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Q 仮処分の流れを教えてください。

A 申立→面接→双方審尋→担保決定→供託→発令→削除・開示→担保の回収という流れです。

解説いたします!

1 申立
地方裁判所の保全部に申し立てを行います。東京地方裁判所では、2階の民事9部で申し立てを行います。

2 債権者面接
弁護士と裁判官のみが参加する打合せ(これを「債権者面接」といいます。)が実施されます。ここでは、弁護士が、申立書の内容や疎明資料について裁判官と意見交換をします。裁判官としては、この債権者面接の段階で、開示決定できるというある程度の心証を形成してから、プロバイダ等(これを「債務者」といいます。)の反論に進むことを好みますので、主張や疎明が足りない場合には、再面接期日が設定され、補充の書面等を提出する場合もあります。また、場合によっては、発令の見込みなしとして、裁判官より取下げを勧告されることもあります。これに従わない場合には、申立を認めない旨の決定が出されると考えられます。債権者面接の結果、被保全権利の存在や保全の必要性にある程度の見込みが立った場合、裁判官が、弁護士と裁判官に加えて債務者も参加する期日(これを「双方審尋期日」といいます。)を設定します。

3 双方審尋
双方審尋期日では2~3週間にわたって主張と反論が行われます。

4 担保決定
裁判所は、申し立てに理由があると判断した場合、通常、7日以内に、担保金を予納することを命じます。担保の金額はほぼ固定されていますが、対象記事が多いケースや、権利侵害性が弱い場合などに加算されることがあります。

5 供託
裁判所から命じられた担保金を法務局に供託します。

6 発令
法務局で受け取った供託書正本等を裁判所に納めると、裁判所が開示決定を発令します。

7 削除・開示
数日から数週間の間に、プロバイダが記事の削除やIPアドレスの開示等を行います。

8 担保の回収
供託金を取り戻します。
仮処分の担保は、違法・不当な仮処分決定により債務者が被る損害を担保するものであり、債務者の被る損害全般が対象になりますので、全額戻ってくることを保証することはできません。もっとも、実際上、サイト管理者も接続プロバイダも、担保に対して権利行使することはないといわれており、戻らなかった事例は聞き及んだことがありませんので、全額戻ってくる可能性が高いと考えます。開示された後に、裁判所に対して担保取り消しの手続を行うとともに、法務局で取戻しの手続を行います。この手続きには、数か月程度の時間がかかるほか、外国会社の登記のない海外法人の場合にはさらに数か月が必要となる場合もあります。
担保を取り戻した場合、民事保全法の建前上は、削除された投稿等が復活する可能性がありますが、プロバイダが復活させた例は聞き及んだことがありませんので、プロバイダが復活させる可能性は低いと思われます。

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