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毎日読書メモ(229)今年の本屋大賞は西加奈子さんでどうでしょう?

今年の本屋大賞の候補作が発表された。
読みたい、と思っている作品ばかりだけど、残念ながらまだ読んだ作品はなし。現在の売れ筋とか書評とかでの取り上げられ方から見て、ラインナップはすごく順当な感じ、と思ったが、昨年大賞の町田そのこと昨年2位の青山美智子以外、連続ノミネート作家はいなかった。この二人も昨年が初ノミネートで、その前は候補になったことはない。

過去の候補履歴を確認してみた。なんと、5人が初ノミネートである。
朝井リョウが初ノミネートってびっくり。2013年『何者』で直木賞。米澤穂信は今回ノミネートの『黒牢城』で直木賞受賞(そういえば一緒に直木賞とった今村翔吾は候補に入っていたことない…比較的時代小説がノミネートされにくい?)、2015年の『満願』で山本賞。西加奈子は2015年の『サラバ!』で直木賞。

青山美智子『赤と青とエスキース』(PHP研究所)
2021年2位『お探し物は図書室まで

知念実希人『硝子の塔の殺人』(実業之日本社)
2020年8位『ムゲンのi
2019年8位『ひとつむぎの手
2018年8位『崩れる脳を抱きしめて

米澤穂信『黒牢城』(KADOKAWA)
2016年6位『王とサーカス
2015年7位『満願

小田雅久仁『残月記』(双葉社)

一穂ミチ『スモールワールズ』(講談社)

朝井リョウ『正欲』(新潮社)

逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』(早川書房)

町田そのこ『星を掬う』(中央公論新社)
2021年1位『52ヘルツのクジラたち

西加奈子『夜が明ける』(新潮社)
2017年7位『i
2015年2位『サラバ!
2013年5位『ふくわらい
2006年10位『さくら

浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』(KADOKAWA)

別にノミネート回数が多いのが偉い訳でもないが、ノミネート歴の息の長さ、問題意識の提示の仕方なども鑑み、そろそろ(って表現も変だが)、西加奈子が本屋大賞をとるといいな、と思った。
たまたま、NHKのニュースウォッチ9で西さんへのインタビューを聞いたから引きずられているのかな、という気もするが(要旨こちら)、インタビューのすべてが心に刺さった。

--物語を読んで強く印象に残るのが、主人公にかけられる「苦しかったら助けを求めろ」という言葉で、胸に刺さりました。この言葉にどういった思いが現れているのでしょうか?
西さん:この小説で、一点反省するところがあれば、「苦しんでいる人がいれば助けろ」という言葉を書くべきやったと思うんです。「苦しかったら助けを求めろ」と。助けを求められない人が悪いみたいになっちゃうけど、本当はそうじゃない。言いたいことは、「あなたの苦しみを他者と比べる必要はない」ということなんです。あなたが苦しかったら、それはたったひとつの切実なあなたの苦しみなんだから、助けを求める権利があるということを言いたかった。

NHKウェブサイトより

西加奈子の小説は読みにくい(個人の感想です)。肌を逆なでされるような感触に違和感を覚え、この人は何を言いたいのだろう、と戸惑いつつ、手探りで読み進めていくうちに、少しずつ物語が自分に寄ってきて、心を掴まれる。そして最後に、手のひらの中に何かが残る。
西加奈子の作品はもっともっと沢山の人に知ってもらえるといいと思う。本屋大賞取れるといいな、と願って。

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