、まるで心電図のように、第3四半期の売上高が異常に高くなっています。
一方、第1四半期(4-6月)は最大の閑散期で、通常は年間利益の10%程度しか稼いでいません。
つまり、今年は最大の閑散期である1Qに年間予算の40%を稼いだことがわかります。
デジタル売上高が加速。BSは盤石
1Qの任天堂の海外売上高比率は76%ありますが、これは従前とそこまで変わりません。コロナ禍でも、全世界的に販売数を伸ばしたことがわかります。
デジタル売上高とは、ゲームソフトのダウンロード版や「Nintendo Switch Online」という、サブスクリプションモデルのサービスの売上高で構成されています。
外出しなくても、ダウンロード版を購入でき、サブスクリプションに加入することで、世界中のプレイヤーとオンラインプレイをすることができる点で、外出が制限されているあらゆる人々のニーズをかなえてくれています。
「Nintendo Switch Online」は、2019年12月末時点で、約1,500万人の有料会員がおり、コロナ禍でその数はさらに大きく増加していると思われます。
月300円程度なので単純計算で月50-60億円程度の売上がありそうです。
(ちなみに、ソニーの「PlayStation®Plus」は、2020年6月末時点で4,500万人います、、月に850円なので、単純計算で月に380億円程度の売上がサブスクリプションであります。。。)
任天堂のBSの特徴は、とにかくキャッシュリッチであること。
外部からの借入はなく、年間の売上高の70%程度のキャッシュを保有しています。
現預金以外の資産も、有価証券等が多く、工場や多くのゲームソフトを有しているにもかかわらず、有形固定資産や無形固定資産(ソフトウェアなど)の比率は非常に低い数字です。
Nintendo Switchの新規購入者の半分は「あつ森」目的の衝撃
今期の売上を牽引したといってもいいのが『あつまれ どうぶつの森』です。
(任天堂株式会社「2021年3月期第1四半期 決算説明資料」2020年8月6日より抜粋)
このゲームをきっかけにNintendo Switchを遊ばれたお客様の数は2020年4⽉から6⽉の第1四半期中も増え続け、この期間中に初めてプレイされたNintendo Switchファミリー本体のうち、初⽇に『あつまれ どうぶつの森』が遊ばれた本体の数は全体の半数以上に上りました。
⾃社ソフトウェア全体のセルスルー(⽇⽶欧合算)も、2020年4⽉から6⽉の実績は前年同期を⼤きく上回りましたが、そのうちの4割以上を『あつまれ どうぶつの森』が占めています。
(「決算説明資料(ノート付)」より抜粋)
決算説明資料に記載のとおり、「あつ森」単体でも自社ソフトの小売店販売の4割以上を占め、さらに1Q期間中にNintendo Switchを購入した人の半数以上が、初日に「あつ森」をプレイしていることから、ハードウェアの売上にも大きく貢献したことがうかがえます。
発売から3ヵ月程度で累計販売台数は2,240万本に達し、このままいくと、最も売り上げたタイトルになりそうです。
Nintendo Switch自体の累計販売台数が6,144万台のため、ゲーム機を持っている人の約36%がすでにこのソフトを持っていることになります。
(任天堂株式会社「2021年3月期第1四半期 決算説明資料」2020年8月6日より抜粋)
ちなみに、ソニーの第1四半期は、ソフトウェアこそ前年同期比対比で1.8倍と大きく増加したものの、ハードウェアは前年同期比で減少しています。これは、今年の最大商戦に合わせて「PlayStation®5」の発売を予定しているためでしょう。
(「ソニー株式会社 2021年3月期 第1四半期決算短信」より抜粋)
まだまだ先の見えない状況が続きますが、世界のコンソールゲーム業界を牽引する日本のトップ企業が、ストレスフルな生活にポジティブな影響を与えくれていると思うととても嬉しくなりました。
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