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少しでも「生きづらさ」を感じるあなたへ。

時たま、言葉でうまく表現することのできない「生きづらさ」と出会うことがあります。

なんとなく居心地が悪いというか、気にしなくてもいいのに気になったりとか。

それは、自分が思うように仕事が上手くいかなかったり、職場や学校の人間関係に悩んだり、他の会社の働き方と自分を比較したり、twitterやInstagramで流れる友人の投稿に一喜一憂したり。「生きづらさ」は、些細なことから大きなものまで沢山、そこら中に転がっています。

その度、変に落ち込んだり、悩みすぎたりして、自分の内面を傷つけてしまうことがあります。
他の人から見たら「気にしすぎだよ」と笑われることかもしれません。元来、自分が周りの世界に敏感すぎるせいかもしれません。だいたい、一晩も寝れば次の日にはケロっとしていることも多いのですが、小さな「生きづらさ」を毎日抱えるのは、それはそれで大変です。

「生きづらさ」をありありと身に感じ始めたのは、就職活動の時でした。

当時、超ミーハーだった僕は身の丈に合わず、倍率の高い企業ばかりを受けて見事に全滅。周りの友達が内定をとって行く中で、内心焦りを感じていました。今までしっかりとレールの上に乗っていたのに、いきなり列車が傾きひゅーっと落ちて行くような気持ちでした。

結果として、僕は就職留年をして、再度就活をします。僕以外にも留年した友達はたくさんいましたが、就職活動が理由で留年した友達はほぼおらず、勝手に孤立したような感覚でした。

そんな感覚を味わいつつも、僕は結局就活を途中でやめて、中高時代向き合っていた演劇の道に一度挑戦することにします。心にわだかまりが残ったまま社会に出たくないというただのわがままだし、今思うと演劇という道に逃げていたのだとも思っていますが。

しかし、演劇をやろうと思い、オーディションを受けたり、劇団の方とお話しをしていても、いつも普通に就職をした大学時代の友達の顔がちらつきます。彼らが楽しそうな様子をSNSにアップするのを見て、正直羨ましいなと思っていました。随分と弱いものです。

結局、僕は演劇の道も諦めて、普通にお金を稼ごうと思い、昔から興味のあった「書くこと」を軸にアルバイトやインターンを始めました。ただ、社会に戻ってきたとはいえ自分が孤立している感覚は全く拭えませんでした。一番怖かったのは社会的信頼がないことです。実績はないのに、変なプライドだけ残っていたので無理もない話なのですが。

今でこそ、一企業の一員として働いていますが、あの時を振り返ると、自分が招いたとはいえ、かなりの「生きづらさ」を感じていました。

そんな人生の中で一番「生きづらさ」を感じていた時に出会ったのが、作家兼演出家の鴻上尚史さんが書かれた「「空気」と「世間」」でした。

この本は日本人特有の「空気を読む」という習慣をベースに、「空気」とは何か、「世間」とは何かを優しく読み解いた本です。

この本を読んだ後、僕は何と無く抱えていた「生きづらさ」の正体が少しわかった気がしました。それと同時に、自分が怯えていた幽霊のような「生きづらさ」が得体のしれない何かではなく、理由があって存在し、なぜ生まれたのかを理解することができました。そして「生きづらさ」を理解した瞬間、少し心が軽くなったのです。

鴻上さんも本書の中で触れていますが、人は「よくわからない」ものに怯えます。それは、頭で理解ができないからです。「幽霊は信じている人にしか見えない」と昔聞いたことがありますが、目の前で起こっている事実をどう解釈するかは、結局自分に委ねられています。

人間は面白いもので、同じものを見ていても人によって解釈が違います。もしかしたらあなたの「生きづらさ」は勝手に自分が「生きづらい」と思い込んでいるのかもしれません。

この本は、いじめに苦しんでいる中学生にまで届いて欲しいと思って書きました。

鴻上さんは本書の”おわりに”で、そう述べています。

「いじめ」も突発的に起こるもので、その「空気」の正体を知らないと本当に怖いです。僕も小学生の時にいじめられたことがあったのでよくわかります。

世の中、図太い人だけじゃないです。繊細な人ほど「生きづらさ」を感じるものですが、繊細さはあなたの大事な長所です。決して、そのことを責めないで欲しいなと思います。

もし、あなたが何らかの理由で「生きづらさ」を感じていたら、この本があなたの助けになれば幸いです。

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