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毎日読書メモ(258)『リンさんの小さな子』(フィリップ・クローデル)

フィリップ・クローデル『リンさんの小さな子』(高橋啓訳、みすず書房)についての過去の読書記録。フィリップ・クローデルは1962年生まれのフランスの小説家・映画監督。

人に勧められて図書館で借りてみた。土地の名の固有名詞なしに、船に6週間も乗って、戦火の祖国から難民として文化の全く違う国に移ったリンさんと、息子の忘れ形見の赤ん坊。その赤ん坊だけに向き合い、他に目を向けなかったリンさんが、公園で出会い、全く言葉が通じないのに心を通わせるようになるバルクさん。自分の将来に何の展望もなく、その小さな子を育て上げることだけを考えていたリンさんの哀しい終末。人生の終わりを、愛のことだけ考えて生きた老人の思いがけないまでの強さが胸を打つ。(2011年10月の読書記録)

これ以上、世界に難民となる人が増えることのないように、と強く願う。

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