空

2019年8月 自選短歌

待つほどにやさしく撫でる三越のライオン像のひかる前足

罪のない青空である 記念日の写真いちまい撮れない僕ら

とりあえず叱らずにおく 竹輪から覗く世界は明るいですか

まだ細い無邪気な小指 約束の破り方など知らないでいい

引き菓子のカステラを切る あの人の名前のところはわたしが食べる

ガラス越し無声の喜劇映画めくゲリラ豪雨におどる往来

殺す気はなかったという言い訳を羽虫は聞けず白シャツに染む

夫という人の襟袖洗いつつダリとガラにはなれぬと思う

うたの日への出詠がいつもより少なくてこれぞというものを10首選べませんでした…。
※うたの日
 角川『短歌』
 『NHK短歌』

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