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ロゴマーク制作で考えること。コミュニケーションツールであり道標。

ロゴマークの役割

ちょっと前の話ですが、縁あって大阪にある複合型福祉施設TERRAのロゴマークを担当しました。

ロゴマークは単なる画像制作ではなく、経営や採用、社員のモチベーションなどインナーブランディングに大きく寄与するものです。ロゴマークには背景にMVV(mission、vision、value)を軸とした経営者の考えや企業文化などが詰まっており、価値が凝縮され社会やステークホルダーに対し、向かうべき方向を示す重要なコミュニケーションツールとなります。
お手伝いさせていただいたTERRAのロゴマークも、大事にできるよう議論を重ねながら制作を進めたものの一つです。

決定案

ロゴマークに込める想い

この福祉法人は保育園、学童、放課後デイサービス、その他塾や習い事も併設している大阪初の複合型福祉施設です。学童の後に塾など、子ども達は移動が大変だったりするのですが、この施設一つで済んでしまうので、預ける親御さんたちのこんなのあったらいいなというものを形にしてるというわけです。

また、カフェやテイクアウトなども併設しており、学生や社会人、年配層まで世代を超えたコミュニケーションを目的としたイベント企画やユニークなプロジェクトも行っています。

福祉施設の先入観を払拭する外観

ダイバーシティ&インクルージョンという言葉だけで片付けられるほど簡単な考えではないのですが、寺子屋のように地域全体で子ども達を見守り、地球規模で続く大地のように壁のない多様性と、むしろ壁を壊してあるべき姿に戻したいという原点回帰の想いを形にしたコミュニティがTERRAというわけです。

その意思は建物の随所に見られるモダンな構造や、スタッフの成長を支える仕組みなどで体現されており(それは経営のセンスもある)、子ども達含めそこに訪れる人たちが自然とその流れに身を任せられる空気が出来上がっています。このような良い体験は、ブランディングの達成を考える上でとても重要です。

ロゴマークは見た目の色味、形状、特徴だけでなく、考えや背景も深く刻まれることで、社員含めステークホルダーの行動にも影響を及ぼすものにもなるので、充分に議論を重ねて作るのが大切だと思っています。
せっかくなので以下はほんのごく一例ですが、没になった案です。

没案:飛び立つ熱量をベースとした案。Rの中はロケットから見える地球。
MTGで出た現在のロゴの原型のスケッチが、、
没案:漢字の寺を地球の雲に見立てた案。雲の隙間から見える緑と大地。
こちらをベースにしたものが採用。バリエーションはたくさん作りました。

余談:大切なMVV

MVVとは mission、vision、valueのことです。まとめようかと思ったのですが、良い記事があったので引用します。

M(ミッション):企業が社会に対して「なすべきこと」
ミッション(Mission)とは、企業・組織が果たすべき使命や存在意義を表す言葉です。なぜこの企業・組織が存在するのか、社会にどのような価値を体現するのかなど、企業・組織が目指す社会について明文化します。

V(ビジョン):企業・組織が目指す「あるべき姿」
ビジョン(Vision)とは、企業・組織の理想像、中長期的な目標を表す言葉です。ミッションを実現するために、企業・組織はどのような状況になるべきか、どのような志であるべきかを明文化します。

V(バリュー):企業・組織の構成員が具体的に「やるべきこと」
バリュー(Value)とは、ミッションやビジョンを達成するための具体的な行動指針、行動基準を表す言葉です。企業・組織の構成員の行動や判断の基準となる価値観を明文化します。

PR Times:MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?

議論して考えて作られたものかが大事

ロゴマークは多くのことに影響を与えるものなので、全体を俯瞰し議論を重ねることが求められます。とはいえ予算もありますし、お金をかければいいという問題でもありません。
有名な話ではナイキのスウォッシュのマークは学生が数十ドルで作ったとされていますが、「勝利を擬人化した女神」であるニケの像をモチーフとして、「躍動感」や「スピード感」を表現したものとのこと。そんな意味を知ったらますます身につけたくなりますし、もっと好きになります。

最近はAIでロゴマークを作るサービスなどもありますが、AIによって生み出されたものというだけでは、付加価値にはなりません。アウトプットされたものが、自分たちの価値を伝えるものとして相応しいものであれば良いと思いますが、大事なのはきちんと議論されたかどうか、伝えられるものかどうか、ますます好きになってもらえるかどうかなのかなと。

※諸々の掲載許可は頂いております。


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