「国宝」を楽しむのは難しい。特に「書」は何が書いてあるかほっとんど分からないし、その書が辿った遥かなる年月は紙の変色が物語っている。見て「美しさ」にハッとするのではなく、「よくぞここまで現存してくれた」の存在に思いを馳せる。
引用させて頂くのが2度目となるが、「かわかわさん」のこの記事を三の丸尚蔵館を訪れる当日に読んで、展示されている『国宝』を「判読できる!」かもしれない期待に胸がふくらんだ。
「更科日記」そのものの作者は菅原道真の5世孫にあたる菅原孝標(すがわらのたかすえ)の次女。私は「源氏物語」は読書会を通して楽しんだが、この次女もきっと宮廷の女房たちと「読書会」を楽しんだだろう。現代より娯楽の多様性がないあの時代、それはそれは楽しいひと時だったに違いない。それになにより描かれている人物の情景が、今の私たちより(当たり前だが)生々しく彼女たちに迫っていた。
第3期の前期(2024/3/12-4/7)に展示されていた頁は
「人もまじらず~」から始まるが、それより少し前からがとても面白かったのでそこから書いてみる。
物としての「国宝」はガラスの内側の到底手の届かない遠いところにある。しかし、そこに記されている「気持ち」はとても身近に、現代の私たちの内側にも同じように息づいている。