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毎日読書メモ(175)『嫌われ松子の一生』(山田宗樹)

過去日記より。単行本の装丁の美しさで読んだ、ジャケ買い読書。

山田宗樹『嫌われ松子の一生』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫で上下巻)を読む。本屋の店頭で、本の表紙を見たときから気になっていた本だが(赤い鹿の子模様の千代紙の表紙で、なんだか心に残るのだ。それに「嫌われ」ってなんだよ、と、タイトルも面白い)、単行本で見たときも、最近文庫に落ちたときも、もう一歩のところで買えず、そうしたら図書館で発見したのだった。優等生として育ち、国立大学を卒業して中学校の教師になった松子がどういうきっかけで「嫌われ」松子の人生を歩むことになったのか、松子の死後、初めて松子という伯母の存在を知った甥が、松子の足跡をたどる現在と、松子自身のモノローグで語られる半生が縒り合わされるように描かれ、読者はため息をつかずにいられない。勤勉で真面目な気質を持ち、どんな環境ででも努力をする才能を持つ松子が、一種の極限状況に置かれたときに、思いもかけない行動を取ってしまう、そういう一面を持っていたため、本人すら想像もしなかった流転の人生を歩むことになってしまう、その過程が、昭和40年代から今日に至るまでの時代背景と共に描かれる。自然とページを繰る手が早くなる、不思議な力を持った本だった。
(2003年10月の日記より)

単行本が2003年1月刊、文庫になったのが2004年8月で、2006年5月に中島哲也監督で映画化されている。自分の過去日記と文庫化のタイミングが合っていないので調べてみたら、2003年7月に幻冬舎スタンダードという新書が出ていた模様。

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