ユング心理学と東洋思想 (河合隼雄全対話) (第三文明社)
最近また読む機会が増えてきた河合隼雄の著作。この一冊は、若松英輔さんの講座で「生と死の接点」を読む機会があり、そこで紹介されて出会った。
特に秀逸だったのが、河合隼雄、井筒俊彦、ヒルマン(著名なユンギアン)の3者の鼎談。
ヒルマンは、西洋文化の中からユングを読み解いてきた人であり、彼の来日に合わせて行われたこの鼎談では、ユングを東洋と西洋からどのように読み解くか?という話をしている。
冒頭、ヒルマンが「京都で色々な庭を見た中で感じた全体としての視点」の話をするところから始まる。
しばらくして発言を求められた河合隼雄は、西洋で語られるPersonalizationが日本人にはしっくりこない、という話をしたかと思えば、それに対してヒルマンから「私の捉え方は違う」と返され、そしてそれに河合隼雄は納得する。
さらには、「自分は司会役」と言いつつも、井筒俊彦が「悟り」における「上がる過程」と「下る過程」を語り、それに河合隼雄が得心がいった、という回答をする・・・。
とにかくこんな調子で3者が自説を展開し、それに対して自説を返し、さらには解釈が深まる、みたいなことが何重にも繰り広げられていく。
正直、自分がどこまでこの内容を咀嚼できているのかすら判断がつかない、というくらい、色んな観点が重層的に展開されていった。
少なくとも、3人が語るそれぞれの言葉が違和感を覚えずに読み進められるくらいには、この地域の言葉に明るくなってきたらしい、という確認はできた。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?