この機会にやりたい!平成ライダーVシネマ個人的ランキング(後編)

皆さん、こんにちは。たいらーです。

前回に引き続き「平成ライダーVシネマ個人的ランキング」の後編をやっていきます。

後編は5位~1位までのすなわちベスト5。基本外れの無いライダーVシネ回でも僕が特に気に入っている作品を順番に紹介していきます。

それでは早速参りましょう!


第5位:鎧武外伝 仮面ライダーデューク/仮面ライダーナックル

画像1

ストーリー:4 アクション:4 演出:3 ゲストキャラ:4 納得度:5 ワクワク感:5 TOTAL:25

「鎧武外伝」シリーズ第2弾。本編序盤頃を舞台とした「デューク編」と、「MOVIE大戦フルスロットル」の更にその後を描く「ナックル編」という変則的な構成が特徴的な1本。

話の語り口からライダーVシネの中でもかなり変わっている作品ですが、僕はこれがかなりお気に入りだったりします。

元々「鎧武」が好きというのもありつつ、それ以上に「鎧武」という作品世界が持つ新たな可能性に挑戦した意欲作だからです。

「鎧武」には「ヘルヘイムの森」という人智を超えた異世界が登場し、これがこの世界の仮面ライダー(アーマードライダー)の力の源でもあります。しかしライダーの力はそこに人の手が加わることで生まれた力であり、少なからず「人の業」といったテーマ性が生まれてくるわけです。

本編は「葛葉紘汰」という1人の男がそれを丸ごと呑み込み、1つの救済を示す形で幕を閉じましたが、この作品では「実は本編とは全く別の目論見でヘルヘイムの力を利用し暗躍する者がいた」という新しい角度からもう1度そのテーマを掘り起こし、文字通り「神無き世界」で「人」はどう在るべきかを問うという方向性を打ち出しているのです。

僕自身最初はこの座組みを聞いた時「えっ、この2人が主役⁉」と戸惑いました。ナックル/ザックは確かに人気キャラですが主役になれるほどのポテンシャルがあるかは分かりませんでしたし、デューク/戦極凌馬に至っては本編では人間サイドの悪役でしたから。

ですが実際出来上がった作品を観た時に「あ、この2人で良かった」と思わされました。戦極はサイコではあるもののサイコなりに一本筋の通った人物としてしっかり落とし込まれていますし、一方でザックは未成熟なところを残しながらもバロン/戒人の遺志を継ぐ意思を固めるという、どちらもおためごかしではない「人間らしさ」がちゃんとドラマの中で描かれています。

結果的にこの大きな物語自体は小説版に持ち越しになっていますが、「鎧武」という作品の世界観を活かしつつ、はっきりと「次章」と呼べる物語の始まりを予感させる、ワクワクさせる1本として本当に評価したい作品です。

第4位:ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー

画像2

ストーリー:4 アクション:4 演出:4 ゲストキャラ:4 納得度:4 切なさ:5 TOTAL:25

昨年第3弾「仮面ライダーブレン」がネット配信もされた、「ドライブサーガ」の第1弾。プロトドライブ・魔進チェイサー・仮面ライダーチェイサーと様々な姿へ変化していった裏の主人公とも言える存在、チェイスを主人公に、本編終盤の時系列に起きた出来事を描く。

10位に置いた「マッハ/ハート」同様、石田秀範監督がメガホンをとっている本作。実は最近まで観ていなかったのですが、かなりの良作だと思ったのでこの順位に入れました。

まず尺が85分とライダーVシネの中でも最も長い作品なのが個人的には評価ポイントです。短く纏めることが多いこの系列で尺を長くするというのは一種の冒険だったと思いますが、僕はプラスにはたらいていると感じました。

その理由はチェイスというキャラクターが持つ複雑な内面を色々な展開を盛り込むことで多面的に、じっくりと描けているからです。本編でも効果的に拾われた「免許証」などを利用して、ターミネーター的な人間の感情の機微に乏しい性格にスポットを当ててみせ、ロイミュード099・エンジェルによって「感情を持たせる」という形で反転させてみるという外伝らしいアプローチ。エンジェルに対し敵であるロイミュード側にもアイデンティティを揺り動かすドラマが生まれ、「怪人であり仮面ライダー」というチェイスだからこそ描けたストーリーとして印象に残りました。

アクションもライドチェイサーを使ったバイクシーンが結構長めに取られていて、CGも使いつつ迫力のある見せ方がされていたと思っていて好感触。

一方で人間側(ドライブ、マッハ)は仮面ライダーアクセル・照井竜と作品の壁を越えてまさかの共演。スーツ姿の進兄さんと並ぶと本当に刑事に見えませんね照井竜……。娘ができて幸せな家庭を築いているという笑えるけどちょっと泣けてくる下りも好きです。

「デューク/ナックル」と同点ですがクセの無さからこちらを上にしました。


第3位:仮面ライダーゴースト RE:BIRTH 仮面ライダースペクター

画像3

ストーリー:5 アクション:4 演出:5 ゲストキャラ:5 納得度:5 親切度:2 TOTAL:26

「仮面ライダーゴースト」の本編後を、最近妹が戦隊に行った仮面ライダースペクター・深海マコトを主役に、彼にまつわる多くの謎を解き明かしながら描く。

トリロジー方式の「エグゼイド」を除けばこの1本しかVシネマが作られていない「ゴースト」。本編は後半だんだん説明不足になっていった感が否めずだいぶ不満がありましたが、この作品はそれを取り返す会心の出来。Vシネマ最高傑作という人もいるほど他のファンの評価も高く、この作品で長編デビューとなった上堀内佳寿也監督の名をライダーファンの間に一気に知らしめた1本でもあります。

本編では正直起きている現象の数々が意味不明だったマコトというキャラクターに密接に絡む形で現れる「生みの親」、ダントン。このキャラがとにかく独特で素晴らしいですね。単なる倒されるための敵対者、悪役ではなく、本当に善意を突きつめた末の狂人というなかなか難しい役柄を、人の好さそうな笑顔と邪悪なスマイルを使い分けたジェームス小野田さんが見事に演じ切っているという、この配役が見事。

キャラもかなりの人数いましたが、コメディリリーフである御成にもしっかり活躍があり、マコトの妹・カノンが本編で眼魂になっていた件も展開に活かされていたりと60分の中で上手くさばいています。ラストのアランの演説はこれだけで「ゴースト」を観ていて良かったなと思わせられました。

あとやはり誰もが称賛するところであろう素晴らしい中盤とクライマックスの戦闘シーン。ライダーとしての見せ場を絞っている分相当演出に気合を入れて満足のいく仕上がりになっています。シンスペクターが必殺“業”を次々と放ち、最後に青空をバックにキックを決めるラスト(しかも地面と超垂直)の文字通りの晴れやかさには本当に胸を打たれました。

ただ欠点を言うとすれば、やっぱりこういう設定はある程度本編で説明して欲しかったのと、結構良いところを持っていく西園寺の復活も本編外のハイパーバトルDVDでサラッとやっているというこの不親切な設計でしょうか……。「ゴースト」はなんか素材が良い分全体が勿体ないシリーズです。


第2位:仮面ライダージオウ NEXT TIME ゲイツ、マジェスティ

画像4

ストーリー:5 アクション:4 演出:4 ゲストキャラ:5 納得度:4 フレッシュさ:5 TOTAL:27

平成ライダー最終作「仮面ライダージオウ」の「新たな始まり」を描く現時点での平成ライダーVシネマ最終作。現在公開中ですが、堂々の2位にランクインです。

詳しい感想は以前記事にしましたが、評価のポイントはとかくシリアスになりがちな後日談Vシネマの中で「フレッシュ」であり「明るい」ところ。

青春モノとしてとにかく展開に無駄がなく、合間合間に歴代の2号ライダーが現れ最後にゲイツの覚醒に繋がるという構成のレベルも高い。一方で「ジオウの続き」として求められる要素もそつなく描いていて、とにかく同じ高校で平和に暮らすソウゴ達がかわいい!

この先続きがあるのかが本気で気になる1本。なんなら「ジオウ」を観ていない人もここから観ても良いぐらい、おすすめです(それは言い過ぎか)!


さあ、ここまでお送りしてきました「平成ライダーVシネマ個人的ランキング」。

遂に最後の作品の発表です。ライダーVシネに詳しいという方は何が来るかお判りでしょう……。



さあ、第1位を楽しみな!

第1位:仮面ライダーW RETURNS 仮面ライダーエターナル

画像5

ストーリー:5 アクション:5 演出:4 ゲストキャラ:5 納得度:4 エンタメ度:5 TOTAL:28

「仮面ライダーアクセル」と同時に制作が発表され、「アクセル」の3ヶ月後にソフトが発売された「仮面ライダーW RETURNS」の第2弾。劇場版の敵、仮面ライダーエターナル・大道克己率いるNEVERの活躍を描いた本作が1位となりました!

本作の魅力はもう他に類を見ないほどエンタテインメント性に全振りした作品としての在り方そのものです。

まず「劇場版の悪役が主人公」というこの座組み。ライダー夏の劇場版でも未だ屈指の人気を誇る「AtoZ 運命のガイアメモリ」で生まれた名キャラクター、仮面ライダーエターナル・大道克己というだけで親指2本立ちますよねこれは。

「悪役が主役」というかなり繊細な構造に対するストーリーも満点です。財団Xと絡んだ悪役側の前日譚、アメコミ映画によくある「オリジン」的な物語にすることで上手く辻褄を合わせていますし、それをゲストキャラのミーナがWたちに語り継ぐ構成もバッドエンドな内容に対して後味を爽やかなものにしています。

そしてそれらの要素を加味しつつ、序盤からラストまでひたすらJAC(現JAE)の皆さんや俳優さん自らが体を張ったアクションで魅せてくれるという面で映像的にも最高の作品だと思います。

言わずと知れた松岡充さん以外にも元戦隊メンバー、スーツアクターに格闘家、片腕マシンガール(調べたら最近リブートされたそうです。なんで?)と多種多様なメンバーが軒を連ねるNEVERのそれぞれくっきり色分けされたアクションシーンは何度見ても素晴らしいですね。当時制作ブログで「ネバーレンジャー」なんて言われてた気がしますが、各々持ち味を生かして戦う様は最早アイドルグループとかそういうジャンルの集団に見えてきます。

NEVERも含め役者陣が全員輝いているのは評価として本当に大きいです。須藤元気さんの驚異的なアドリブ力には惚れ惚れしますし春田純一さんの憎々しい悪役演技もハマっています。松岡充さんがハーモニカを直に吹く場面や、クランクアップ後の笑顔が素敵な加頭順役のコン・テユさんなど、メイキングもおススメです。

超能力の表現などよくよく考えると低予算が垣間見える部分もあるのですが、爆発の火薬であったり明らかに危険な動きをしているやられ役側のスタントであったりとにかく「そこにある現物と身体」で勝負していて、極限まで振り切れたB級アクション映画として最高でした。

そして後半、そこまで生身で頑張った末に邂逅する「エターナル」という力の置き方もまた絶妙。本編の裏ボス的存在だったユートピア・ドーパントを事も無げに蹴散らす様はもう爽快の一言。しかしそんな強大な力を持っても本当に救いたかった人達は救えなかったという悲劇…。そこから義憤にも絶望にも似た感情で行われるラストバトルというこの流れも素晴らしいとしか言いようがありません。

個人的にはダークヒーローものとして、完璧に仕立て上げた作品だと思うのですが、ただこのこの話自体が「悪役を美化している」という面について否めないという印象もあるので納得度は4にしました。演出はところどころアクションシーンのカメラの揺れが気になるという点で4にしています。完全無欠の作品というのはやっぱり無いのでしょうね。あと今見るとNEVERのメンバー同士がチームプレイを見せてくれるみたいなのが無いのもちょっと気になりますね。


はい、以上が僕の考えた「平成ライダーVシネマ個人的ランキング」です!

こうして並べてみると本当に色んなコンセプトで作られてますね。隙間を埋める話から未来を予感させる後日談まで、スピンオフとして毎年試行錯誤しているのが窺えます。

ランキング企画、結構大変ですが非常に楽しかったので今後も何らかの形でやれたらいいなと思っています。

皆さんも自分のランキングを作ってみてはいかがでしょうか。

——さて、次回は映画感想に戻ります。

鑑賞したのは、三池崇史監督作品「初恋」です。

それではまたお会いしましょう。ここまでのお相手は、たいらーでした。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?