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現場の声を集めるには

2022年8月から Engagement Run! に参加している、NRI横山です。
草野球が大好きな、新米チームリーダーです。
今回は、現場の声を集めようとしたときに感じたことをシェアします。

なぜ、現場の声は集まらないのか

チームのエンゲージメントは、メンバー同士の関係性、メンバーとリーダーとの関係性、メンバーと組織の関係性などにより変動します。
ということは、チームのエンゲージメント向上のためには、現場メンバーがエンゲージメント向上活動に参加することが不可欠であると言えます。

そこでよくあるのが、「〇〇について現場の声を聞かせてください」のようなヒアリングです。しかし、返ってくるのは、おおよそ同じメンバーからの不平不満だったりします。。これはこれで(無反応よりは)良い反応なのですが、この状態のときに集まった「声」は、全体のごく一部である可能性が高く、チームのエンゲージメントを向上したいという目的を考えると、少々情報不足です。

あくまで、私の体験ですが、「声」を届けてくれなかったメンバーには、以下のような理由があったように思います。

  • 何となく思っていることがあるが言語化が難しい・面倒だ

  • ”意見”と"個人"が結びつくのが嫌だ

  • 深く考えすぎてしまう

  • 興味がない・何も考えていない

最後の「興味がない・何も考えていない方」については、また別の機会に書こうと思います。
その他のケースについては、以下のような取り組みをしました。

まずは、アウトプットの練習をしてもらう

「言語化が難しかったり、面倒だと思う方」は、課題意識の大きさよりも言語化にかかるコスト(手間)のほうが大きいと判断しているのではないか、と考えました。そして、対策として言語化にかかるコストを小さくする取り組みをしました。

  • 選択肢で回答してもらう(Wevoxのように)

  • 会議中など、その場で回答してもらう(宿題にしない)

  • 口頭・チャットなど、得意な手段で発言をしてもらう

  • 業務以外の話題に参加してらう(アウトプットに慣れる)

上の2つは、素早く回答できるようにして面倒さの軽減を狙っています。
下の2つは、その人にとっての言語化の難易度を下げたり、言語化の熟練度を向上させることを狙っています。
上記を日常的に繰り返します。上手くいけば、そのメンバーにとって「回答や発言をすること」は手間ではなくなっていきます。

「”意見”と"個人"が結びつくのが嫌な方」や「深く考えすぎてしまう方」には、ヒアリングの際に意図や狙いを丁寧に説明したり、ヒアリング方法を工夫しました。

  • ヒアリングの意図や狙いを丁寧に説明する

  • 匿名投稿で意見を募る

ヒアリングの際は、「どの立場で」「どのような気持ちで」「どの期間の自分を対象に」回答すればよいか、「何のために」このヒアリングをしているのかを、補足情報としてなるべく細かく伝えます。
気軽に回答してほしいがために、質問をシンプルに書くケースがあるかと思いますが、移ろう感情のどの部分を切り取って回答しようかと、思い悩む方もいます。
もちろん、細かい条件がたくさんあると、それだけでうんざりしてしまう方もいますので、あくまで補足情報として、「気軽な気持ちで」や「直近3ヶ月の気持ちを」などの条件、「施策検討のための予備調査なのでチーム外に漏れることはない」などの用途を添えて、意図や狙いを丁寧に伝えると良いかと思います。

本来、「あなたの意見」と「あなた自身」は切り離して取り扱うものです。
しかし、実際の現場では、「あなたの意見」と「あなた自身」が重なって見えてしまう方も多く、正直な意見を伝えることを躊躇ってしまいがちです。
また、優秀な方やベテランメンバーに見られるのは、正解を言わなくてはいけない、という意識・無意識が働いてしまう状況です。
このケースでは、匿名での意見収集を併用することをおすすめします。
例えば、目安箱を設置して意見を投稿してもらったり、匿名チャットで自由にコメントを書き込んでもらいます。
匿名と記名には、発言者個人に対する発言の責任の強弱の違いがあります。
故に、匿名のリスクである「無責任な回答の投稿」や「個別の課題に対するフォローが難しい」という点を意識する必要があります。匿名の回答は、原文のまま扱うのではなく、意見の要素に分解・分類して整理すると良いでしょう。
また、自由に回答してもらう行為は、先に述べた「意見をアウトプットする練習」にもなります。
匿名の特性を理解した上で、広く自由な意見を募るときや、声の収集に苦戦しているときなどに活用したいですね。

「アウトプットし続けたい」と思ってもらう

「声」を届けてもらうために私たちができることとして、よりアウトプットしやすい良い環境づくりがあります。
それは、心理的安全性が高い(安心して発言できる)環境であったり、発言機会の多い環境であったり、自分の意見を整理しやすい環境であったり、身の回りの出来事を自分ごととして考えやすい環境であったりさまざまです。
目安箱や匿名チャットなどのツールを用意するのも環境づくりですね。

そして、アウトプットに対しては、必ずフィードバックをしましょう
環境を整えても、アウトプットに対して報酬がないと、アウトプットし甲斐がなく、メンバーからの声は徐々に上がらなくなります。
アウトプットに対する報酬の一つが、フィードバックです。意見を集めるだけ集めて、それに対する感謝・集計結果の報告(分析や評価)・施策への昇華などが一切ない状況だと、「このアウトプットする行為は何の意味もない」と思われてしまうかもしれません。
適切なフィードバックがあれば、メンバーは「自分の意見は受け入れられた」と感じて、以降も「声」を届けようと思ってくれるでしょう。

みなさんの現場とはそれぞれ事情も違うかとは思いますが、現場の「声」がなかなか集まらない・・と苦労されている方のヒントになればと思います。


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