なのはな

映画と舞台と読書

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舞台「千と千尋の神隠し」

待望の再演とはまさにこのこと! 初演は環奈ちゃんで観たので、どうしても今回は萌音ちゃんで観たくて観劇。 もうもはや何が素晴らしかった、どれが素晴らしかったなんて言うまでもなくただただ至福の時間だった。 ただ…今回演出変わった? カオナシの演出は初演の方がよかったなぁと思うなど。ダンサブルなカオナシをもう一度観たい

    • COME FROM AWAY

      ずっと、ずっと生で観たかった!!! 派手な美術や照明に頼らずとも、本当に練り込まれた作品。 日本ミュージカル界のアベンジャーズとも言える豪華キャストによる最高のパフォーマンス 。「思わず立ち上がっちゃう」スタンディングオベーションをしたのは久しぶりだ。 最高だった!

      • 「WITHOUT YOU」

        初めてIMMシアターに行ってきて、観劇したのは1人ミュージカル「WITHOUT YOU」 大ヒットミュージカル『RENT』でマーク役を務めたアンソニー・ラップによる自伝的ミュージカル。 てっきり、「WITHOUT YOU」が指すのは彼の人生を変えたジョナサン・ラーソンかと思いきや、それだけではない。彼の人生におけるWITHOUT YOUは、彼を支えた母親も指していた。亡き母親に向けて愛を叫ぶ歌は、思わず胸を打たれた。 「WITHOUT YOU」は、彼の母にも向けられたダブ

        • テラヤマキャバレー

          ※この記事は、劇中の台詞を一部引用しています。ネタバレ注意。 舞台は、寺山修司の死の前夜。 彼の仲間が集まるキャバレーでリハーサルを始めようとしたところに死神が迎えにくる。 死神を感動させることを条件にわずかな猶予を得た寺山は、過去へ・未来へ飛び回る。 演劇への愛に満ちた作品だった。 彼の創造に最大限のリスペクトを込め、寺山が死と向き合うさまが演劇と向き合うさまとリンクした。 近松門左衛門が存在する過去に行って感銘を受け、私たちが生きる現代(未来)を訪れ絶望を覚えた寺山。

        舞台「千と千尋の神隠し」

          ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険」

          とんでもなかった。 とんでもないものを観てしまった。 これは、帝国劇場で上演すべきグランドミュージカルだ。 オリジナル作品で、大掛かりで、日本的な作品。これを上演までこぎつけたクリエイティブおよびキャストに拍手喝采である。そして積極的に火を使った演出にも感嘆した。そりゃ調整に時間がいるわよ…。 スピードワゴンがストーリーテラーの役割を果たし、ラップで物語るさまは「ハミルトン」みを感じる。 あとなんてったって、宮野真守。前列は彼のファンで埋め尽くされ、劇場にいた誰の期待をも

          ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険」

          「オデッサ」

          観劇!!! 3人の登場人物に字幕。字幕も4人の出演者なんじゃないかってくらい趣向が凝らされていた。存在感が抜群で、1時間45分の3人芝居になくてはならなかった。 そして役者御三方、ハイスペックすぎる。まさか柿澤さんも英語が喋れたなんて。 ミステリーを使った人間ドラマ、言い得て妙です。

          「オデッサ」

          人生で一番感動した邦題『あのこと』

          “2023年映画館はじめ“にして、もう2023年ベストムービーが出てしまったような気分。 『あのこと』 中絶が違法だった1960年代のフランスで、望まない妊娠をしてしまった大学生のアンヌが、自らの願う未来を叶えるために、独りで葛藤する物語だ。ヴェネチア国際映画祭で最高賞を受賞した本作を鑑賞した。 まず、度肝を抜かれたのは音の使い方だ。BGMは最小限にしており、劇的な演出もなく、物語は淡々と進んでいく。 この映画が静かであることの意味が、まさか、アンヌが流産した瞬間ートイ

          人生で一番感動した邦題『あのこと』

          全女子救済物語『もっと超越したところへ。』

          ※ゴリゴリにネタバレしていくので、鑑賞後に読んで共感していただけたら嬉しいです※ 根本宗子さん脚本・山岸聖太さん監督作『もっと超越したところへ。』を観てきた。 「お米」を共通点に、前田敦子、趣里、伊藤万理華、黒川芽衣それぞれの物語が始まる。 一度関係を持っただけで突如男を飼うことになってしまった者があれば、ゲイの彼とひとつ屋根の下で共同生活をする者も。一見普通のギャル男と付き合っている者もいて、しまいにはプライドの塊のような常連男をお店で相手する者も… とにかく、女たち

          全女子救済物語『もっと超越したところへ。』

          彼女の視点と僕の視点-『僕の狂ったフェミ彼女』を読んで

          今年の初め、ある本がツイッターで話題になっていた。 表紙の上部には『僕の狂ったフェミ彼女』。韓国で大ヒットした本で、映画化とドラマ化が決まった作品らしい。日本では今年3月に初版が発売されたとのことだから、私がツイッターで見つけたときはまだ発売されてすぐのことだったのだろう。タイトルを見た瞬間「私のことじゃん」と直感し、なんとも興味をそそられるネーミングに興奮したのを覚えている。それから半年。ようやく購入し、即読了した。 ずっと忘れられなかった元カノと4年ぶりの再会、その「彼

          彼女の視点と僕の視点-『僕の狂ったフェミ彼女』を読んで

          フェミニズムの視点をもつこと

          フェミニストとして書き、訳し、出版する 登壇者 小澤身和子さん(翻訳家) 松田青子さん(作家、翻訳家) 松尾亜紀子さん(エトセトラブックス代表・編集者) フリアナ・ブリティカ・アルサテさん(CGS研究員・翻訳家) ※以下の内容は筆者個人の見解です。登壇者の発言に関しては、筆者自身のメモをまとめたものなので、正確な意図を汲み取れていない場合がございます。 3/12(土)、ICUジェンダー研究センター主催の、オンラインイベントに参加した。フェミニズムと本を書くこと、

          フェミニズムの視点をもつこと

          『すばらしき世界』というタイトルの映画を観て現代の残酷さを実感する皮肉

          「多様性を認める社会」なんてのは建前だ。この社会の前提は「不寛容」なのだ。 本作は、「寛容されない側」で生きてきた1人の男が、人の助けを借り足掻きながら、なんとか「寛容される側」にしがみつく物語である。 人生の大半を刑務所で過ごした男・三上が刑期満了で出所した。4歳から児童養護施設で育ち、裏社会で生き、人を殺した。少年院も合わせ、人生の半分以上を刑務所で過ごしていた。 この社会で生き難いほどの素直さゆえに突如沸点に達し暴発する狂気。普段は温和で優しいから余計、この相対す

          『すばらしき世界』というタイトルの映画を観て現代の残酷さを実感する皮肉

          配信と有客上演の両立の難しさよ『ジャージー・ボーイズ・イン・コンサート』

          「観劇って嗜むものじゃん、そうだわ忘れてた」社会人になってから何かとガツガツしていた私は、こんな当たり前の認識をすっかり何処かへ放り投げてしまっていた。この認識を思い出させてくれたのは、紛れもなく帝国劇場に訪れていたレディたちである。色鮮やかなワンピースで身を包み、開演前の優雅な時間を過ごす彼女たちと、「勉強のために舞台を見続けなければならない」と身のこなしも気にせず(Tシャツジーパン)(おい)、血眼になって劇場に訪れた瑞穂らしい自分とのあまりの違いになんか泣いてしまった。

          配信と有客上演の両立の難しさよ『ジャージー・ボーイズ・イン・コンサート』

          映画『劇場』に正面から殴られた話

          「演劇でできることってなんだろうってずっと考えてた。そしたら全部だったよ。  演劇でできることは現実でもできる。だから演劇がある限り絶望することはないんだ。」 だから永君は、今も生きて、書き続けているんだ。 1%でもあり得たかもしれない沙希ちゃんとの未来を演劇に託して。 「いつまでもつだろうか」 今にもバランスを崩して谷底に落ちてしまいそうな、綱渡りをするように生きる永君。不器用で実力もないのに、プライドだけが高い演劇の道を夢見る青年。 そんな彼が出会い恋をしたのは、同

          映画『劇場』に正面から殴られた話

          【感想】 野田秀樹『赤鬼』

          キャスト&スタッフ作・演出:野田秀樹 赤鬼:森田真和 あの女:夏子 トンビ:木山廉彬 ミズカネ:河内大和 感想開場 シアターイーストの客席は、足音がよく響く。 コツコツ、バタバタ、ダッダッ 劇場中央の四角い舞台の四辺を囲うように並べられた客席。 客席と舞台の間には、透明なシートで隔てられていた。 コツコツ、バタバタ、ダッダッ どこで見ようか、舞台に何が置いてあるのか。 客席の足音は絶えない。 開場してどれくらい時が経っただろうか。 透明なシートの内側から真

          【感想】 野田秀樹『赤鬼』

          【感想】ミュージカル『王様と私』

          先日、2018年にロンドン・ウェストエンドで上演された『The King and I 王様と私』の映像化作品を鑑賞しました。 2015年にニューヨーク・ブロードウェイにて公演の幕を開け、その年のトニー賞で9部門ノミネート、うちリバイバル作品賞含め4部門での受賞を果たしたミュージカル『The King and I 王様と私』。日本を代表する俳優・渡辺謙さんが主演のシャム王役として出演し、トニー賞主演男優賞にノミネートされたことでも話題になりましたよね。 その後本作は、201

          【感想】ミュージカル『王様と私』

          【感想】ミュージカル『生きる』

          日本映画の巨匠・黒澤明の代表作『生きる』を、日本を代表する演劇人とブロードウェイクリエイターで舞台化されたミュージカル『生きる』。 今秋の再演に先駆けて、先日WOWOWで初演(2018年)が放送されていたので、鑑賞しました。 キャスト鹿賀丈史verで鑑賞したので、その際のメインキャストを掲載します。 渡辺勘治…鹿賀丈史 渡辺光男…市原隼人 小説家…新納慎也 小田切とよ…唯月ふうか 渡辺一枝…May’n 助役…山西惇 クリエイター陣 作曲・編曲:ジェイソン・

          【感想】ミュージカル『生きる』