私とモデルと生きる道
最近、ウォーキングスクールに
通い始めた。
まだ始めて2回でバリバリの初心者。
ヒールで歩けないので
素足からのウォーキングの
基本コースを習っている。
ポージングもまだまだ出来ない。
だからコッソリ自主練習をして
ポーズにターンまで見直しているのだ。
ちなみに基本コースで残って自主練習
をしているのは誰もいなかった。
基本コースを何十回かやって
更にランクアップして
本気でやりたい人が
モデルコースに移行する。
色々と段階があるのだ。
自主練習をしているのは
ショーに出るモデルコースの人たち。
私はモデルコースまでまだまだ
回数と経験値が足りない。
そんな初心者が１人で
モデルコースの人たちに混じって
自主練習しているのは
変に目立ったかもしれない。
モデルコースの人たちの
レッスン時間が始まり
私は練習会場で１人になった。
１人でヒッソリ練習していたら
それを見た先生が
私に声をかけてくれた。
「ショーに出るモデルコースの
レッスン見学してみない？」
初心者からすると
中々無いチャンスなので
２つ返事で「はい！」
と答えてモデルコースを
見学することになった。
私の通っているウォーキングスクールは
30～40代以上の方もいて
ショーに出るモデルコースの人たちも
30～40代以上の方もいた。
モデル=若いうちしか出来ない
イメージがよくあるみたいだけれど
全くそんな事はなかった。
40代以上の方々の方が
むしろ生き様が出ているというか
カッコ良かった。
40代で遅くからスタートして
プロのファッションモデルもいる。
カッコいい。
私はモデルコースの皆さんを
キラキラしながら眺めていた。
そしてショーに出る皆さんを見て
私は思った。
「私もショーに出たい。」
見学が終わると先生から
「来月からモデルコース来る？」
と誘われた。
私はまだ基本コースからの
スタートなので、基本コースの初回から
急にモデルコースは飛び級である。
実際私まだちゃんと歩けていない。
「私はまだちゃんと出来ていないですよ？
大丈夫ですか？」と言ったら
「あなたもモデルでしょ？大丈夫よ。」と。
美術モデルとは全然ジャンル
違うから、本当に大丈夫かな？
と不安もあったが
普通に考えてまたとないチャンスなので
来月からモデルコースも行くことにした。
絵野めぐみは美術モデル、
アングラ以外のモデルの道を
新たに開拓することにしたのだ。
そもそも本当は
私は最初ファッションモデルに
なりたかったのだ。
実は26歳でファッションモデルに憧れ
事務所に応募したけれど
落選して、実はウォーキングスクールも
ちょっとやったけれど
出来ない自分が嫌になり
途中で諦めて逃げて挫折したのである。
それで挫折した先に
美術モデルという
モデル世界を知って
今はそれで生きている。
挫折したくせして
いまだに未練が残っているため
私はまた美術モデルをしながら
ウォーキングスクールに
通い始めたのである。
未練があるのは
きっと私の子供時代からの
「モデルみたいな」憧れにある。
14歳の頃の私は
生き地獄を味わっていた。
学校じゃあ「キモい」と言われて
いじめられて
家に帰っても虐待されていたので
「なんの為に生きているのか？」
と思って人生に絶望しながら
毎日を過ごしていた。
ただ、滅多に褒めない母親が
「あんた、スタイルは良いよね。」
「体型がモデルみたいだ。」
と言って私を褒めたのである。
でも私は不細工だから
モデルは無理なんだ。
ずっと自分に言い聞かせていた。
学校で「キモい」と言っていた
同級生が「足長！」
「スタイルは良いのに」
とスタイルだけは褒め？てくれたので
私は不細工だけれど
スタイルだけは良いみたいだ！
モデルは無理でも体型だけでも
「モデルみたい」になるぞ！
そんな思いで美容と健康法だけは
気を付けてモデルみたいな体型に
なる為に社会人になっても
続けていた。
そしたら、なんだか「不細工」
「キモい」は言われなくなって
「スタイル良くてモデルみたいだから
下着のコンテストに出てみない？」
と言われて始めてコンテストに出た
21歳の時。
＊当時から自分の顔が嫌いだったので
顔の部分だけ切り取って写真が残っている。
下着のコンテストの時に
ステージに上がって初めて脚光を浴びて
なんだか人生が変わった気がした。
「もう私は不細工、キモい人間じゃない。」
「そしてなんだか私はモデルみたい。」
それから私はまた
コンテストも出ようかと思ったが
22歳で結婚した為
当時は幸せいっぱいで普通の生活を
優先したかったので
コンテストは辞めたのである。
結婚した後もスタイルだけは
「モデルみたい。」
って言われたいから
体型は維持していた。
それで色々あって性格の不一致で
25歳で離婚して、鬱になり
仕事もうまくいかなくなった。
そもそもが悲観的な性格で
要領が悪いために
仕事は元々ダメダメで
仕事のやりがいや
仕事における承認欲求は満たされず
仕事が嫌いだった。
転職もいっぱいした。
そして仕事が出来ず
クビになって引きこもって
シクシク泣いていた時期もあった。
結局、私は何やってもダメなんだ。
仕事も恋愛もダメ。死にたい。
相当病んでいた26歳。
シクシク泣きながらも
寝込んでいたら体型が崩れる。
体型だけでも
モデルみたいになりたいんだ！
そして体型維持の為に
ストレッチから食事は
気を付けていた。
ダメな自分を変えないと。
「本当にやりたいことは何か？」
と紙に書き出して沢山書いたら
「モデルみたいな体型になりたい。」
「モデルのSHIHOみたいになりたい。」
「モデルみたいと言われたい。」
あれ？
本当は私、モデルみたいじゃなくて
モデルになりたかったんじゃないかな？
どうせ人生ダメダメで死にたいと
思ってるくらいだから
ダメ元でモデルに挑戦してみよう。
そう思って私は東京のモデル事務所に
応募したのである。
26歳の時だった。
そして意外に書類審査が通り
大手のモデル事務所へ
東京へ水着審査をしに
挑戦しにいったのである。
結果は落選。
原因は私の
「自信の無さ」と「顔」だった。
スタイルと歯並びだけは
良かったようだ。
だけれど一番コンプレックス
だった顔を指摘されると
なんだか悲しい。
「やっぱり不細工な私じゃ
モデルは無理なんだ。」
そう思ってトボトボ
東京から浜松へ戻った。
でもまだあきらめきれなくて
静岡のウォーキングスクールに
通うことにした。
モデルになりたい一心で
最初からモデルコースを
受講したら、めちゃめちゃ厳しかった。
本当にモデルになりたいのなら
その厳しさに耐えてレッスン
するはずが、私は耐えれなかったのだ。
「私は出来ない。」
「やっぱり私はダメなんだ。」
そうして、私は容易く逃げ出し
ファッションモデルの道を諦め
勝手に挫折したのである。
そのまま完全に諦めれば
いいものを私は未練がましいので
サロンモデル、被写体に
挑戦してみたがうまくいかなかった。
あぁ、私はやっぱりダメ人間。
また病んで引きこもりそうに
なったので、絵を描き
絵描きで活動していたら
絵描きさんから
美術モデルのスカウトを受けた。
それが私と美術モデルの世界との
出会いだった。
普通のモデル、被写体は
全然ダメダメだったけれど
美術モデルなら評価される。
仕事も全然ダメダメで
「要らない」
「仕事が出来ないやつ」
扱いだったのが
美術モデルでは大事にされる。
評価される。
仕事で得られなかった承認欲求を
美術モデルで満たされたのだ。
生きてて良かった。
私はダメ人間じゃない。
美術モデルをして
ようやく私の人生が明るくなった！
だから私は美術モデルを
仕事にしたいと必死にして
いたら、写真のモデルの
仕事も増えてきた。
芸術の世界で私は頑張るんだ！
だからこそ
美術モデルの経験値を
増やすために名古屋に来たのである。
ただ美術モデルをやりながら
良くも悪くもよく言われた言葉。
「ファッションモデルみたいだ。」
本当は最初はファッションモデルに
なりたかった。
でも私は挫折したんだ。
自分に何度も言い聞かす。
「ファッションモデルみたいなんて
私じゃダメですよ。」
「そもそも私は万人受けしない。
アングラな人間ですよ、ハハハ(笑)」
言っていて虚しくなったが心の中に
未練があった。
美術モデルや写真のモデルの
ポージング研究する時に
海外のファッションモデルの
ポージング見ては憧れいた。
日本の綺麗可愛い
ファッションモデルは
私は無理だけれど
海外のファッションモデルみたいに
奇抜でカッコいい感じになりたいな。
どうしたらなれるんだろうか、、
色々調べまくったら
やはりある程度
モデル事務所に入るか
フリーにしても
ウォーキングが出来ないと
ダメみたいだから
名古屋のウォーキングレッスンも
調べてみよう。
調べたら今通っている
ウォーキングスクールを
見つけたのだ。
そして東京で活躍されている
モデルさんがいて色々詳しいので
はじめての体験レッスンの時に
質問してみた。
「私はファッションモデルに憧れて挫折しましたが、美術モデルの道を見つけて、今はその道で仕事にして生きています。だけれどまだ未練が残っています。私みたいにマスメディア受けしない特殊なジャンルのモデルで165センチ、32歳でもファッションモデルになれますか？」
ハッキリ聞いてみた。
すると
「正直、需要が少ないかもしれませんが、諦めることはないです。方法はいくつかあります。普通のモデルで普通の事務所に応募するのではなく、普通じゃないやり方を見つけて進むしかないです。」と教えてくれた。
私は特殊ジャンルのモデルなので
王道じゃない見つけ方をしないと
いけないんだ。
でも、私
諦めなくていいんだ。
需要が少ないかもしれないけれど
ファッションモデルになれるんだ。
それを聞いたらなんだか
ホッとしたのである。
そして確信した。
やっぱり私はファッションモデルになって
ファッションショーに出たい。
自分を変えるためにも
自信もって歩いてショーに出て
生きていきたい。
美術モデルをやりながら
ファッションモデルになりたい。
死ぬまで美術モデル現役でやって
ファッションモデルも出来たら
どれだけ幸せだろうか。
私は何事にも時間がかかるタイプだ。
ファッションモデル目指しても
40歳くらいでようやくなれるかも
そんなレベルだ。
そもそも私が進んでいる道は
特殊でイバラの道かもしれないけれど
諦めないで
弱い自分を受け入れて向き合って
私が私の生きたい人生に
進んでいけたらどれだけ
幸せだろうか。
自分に嘘をつかないで
弱くても生きていきたい。
だから私はまたモデルで
新たに挑戦するんだ。
それが私の
「私とモデルと生きる道」。
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