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家出をした女性の物語、のようだ。「彼女のいない部屋」

Salut!
ピザが無いと生きていけないとエンピツカフェの店員さんに噂されているアンです。今日もピザ、もぐもぐとほおばってます。
お気に入りの世界の映画を紹介しますね。

今回紹介する映画の舞台は、フランスの地方都市らしい。

主人公は、夜更けに子供2人と夫を置き去りにして家を出ていく妻クラリスさん。

カードをめくるクラリスさん、ゲームの結果が思わしくないのかイライラとカードをかき混ぜる、そんなシーンからこの映画は始まります。

夫のマルクさんと娘リュシーさん、幼い息子ポールさんを残して、ある朝ふらりと車でどこかへ出かける。
理由も行先も明かされず、クラリスさんと残された父子の暮らしぶりが交互に描かれる。

彼女が「母親」や「妻」といった属性から抜け出し、旅に出る物語を予感させる。いわゆる最近主流の「女性の属性からの解放」の物語なのか?

彼女の晴れ晴れとドライブするシーン。そして「家を出たのは私じゃない」というセリフ。
この映画、時系列がバラバラでクラリスさんの空想と現実、つまり「自分がいない世界で幸せになっている家族」と「他人の子どもを自分の子どもだと思って接してしまう」シーンが入り乱れて描かれています。
そして、全編に渡って使われる本作を象徴するピアノの音。

断片的に描かれたピースやピアノの音からいろいろなことを想像してしまうのですが、幸せなシーンが現実であって欲しいと願いながらも、度々バッドエンドの予感。
悲しんでいいのやら、安堵していいのやら。

この映画、公開当時はネタバレ厳禁で、本国フランスの劇場公開前に明かされたストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という一文のみ。
そして、Mathieu Amalric(マチュー・アマルリック)監督は「彼女に実際には何が起きたのか、この映画を見る前の方々には明らかにはなさらないでください」とメッセージを送っていたんです。

バラバラのピースが、突然つながる瞬間。涙が堰を切る。
マチュー・アマルリック監督が挑戦しきった感動的なモンタージュの傑作。

気になった人は観てみてくださいね。

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