禅の世界 その2

禅の世界は「無分別の世界」です。
普通、分別という言葉は「ふんべつ」と読みます。 道理をわきまえて常識的倫理的に行動するための判断基準として肯定的に使われる言葉です。

一方、禅の世界では、分別を「ぶんべつ」と読み、肯定的な意味では使いません。禅の分別は、心を動揺させ苦しみを生む原因と考えます。

禅宗で戒められている分別は、良いVS悪い、正しいVS間違っているというように、二つに分けて判断することです。自分が正しいという考えに執着すると、相手は間違ってるということになります。 そこに対立・争いの原因となる相手を嫌悪する感情が生まれます。 

禅語に「至道無難唯間尺を嫌う」とあります。これは「道に至ることは難しいことではない。ただ選り好みをしなければ良い」という意味です。

誰もが幸せになりたい、不幸になりたくないと願って生きています。しかし幸せだけを手に入れることはできません。なぜ幸せを感じるかと言うと、それは幸せでないときがあるからです。人生は幸せと不幸せの二つでワンセットです。 不幸せがあるから幸せがあるのです。不幸せは幸せになるための必要条件なのです。 

このように、分別が苦しみの原因です。好き・嫌いと選ばなければ、嫌なことがあっても感情的にならず、一つの事実として受け入れることができます。良い悪いと分けて一方だけに偏って物事を判断すると、全体がわからなくなります。分別しないことができれば、あなたも立派な禅の実践者です!



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