マガジンのカバー画像

月々の短歌

13
その月に発表した(された)短歌抜粋です
運営しているクリエイター

記事一覧

2020年3月の歌

朝のまま時の止まった家に着きセーターを抱く猫の代わりに 指だけの動画がひどく妬ましい花か…

2020年2月の歌

アルバイトを叱る怒声に丼をただ見つめおり縁のぐるぐる 鏡には「祝開店」の文字があり贈った…

2020年1月の歌

胡蝶蘭美しき葉書が届きたり会いたい人には会いにゆくこと あまりにもひどい失恋 脳内の鉄矢…

2019年12月の歌&2019年自選歌

<2019年12月の歌> 舞茸を花占いのごと裂きぬ明るい部屋で待つだけの日に 砂糖菓子みたいな…

2019年11月の歌

年上の同級生が体育を休んで見ているプールのうねり 飛び方を知らぬかのよにゆっくりと鳩は歩…

2019年10月 自選短歌

五線譜は取り払われた 鳥たちは僕に姿を見せずに歌う 「無差別」に続く言葉に「殺人」と言い…

2019年9月 自選短歌

わたしたちの隙間に降った夕立はそろそろ海に変わりましたか ジムで漕ぐバイクを外で漕いだならぼくはどこまで行けたのだろう 職場とは逆の電車に乗る僕についてきている忠実な影 窓を拭く町を出ていく背が見える大きくバイバイするように拭く 思い出す顔はやさしい舞茸を花占いのごとく裂きおり 蜜柑剥く荒れたゆびさき均等になりきれなかった小房をはがす すぐ治る傷は記憶に残らない君と会う日の傘は草色 庭先の餌がそのままあの猫は撫でられるためだけに来たのか 幾重にも異なる色を肌に

2019年8月 自選短歌

待つほどにやさしく撫でる三越のライオン像のひかる前足 罪のない青空である 記念日の写真い…

2019年7月 自選短歌

会いたさが届くだろうか「会いたい」を「逢いたい」にして送信をする 漬ける手の皺を見ていた…

2019年6月 自選短歌

朝になりクローゼットを開ける子は読み聞かせける国を見に行く この笑顔はまがい物だと知りな…

2019年5月 自選短歌

雑踏に紛れるきみを焼き付けるコートの襟を立てた角度も 香水をこぼしてしまう星のない夜の裏…

2019年4月 自選短歌

雪が降る予報で街をゆく人が少し大きく丸くなる朝 晴れという理由で走る地図上にいびつに描く…

自選短歌 2019年1月~3月

 うたの日、あみもの、その他投稿して採用していただいた歌などいろいろ各月10首です。お読み…