姫野カオルコ『ツ、イ、ラ、ク』『桃』(毎日読書メモ(360))
姫野カオルコ、たまーに読んで、ざわざわした気持ちになる作家。どの作品もそれなりに読ませて、読書にもやもやした気持ちを引き起こす力を持っているが、代表作は『彼女は頭が悪いから』(文春文庫)ということでいいのか? それよりも10年位前の、半自伝的な雰囲気を漂わす『ツ、イ、ラ、ク』(角川書店、のち角川文庫)と『桃』(同、タイトルは文庫化された際に『桃―もうひとつのツ、イ、ラ、ク』に)の感想。
『ツ、イ、ラ、ク』:先に『桃』を読んでしまったので、さかのぼってみる。中学生特有のもやもやした感情とか、地方社会に生きることの閉塞感とか、主体をどんどん取り替えながらじゅんじゅんに語っていく。主人公隼子の肉体的な欲求とかそういうものもよく伝わってくる。奔放でストイック。作者のモノローグが入り、メタフィクションっぽくなっているが、うざくなってないところがすごいな。(2010年10月の読書メモ)
『桃』:初出バラバラなのに、ひとまとまりとして読める、過去のある時代の物語。『ツ・イ・ラ・ク』読んでないのだが、その後日譚なの? 健全な欲望の不健全なうわべ、という感じ。いやらしくてよかった。(2010年8月の読書メモ)
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