ひまみみ 耳鼻科 前田陽平

大阪大学。耳鼻咽喉科専門医・指導医・医学博士。アレルギー学会認定専門医・指導医。

ひまみみ 耳鼻科 前田陽平

大阪大学。耳鼻咽喉科専門医・指導医・医学博士。アレルギー学会認定専門医・指導医。

最近の記事

2021年イグノーベル賞「性行為におけるオーガズムは点鼻薬と同程度に鼻閉を改善する」について考察してみました

今年のイグ・ノーベル賞(医学賞)は「性行為におけるオーガズムは点鼻薬と同程度に鼻閉を改善する」でした。その論文を読んでみましたので、その感想・考察を述べてみます。 最初に、論文の内容を紹介します。 論文Can Sex Improve Nasal Function?-An Exploration of the Link Between Sex and Nasal Function Olcay Cem Bulut, Dare Oladokun, Burkard M Lipp

    • 頭頸部がんって知ってますか?#deleteCリレー連載 (6/8)

      みなさんこんにちは。耳鼻咽喉科医の前田陽平と申します。「ひまみみ(@ent_univ_)」という名前でTwitterをしています。 いきなりですが、耳鼻咽喉科もがんの診療を行っていることをご存知ですか? 耳鼻咽喉科で扱うがんを「頭頸部がん」といいます。 耳鼻咽喉科医の中には頭頸部がんの診療を専門とする、「頭頸部がん専門医」も数多くいます。 耳鼻咽喉科医として「頭頸部がん」について少し紹介させていただきますと、たとえば上咽頭がん・中咽頭がん・下咽頭がん・喉頭がん・舌がん・

      • 血液一滴で癌の診断ができる??本当にいいのでしょうか?その検査。

        いまだに日本人の死因の第一位は「がん」です。(1) 癌について血液一滴で癌だとわかるという検査があれば、これはすごくいい検査だと思いますよね? 実際、どうなのかということをちょっと考えてみましょう。 血液一滴で癌の診断をする、、その実際の精度で考えてみるたとえば、癌の患者さんの85%が陽性、健康な患者さんの85%は陰性となる検査だとしましょう。 これ、実際に市販されているもののカタログと同じ精度です。 結構よさそうですよね? 実際の癌の罹患率は10万人あたりで、男

        • においがわからない、、というときに。最新の治療:嗅覚刺激療法とは?

          においがわからない、という話。 いまは新型コロナの件で話題ですが、、。 実は普段から耳鼻咽喉科ではこういう患者さんがよく来院されます。 においがわからない、というのは実はかなり困る動物だとほかの感覚(視力など)が弱いことも多いために、においをかぐ能力が発達しているという話は聞いたことがあるのではないでしょうか。 実は人間でもにおいをかぐということは、「身を守るため」にも「人間らしい生活を楽しむ」ためにも大切なのです。 たとえば 「ガス漏れがわからなかった」 「腐

        2021年イグノーベル賞「性行為におけるオーガズムは点鼻薬と同程度に鼻閉を改善する」について考察してみました

          ヒノキ花粉症

          スギ花粉のシーズンが過ぎて、ヒノキ花粉のシーズンになってきました。 スギの花粉症のことは皆さんよく聞くと思いますが、ヒノキのことはあまり聞かないかもしれません。なんとなくスギの後に飛ぶものということで認識している方が多いかもしれません。 地域にもよりますが、tenki.jpによると、3/12にヒノキ花粉が飛び始め、3/23には関西で本格化したという記事が載っています。ヒノキは関西の方が多く植わっていて、飛散も多いといわれています。 また、スギとヒノキはその抗原性が似てい

          中咽頭癌とHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)について

          ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)は子宮頸癌の原因ウイルスです。感染を予防できるワクチン(HPVワクチン=子宮頸がんワクチン)があることでも有名です。 HPVは中咽頭癌を起こすこともあります。アメリカではHPV関連の癌で新規発生が最も多いのが中咽頭癌で、二番目が子宮頸癌となっています。(1) 中咽頭、というとどこなの?という感じもすると思いますが、口蓋扁桃(いわゆる「扁桃腺」)、咽頭後壁、舌根部、軟口蓋などを指しています。(2) HPVは他にも性器癌、肛門癌などを起こします。

          中咽頭癌とHPV(ヒト乳頭腫ウイルス)について