見出し画像

春の訪れを待つ... スペイン バレンシアのお祭り -Las Fallas-

毎年3月初旬、春の訪れを待つ時期になると、過去に暮らしていたスペイン東部の地中海沿いにある街、バレンシアのお祭りが恋しくなる。

2月の最終日曜日、バレンシアの旧市街の北側にある、中世の城壁の名残である
セラーノスの塔(Torres de Serranos)にて、ラス ファジャス(火祭り)の開会宣言"クリダ(Crida)"が行われる。
火祭りの時期になると子供たちがボンベタス(Bombetas)と呼ばれる癇癪玉や、
ペタルドス(Petardos)と呼ばれる爆竹やらでよく遊び出す。たまに大人も。。。
あっちでパンっ! パンっ!  こっちでパンっ! パンっ!  
これも、バレンシアの風物詩と思いつつも… やっぱ、うるさい…と思ったり。
お年寄りはあまりにも慣れ過ぎているからか? リアクションが薄い… 結構薄い。

青い海と温暖な気候、美味しいパエリアとワイン、真夏のビーチの暑さは…
学生ビザでバレンシアに住み、3回目の"ラス ファジャス"を迎えていた頃のお話。

中世、バレンシアの街を囲んでいた城壁で街への出入口だった、セラーノスの塔(Torres de Serranos)。 
塔の向こう側は旧市街。当時ここから北に歩いて10分ほど行った地区に住んでいた。

"サン・ホセの火祭り" -Las Fallas-

スペイン、バレンシアを代表する祭り"ラス ファジャス(Las Fallas)"は、 海外でも知られ、3月19日の守護聖人サン・ホセ(San José)の祝日を祝うことから、日本では"サン・ホセの火祭り"と紹介される。
本番と言われるのは3月15日から19日の最終日であり、連日いろんな伝統行事が行われ、日を追うごとに観光客も増えて行き、場所によっては動けなくなるところもあるほど多くの人たちが中心街(centro)に訪れる。

3月19日最終日の夜のフィナーレには、"クレマ(La Cremà)"にて約750を超える
大、小、巨大な張り子人形ファジャ(falla)を燃やし、バレンシアは春を迎える。
事前の人気投票で1位(最優秀賞)に選ばれたニノット(ninot 人形)は焼かれず、火祭り博物館(Museo Fallero)に永久保存される。

張り子人形の"人気投票"については、前回の記事で紹介している。


火祭りの"爆竹花火 マスクレタ" -Mascletà-

マスクレタは、ラス ファジャス期間の3月1日から最終日3月19日まで毎日14時、市庁舎前広場(Plaza del Ayuntamiento)にて"ぶち上げる" 約5分間、爆音。。。
終わった直後、そこら中、煙で"もわぁ~"っとなるのは… しゃーないか。
夜やその他の地区でも打ち上げられるマスクレタもある。

この年、"ラス ファジャス"をユネスコ無形文化遺産への提案中だった事で、この日例年よりちょっと派手にアピールした"色付きのお煙"にしたスペシャルなヤツを打ち上げるというので見に行った。
住んでいたPiso(アパート)から市庁舎広場まで距離にして2kmぐらい、歩いて20分程度。普段通り、散歩がてらカメラ片手に歩いてセントロへ行った。

(後の画像は、当時わたしが撮影したラス ファジャス2016の風景である。)

ほぼ街の中心、時間前からぞろぞろと同じ方向へ向かう人たち。
到着。普段は時間に遅れるのが当たり前の人たちが多くいる街だが、既にわんさか集まっていた…
Siempre boca abierta。arena(アレナ) の年中無休でっせ "Siempre abierta"にかけた看板。
マスクレタ中、口を開けておきなさいよ、という意味でもある。
逆光のポジションやん… 時間通りに始まって30秒ぐらいから色付きが上がり出す。
もう通常の白… 少しずつ連発が始まる。
爆音&振動&鼓膜が破れそ… "耳を塞ぐな、口を開けておけ"と地元の人はいう。
最後辺り、怒涛の連発と煙… "燻される人々とわたし"
終了。 Smoked people… "燻製になった人々"
ファジャスの時期は市庁舎前広場が金網デスマッチ状態。明日に備えてお掃除&セット、ご苦労様です。
ピパス(ひまわりの種)を食い散らかし、殻を捨てまくった後。バレンシアあるある。。。
ビールの缶も… 本来なら屋外、公共の場での飲酒はムルタ(multa)と言う罰金を科せられます… アカンで。

十分伝わったと思うが、?な方のために、vivirlapirotecniaさんのYoutubeにある
この日、実際に観た"色付きお煙のマスクレタ"のリンクを貼り付けておく。
爆音と煙のハーモニーをお楽しみくださいませ。4分辺りから最後、エグい…


光と音楽のイルミネーション -Luces de las Fallas-

マスクレタやファジャだけでは、ラス ファジャスとは言えないのである。
中心街南側のルサファ(Ruzafa)地区などにある通りに設置される大型のイルミネーションにて、光と音楽のイルミネーションが楽しめる。光と音のコラボレーションを逃すまいと、集まった人たちはスマホ片手に撮影しまくるのである。

イルミネーションのファジャ(Luces de Fallas)は、3月の2週目の金曜日から開始だったと思うが、毎夜20時から30分刻み、計4回? フィナーレに向かって、その回数は増えたはずである。
後のイルミネーションコンクール(los concursos de calles iluminadas)にて、
カテゴリー別に賞も発表される。

この時、最初に行ったのは、リテラト アソリン通り(Falla Cuba Literato Azorín)。
時間前ではあるが、たくさんの人たちが集まりポジション取りをする。
近づくとデカイわ。
さらに近づくと綺麗わ。音楽がかかり出すとイルミネーションの光も変化する。
終わったら、中を歩いて通り抜けてイルミネーションを楽しむ。
近くにあるプエルト リコ通り(Falla Cuba Puerto Rico)の方へ移動。
2曲の音楽、1曲はオーケストラっぽい、もう1曲はラテンミュージックだったと記憶している。
他の通りも合わせて計5ヵ所? ビーチがあるマルバロッサ(malvarroza)にもあったと思う。

プランタ -Plantà-

3月10日前後になると、バレンシアの中心部や郊外のいくつもの街角に、ファジャのパーツが現れる。小さな人形をNinot (ニノット)、集合体や大きな一体型のことをファジャ(falla)と呼ぶ。

ノルド駅の南にあるチャイナタウンで中国のラーメンを食べるべく出かけた、3月8日に撮った写真。
すでに市庁舎広場前の巨大ファジャ(Falla Ayuntamiento 2016 )の頭と足や骨組みがあった。

プランタと呼ばれる3月15日、16日の朝まで突貫工事のようにファジャは組み立てられてもいくのだが、さすがに約750以上のファジャをあちこち郊外を含め、二日間で組めるわけではないので、各パーツごとに分けられているファジャやニノットは、前もってバレンシア中の地区や通りに運ばれる。大きな"ファジャ"は3月16日の朝8時までに完成させるという決まりがある。(わたしの遠い記憶調べ)
大きいものは高さは20mを超え、その製作費用は20万ユーロ越えとか。

3月13日、プランタ前のセントロ。
ここからプランタ前の13日に、セントロに出かけた時の画像である。

毎年スローガン(lema)を掲げて作られる市庁舎前の巨大なファジャ(la falla del ayuntamiento)。
この年のモノは、過去2年、今まで見た市庁舎前のファジャとは全く違う雰囲気を醸し出していた。
大きな通りから脇に入った小さな通りに置かれたファジャ。でもデカい。
"パオ〜ン" インド?のイメージっぽい象のファジャ。
バレンシアの中央市場近く。
バレンシアノルド駅の北のアベニーダ(大きな通り)で目立つファジャだった。
ファジャだけでなく、各通りでは露店(puesto)なども見られ出す。
昔から伝わる伝統的な甘いケーキの屋台。マジで甘い… ほんまもっそ甘い…
昔ながらの飴やらグミ?やらのお店。日本でもお馴染みのリンゴ飴も。
こちらは大きな屋台の横、肉や野菜、ハモン、ピンチョス、エンブティードス、モルシージャなど。
バレンシア定番のチュロスやブニュエロの屋台。
そのチュロス屋さんの前で、誘惑に負けた同居人が買った"Relleno de crema de vainilla"。
バニラクリームが詰まったもの。歩き疲れるので甘いモノでエネルギー補給もよくやる。


3月15日のプランタ。
この日は、夜からセントロでプランタを24時前まで見てから、その後は夜の花火(Castillo de fuegos artificiales) を観るためにセントロから東方面のアラメダ
(el paseo de la Alameda)に行ったのである。
日本とは違って、夜の花火が上がるのは、ほぼほぼ24時、25時とかなのである。
バレンシアってそういうところだから…  (花火の画像はありません。)

ほぼ完成に近いファジャ。確かこのファジャが2016年の最優秀賞だった…と思う。(わたしの遠い記憶)
真横にあったファジャは小さくてもすごく緻密。
お爺ちゃんは誰? 囲いのサン ミゲルビール(San Miguel)も昔よく飲んだ。 
では頭、いきま〜す。
彼らはスカイマスターで上がって行くのであった。あちこちでこんな風景が朝方まで。
ほぼ完成の結構デカいファジャ。人気のファジャだった。
"Festum Bacchus" 
相当デカかったわ、魅せられたわ… ローマ神話の酒の神、豊穣の神、バッカスだった。ワイン飲みたい。
花火の後、てくてく歩いて帰る途中の25時ぐらい? まだまだ作業中の人たち&ファジェラのファジャ。


おまけ…  語学学校と火祭り  -La clase en Las Fallas-

わたしがバレンシアに住み、初めてのラス ファジャスを迎えていた時の話。
普段は雰囲気の良い教室、1日2時間×2回、計4時間の授業。日本語とは真逆の並びのフレーズに、知らぬ語彙の連続、脳もかなり疲れストレスを感じることも多々。

当時、通っていた語学学校では火祭中の街中で、スペイン語を使い、火祭り文化を学ぶ課外授業があった。
その日は、バレンシアらしい晴天と屋外でのお遊び授業にて、解放感MAX状態。先生と100人近い? 学生と共に、火祭り真っ只中の街中へ。

とりあえず踊らされたり… ペタルドスで遊んだり… も、楽しんでおいた…
クラスメートやルームメイトのイタリアーノたちとグループを組み、各問題の答えを調べるなど、めちゃくちゃ楽しみながらやったのである。
¡Fallas Yeaaah!  ¡Mar mediterráneo Yeaaah!  この時、四十四歳のおじさん…

現地の人にインタビュー!! で、休憩中だったブラスバンドの人達に超絶下手クソなスペイン語で強引にインタビュー。巻き込まれたブラスバンドの彼ら彼女らが即興の演奏までしてくれたことで、嬉しくて、皆で弾けて踊った。。。

この時、課外授業の中のイベントで"Falleros de Hispania"、いわゆる語学学校のミス&ミスター ファジェロスを選ぶというお遊びのイベントがあった。
Fallero de Hispania2014、とてもはしゃいでいたおじさん…"わたしが選ばれた…"
ミスはオランダの女の子だった記憶。衣装は先生方がわざわざビニール袋で作った素敵なモノだった… まぁ、名誉ということで。

語学学校のYoutubeを見たら、その課外授業の動画が残っていた。
お時間あれば観てやって下さい。(数シーン現れる… わたしはどの人?)


最後に。

行くならヨーロッパ、長く住むならスペインと絞り、最終バレンシアを選んだ。
スペインに住まなければ、ヨーロッパのものやモノ作りに興味を持ったり、今のように手縫いでの革小物製作をすること、ヨーロッパ産の革を使うことも無かっただろう。
日本には無いものを見て、知って、肌で感じて、いろんな国の人たちに出会い生活がすることできた街、バレンシアを選んで良かったと思っている。

ラス ファジャスには、オフレンダ(Ofrenda de Flores)など、まだ続きがあるが、詰め込み過ぎて長くなってしまったので、また次回に書こうと思います。

ではまた、¡Hasta luego!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?