猫

2019年9月 自選短歌

わたしたちの隙間に降った夕立はそろそろ海に変わりましたか

ジムで漕ぐバイクを外で漕いだならぼくはどこまで行けたのだろう

職場とは逆の電車に乗る僕についてきている忠実な影

窓を拭く町を出ていく背が見える大きくバイバイするように拭く

思い出す顔はやさしい舞茸を花占いのごとく裂きおり

蜜柑剥く荒れたゆびさき均等になりきれなかった小房をはがす

すぐ治る傷は記憶に残らない君と会う日の傘は草色

庭先の餌がそのままあの猫は撫でられるためだけに来たのか

幾重にも異なる色を肌に乗せ本当の顔が見せれらぬ人

嫌いなら嫌いと言ってハンカチを落とされたことに気づくのが下手

※うたの日、あみもの短歌、NHK短歌、ツイッター投稿より

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?