ヒノキ花粉症

スギ花粉のシーズンが過ぎて、ヒノキ花粉のシーズンになってきました。

スギの花粉症のことは皆さんよく聞くと思いますが、ヒノキのことはあまり聞かないかもしれません。なんとなくスギの後に飛ぶものということで認識している方が多いかもしれません。

地域にもよりますが、tenki.jpによると、3/12にヒノキ花粉が飛び始め、3/23には関西で本格化したという記事が載っています。ヒノキは関西の方が多く植わっていて、飛散も多いといわれています。

また、スギとヒノキはその抗原性が似ているために、両方とものアレルギーの方が多いですが、どちらかが強いという方ももちろんいます。

特にヒノキでは、のどの症状が出やすいということが知られていますので、4月からゴールデンウイークにかけての時期にのどの違和感などの症状が強い方はヒノキ花粉症のせいかもしれません。(1)

さて、治療ですが、ヒノキ花粉症も、スギ花粉症と大差ありません。

薬としては、抗ヒスタミン薬などの飲み薬、あるいは鼻噴霧ステロイドなどの点鼻薬、あるいは点眼薬などが用いられます。

「初期療法」といって、症状が出る前から治療を開始しておけば症状が軽く済むということが知られています。毎年症状が出るという方は、今年はもう遅いかもしれませんが、来年こそは早めから治療を開始することをお勧めします。

もちろん、マスクや眼鏡によって抗原が目や鼻、口に入ることを防ぐことも有効です。

生活上気を付けることとしては、家に入るまえに服を払う、できればニットなどよりもつるつるした素材の服を一番外に着る、布団の外干しはしない、なども有用です。

薬や生活指導で症状をコントロールすることが難しい方には手術をお勧めすることもあります。たとえば、レーザー手術や下鼻甲介手術、後鼻神経切断術などが行われます。興味のある方は耳鼻咽喉科でご相談ください。(注)

スギについては舌下免疫療法が最近は多く行われるようになってきました。これはスギのエキスを舌の下に垂らすことでスギの花粉症の体質自体を治すという治療法です。この治療法は残念ながらスギとダニのみで、ヒノキにはありません。スギについて行うことでヒノキについて軽くなる方もいます。(2)あるいは、従来から行われてきたスギに対する皮下免疫療法においてはヒノキ花粉症もかなり軽くなるのではという報告もあります。これは注射でスギのエキスを体に入れる治療で、舌下免疫療法と原理は同じです。(3)スギ花粉症でお困りの方が舌下免疫療法、あるいは皮下免疫療法を行うことでヒノキ花粉症も軽くなるかもしれませんね。

今年についてはあまり出歩かない方も多いと思いますが、ヒノキ花粉症で苦しむ方のお役に立てば幸いです。

(1)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/114/2/114_2_78/_pdf/-char/ja

(2)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/120/6/120_833/_pdf/-char/ja

(3)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/55/2/55_159/_pdf/-char/ja

(注)2020年4月現在、COVID-19の関係で、鼻の手術については緊急性のないものは延期という方針の病院もありますから確認が必要です

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