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『世界一流エンジニアの思考法』を読んで、本をゆっくり読むようにしたら結構世界が変わった話

こんにちは、ITエンジニアのえんじびあ(@EngiBeer_)です。

最近『世界一流エンジニアの思考法』という本を読んで、「理解に時間をかける」ことの大切さを知りました。
これを読書で実践するために、本を読むスピードを今までより遅くしたところとても効果があったのでその体験談を書いていきます。

技術書を読むエンジニアの方やビジネス書を読むビジネスパーソンの方で、「本の内容を何となく理解し切れてない気がする」と思ったことはありませんか?そんな方にはもしかしたら1ミリくらい、参考になるかもしれません。

『世界一流エンジニアの思考法』とは

『世界一流エンジニアの思考法』は、米マイクロソフト社のエンジニアである牛尾剛さんの著書。

「怠惰であれ!」「早く失敗せよ」など、著者が出会った圧倒的な一流エンジニアの様々な思考法(マインドセット)や行動・習慣が紹介されている。

それだけでなく、コミュニケーションやチームビルディング、生活習慣などのテーマまで広く触れられており、まさに仕事と人生を「自分の手でコントロールする」ためのヒントに溢れた内容。

X(Twitter)などで、エンジニアを中心にとても話題になっていたこともあり気になっていたので、自分も早速読んでみた。

「理解に時間をかける」にハッとさせられた

全体的にとても興味深かったが、特に印象に残ったのは「頭がよくても「理解」には時間がかかる」というパート。簡単に要約すると、こんな感じだ。

  • 非常に優秀なエンジニアでも、「理解」には時間をかけている。例えば:

    • システムの説明用ビデオを何回も見直してメモしたり

    • 流し読みでコードを理解できるレベルでも、サンプルのコードを書き、十分な理解に努めていたり

  • 早くできるように頑張るのは最終的な生産性をむしろ下げる

  • 理解が十分でないままの試行錯誤は頭に残らない

  • 根本から把握・理解していることは、無駄な試行錯誤も要らないし、応用が利く

なるほどなあ。一流のエンジニアは「急がば回れ」の正しさを身をもって証明してくれている。

そしてこのパートの中でも、特にハッとさせられた一文がある。

「何かを早くできるように急ぐ努力」がかえって本質的な理解を遠ざけてしまうのだ。

Kindle版p28

うわ、これわかる〜〜〜!わかりすぎる。。

ここを読んで、「薄々気付いてはいたが、見て見ぬふりをしていた自分のクセ」をはっきりと思い出してしまった。
それは、主に技術書などを読む時、早くたくさんインプットしたいがために読むスピードを速くしてしまい、ちゃんと本の内容を理解し切れていない場合があること。(頭も良くないのに…

読書のスピードと理解度

ITエンジニアということもあり、普段プログラミングに関わる「技術書」と呼ばれるような本を読むことが多い。
そういった本では、たとえば「良いコードの書き方」といったテーマはよく出てくるもので、大体以下のような流れになっていることが多い。

  1. プログラミングにおいて、「〜〜」という考え方があるよ

  2. 例えばこういう場面で、こういうサンプルコードを見かけるが、それはこれこれこういう問題が発生する可能性があるよ

  3. それに対して、「〜〜」の考え方を適用したサンプルコードはこんな感じ。これだと2. で発生していた問題は起きないよ

  4. サンプルコードで見たように、「〜〜」の考え方にはこんなメリットがあって、こういう時に使えるよ(でもこういうデメリットもあるよ)

  5. 更にサンプルコードを発展させて、他の考え方についても紹介するよ etc…

少なくとも、専門的な話題だし、正直「簡単に読めたな」と思うことはあまり多くない。きちんと内容を理解するには、サンプルコードも読みながら、紹介されている概念の特徴やメリット・デメリット、他の概念との違いなどをしっかりと把握して納得していく必要がある。のだが…

  • 前の方の内容を忘れないうちに、早く読み切った方が良いのでは

  • やっぱり速く読めた方が、生産性高いよね

  • 積読(買ってまだ読んでない本)も溜まっているし、早めに消化したい…

こんな思いから、実際は早く読み切ることを優先するあまり無意識に読むスピードを速めてしまっていて、よく理解し切れていないけど先に進んでしまっていたり、サンプルコードの読解をサボって、説明文だけ読んでしまっていたりが結構あるのだ。

その結果、一冊読み切った時、何となくためになった気がして一つや二つ印象に残った部分は思い出せても、全体を深く理解できた気にはなれないことが実はほとんどだった。
もし、他人に「本の内容を説明してみて」と言われたら、きっと自信を持って説明することは難しい。

これでは、せっかく読んだ内容を仕事で実践したり、応用を利かせることなんて到底不可能。
まさに、「「早くできるように急ぐ努力」がかえって本質的な理解を遠ざけて」いる状況を自分が作り出していることを、この本を読むことでまざまざと思い知らされてしまった。

「理解」のために、ゆっくり読んでみる

これではいけないと思って、新しく手に取った技術書を読み始める時、次のことを意識するようにした。

  • 今までより、あえてゆっくり読む

  • 今、理解できなかったな?と思ったら、先に進まず同じ箇所を繰り返し読む

  • 気になるキーワードや思ったことは、都度メモする。読み終わった後、他人に説明するつもりで

  • サンプルコードは、馴染みのない言語だとしても頑張って読む。著者の説明したい意図が理解できればOK

  • 「この章のまとめ」のような場所では、章の内容を思い返しながら、まとめの内容がしっくり来るか、腹落ちできているか確認する

最初はやはり中々読み進められないことにストレスを多少感じたが、すぐに良い変化が起こっていることに気付いた。

読み方を変えた効果

  • そもそも、ゆっくり読めば頭の良くない自分でも内容をきちんと全体的に理解できることに気付いた

  • 論理構造・流れが前よりはっきり分かるようになった

  • サンプルコードも、仕事でやってるように集中して読めば分かるし、著者の示したい意図も理解できた

  • 「このケース、仕事でもあったよな」と、自分の経験と繋がることが増えた→余計に記憶に残るようになった

  • 「こういう場面で活かせそうだな」と、具体的な実践への道筋が見えた

  • 「章のまとめ」部分で、ちゃんと章の内容全体を思い出せた

読み方を変えたことによって感じた効果は、こんな感じだ。元からきちんと理解しながら読むことが実践できている人からすれば、当たり前かと思うかもしれないが、一度「読み飛ばしグセ」が付いてしまった自分からすると、結構世界が変わるレベルの変化だった。

一方で、読むスピードを遅くすると今までより読む冊数は稼げなくなる。しかし、そもそもよくよく考えればきちんと理解できていないまま読む冊数を増やしていっても何の意味も無いことに気付いた。まずはしっかり理解できるスピードで読むようにして、慣れてきたら結果的にスピードが上がる。それが正しい姿なんだと個人的には思う。

おわりに

『世界一流エンジニアの思考法』を読んで、読書のやり方を変えたことによって起こった変化について紹介しました。

昨今、「タイパ」(「タイムパフォーマンス」の略、時間対効果)という言葉が流行っており、いかに短い時間でたくさん情報や効果を得られるかという価値観が支持を集めているようです。
繰り返しになりますが、いくら「かかる時間」を減らしたところで、肝心の「パフォーマンス」が低ければタイパはほぼゼロに近くなってしまいます。
つい、時間という分かりやすい指標には気を取られがちになってしまいますが、まずは「パフォーマンス」の方を最大化できるように注力していきたいなあと改めて思った出来事でした。

今日からあなたも、「理解」を優先するゆっくり読書、始めてみませんか?

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