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仏像なんか壊しちゃえ!本当にいいの?

仏像なんて価値ゼロ、という話を以前しました。👇

そうは言っても、私も禅僧の端くれ。すこし気が引けるところも...さすがにちょっと不安になって来たので、実際に仏像を壊す偉大な禅僧がいなかったのか、調べてみました。

さすが、我が臨済宗!!

偉大なる大先輩がいました!これで少し私も自信を持って、仏像なんか壊しちゃえ!と言えます。(虎の威を借りる情けない坊主です・・・)

では、仏像をぶっ壊す禅僧の逸話をどうぞ!

*****

ある日のこと、建仁寺に乞食がやって来て、て栄西禅師に嘆きながら訴えました。
「私は不幸な人間です。どんなに一生懸命働いても貧乏から抜け出すことができません。私だけが貧乏で苦しむならまだ我慢できます。しかし子どもたちが同じ苦しみを味わっていると思うと、かわいそうでなりません。この数日間はお粥にすらありつくことができません。子どもがお腹を空かして毎日泣き叫んでいます。親としてなんとかしてあげたいのですが、何もできません。これは身を切られるほど辛いことです。どうか、どうか、お助けください」

男の嘆きを聞いた栄西は言いました。
「本尊さんにお参りして、貧乏から脱するようにお願いしてみたらどうだ」

「私は、いつもお参りして、願い続けております」

「そうだったか。お参りしても願いをお聞きくださらないというわけか」

「はい、その通りです。私の願いが届かないのはなぜでしょうか。私はどんなに貧乏でも決して仏様に怒られるようなことはしておりません。それでも願いを聞いてもらえないのですから、きっと前世に何か悪いことでもしたのでしょうか。そうだとしても、子どもたちに何か食べさせてあげなければなりません。どうか私と一緒にお坊さんも仏様にお願いしてくれませんか」

そう言って、男は涙をこぼし、栄西にすがりつきました。

「そうだったか。それは大変なことじゃったなあ」
栄西はうなだれた男に優しく寄り添い、男の背中をさすってあげました。栄西はしばらく無言のままでいましたが、何か思いつた様子で、本堂に祀ってある本尊の後ろ側にスタスタと歩いて行きました。

そして、仏像の後頭部にある金箔が塗られた金色輪の円光をグッと力を込めてもぎ取り、男にその円光を差し出して言いました。
「さあ、これを骨董屋に持って行ってお金に換えなさい。これでお米が買えるだろう。建仁寺本尊の円光といえば良い値で買ってくれるはずじゃ。もし信じてもらえなければ、建仁寺の栄西に確認せよと言えばいい」

その場にいた弟子たちはびっくりして、栄西を必死に止めようとしました。
「師匠、それはいけません。ご本尊様の円光をもぎ取って他人にあげるなど、ばちが当たります。どうかお考え直してくだい」

栄西はニッコリとして言いました。
「安心せい。ばちが当たるどころか、仏様はお喜びになっていらっしゃる」

弟子は首を傾げた様子で栄西に聞きました。
「なぜでしょうか。御本尊を壊すような行為は仏教者として絶対にやってはならない行為ではありませんか」

栄西は弟子たちに優しい眼差しで答えました。
「世の中にはどんなに正直に暮らして、毎日仏様を拝んでも幸せになれない者もおる。これが現実だ。そういう人たちを助けるのが我々の使命ではないか。よいか、この方は助けなければならん人だ。もし御本尊様がここにいらっしゃったら、きっと円光をもぎ取って、この人を救ったであろう。それが仏の慈悲というものだ。ご本尊様がそうなさるのに、なぜわしがそれをしないでよいであろうか。私はご本尊様に変わって円光をあげたまでだ」

円光をもらった男は、涙をいっぱいに浮かべて、何度も深く頭を下げて栄西を拝みました。すると栄西は、今度はさきほどとは違って少し強い口調で男に言いました。
「正直な心は、どんなに隠れていてもいつか必ず仏様もお知りになられる。よいか、仏様に願いが通じないとからといって、やけを起こして、正直な心を汚すような行為を決してしてはならんぞ。さあ、早く子どもたちのところに戻りなさい」

*****

人助けのためなら、手段を択ばない栄西禅師、めっちゃくちゃカッコいいですね!しかもこれでだけ堂々と決断されたら、なんか「それもありかな?」って思ってしまうほど自信に満ちた意思決定です。

肚が坐っていないとできないことです。さすが、本物の禅僧は違います!私も見習いたいです!!

 


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