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「サヴォア邸」について。②

表紙画像引用:https://www.houzz.jp/ideabooks/50830185/list

前回の記事でサヴォア邸についての解説をした上で、今回は自分なりの解釈を記録していく。ここに記載する事項はあくまで個人的解釈である上、ある意味備忘録のような物である為、了承の上ご拝読頂きたい。

何故僕がサヴォア邸を1番の建築物だと述べるのか
理由を先に簡潔に述べるとするならば、

サヴォア邸が建造された1931年から現2021年までおよそ100年にも渡る建築物の流れの軸を作った

と言っても過言ではないと思うからだ。

近代建築の5原則に沿って言うと、

1.ピロティ
これまでの組積造を軸にしていた建築では考えられなかったピロティ。 今の建築物を見渡すと、公共性を持たせるべく空間として当然のようにピロティが用いられているではないか。

2.屋上庭園
これまで陸屋根という形が一般的ではなかったが、屋上庭園を設ける事で、これまでの土着的な建築の考えからの脱却、すなわち地面から建築が離れる象徴となったのではないか。

3.水平連続窓
現代にはカーテンウォールという存在があり、壁いっぱいに開口部を取っている空間も山のようにある。まさしく壁構造が様々な制約から解放された事を現しているだろう。

4.自由な立面
これまで多くの制約があったファサードが解放され、意匠的なデザインの幅が大幅に広がった。

5.自由な平面
スロープをあえて平面の中心に設ける事で、
これまでの上下階の閉鎖的な繋がりへのアンチテーゼを表現しているのではないか。上下階への機能的なアクセスのみならず、「階数」の隔たりをスロープによるシークエンスでオープンな物にしている。

以上が僕が100年もの歴史を築いてきた建築物だと解釈している理由である。しかしこれはある意味、現代におけるベーシックな形となってしまった。

言い換えると、没個性化してしまっているのである。

それでもあくまで僕は、現代の全ての建築物の原点はサヴォア邸にあり全ての基礎だと考えている。

ただ現状、世の中がこの建築の法則に飽きてきているのは事実である。つまり、ここが建築の終着点では無いということを表しているのではないだろうか。

アフターコロナの建築の在り方が謳われる今、
この近代建築の5原則へのアンチテーゼから次なる建築が始まるのかもしれない。

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