【初めてのゴール裏】2024.3.30 名古屋グランパス vs 横浜F・マリノス
気が付いたらソファで寝込んでいて、寒さに震え目覚めたのが25:30。「夢じゃなかったよね?」とすぐにXのアプリを開いて昨日(2024/3/30)観戦した試合の結果や関連するポストを確認し、安心して直ぐにベッドへ移動しました。ぐっすり朝まで眠りたかったのですが、身体が興奮しているのか再度目覚めてしまったのが28:30。そこから仲間のポストを眺めてしまい、気付けば29:27。三度目の就寝を諦め、このnoteを書き始めた次第です。
今年の1月から名古屋グランパスのサポーターになった私にとって、この3ヶ月はその数字的な長さや一般的な感覚としての期間、そしてこれまで私が生きてきた人生のどこの3ヶ月と比べても、全く趣が異なるもので、その密度が故に、昨日の豊田スタジアムで味わったサポーターとしてのホーム初勝利に、感情の行き場を見つけることができず、疲れ果ててしまい気付いたら寝ていたのだと今感じています。
先々週の初のアウェイ遠征については、当初からその様子をnoteに記録しようと心に決めておりましたが、昨日の横浜F・マリノス戦に関しては、そのような事前の心構えはありませんでした。
ただ、昨日の試合が余りにも劇的で、帰り道の間も放心状態で、こんなことは人生でそうあることではないのかなと思い、徒然なるまま書いてみようと思った次第です。
もしよろしければ、最後までお付き合いくださいますと幸いです。
何気ないオファー
遡ること29日前の3月2日(土)、FC町田戦の試合前にとあるグランパスサポーターの方とお会いしました。
※2024/3/31 13:30 追記
ご本人から許可いただきましたので、お名前追記させていただきました。
クラブスタッフ時代から、なかぢさんのTwitterでの発信に触れていて、グランパスに関するTweetがあるたびに同じ部署の同僚と話題にしていた、そのような方です。
私がXを9年ぶりに再開した1月下旬、なかぢさんにフォローバックいただいたタイミングで、クラブスタッフ時代のお礼をDMで送らせていただきました。そして何度かやり取りをさせていただいた後に、「では、お会いしましょう」となったのがホーム町田戦だったのでした。
私は何度もお顔を拝見している立場、なかぢさんはご自身の過去の写真を見返してくださり、2017年の某忘年会での写真の端に小さく映った私の顔を確認された程度。待ち合わせ場所で声をかけたのは私からでした。
8年半の感謝をお伝えさせていただき、お互いの近況を共有し、ではまた今度とお別れしようとしたその時、なかぢさんより「次のホーム、行けないのでシーズンチケットをお譲りしましょうか」とお申し出を下さいました。
なかぢさんの熱狂的な選手のサポートぶりは、先述のTweetだけでなく、試合前のゴール裏の様子を私がスマホで動画撮影していた時に毎度感じていましたし(なかぢさんのゲーフラはセンス抜群なので、ピッチレベルからすぐに目に入るのです)、グランパスのオフィシャルフォトグラファーによる試合時のゴール裏の写真にも幾度となく写し出されていましたので、その譲ってくださるチケットの席種も直ぐに想像がつきました。
お話を頂いたその時の私は、その前節の開幕戦を初めて観戦したに過ぎない身。その時の席もロイヤルシートで、とてもではありませんがなかぢさんのシーズンチケットの席種で観戦できるような立場にないと思いましたので、丁重にお断りさせていただきました。
そしてこの後の試合での健闘をお互い約束し、なかぢさんとゴール裏のコンコースでお別れし、私はバックスタンドへと足を運んだのでした。
再度のオファー
先週の水曜日(3/27) 横浜F・マリノス戦の3日前に、なかぢさんよりXのDMを頂きました。
再度のゴール裏への誘いでした。
私はなかぢさんとお会いできたホーム町田戦において、ゴール裏のカッコよさをバックスタンドから見て改めて感じており、
アウェイ柏レイソル戦では初めて、ゴール裏で試合中何が起きているのかを知りました。
“聖域”であるゴール裏へのリスペクトが私の中で更に強まったのとは裏腹に、親近感を感じ始めていたのもまた事実でした。
そのような中で頂いた再オファー。横浜FM戦をロイヤルシートで観戦予定であった私は、なかぢさんのオファーを有り難く受けることを決めたのでした。
緊張の前日
クラブスタッフを辞めてからサポーターとして4試合(うち現地観戦3試合)を経験した中で、実のところ、その試合前日の緊張感は何ら変わることが無いことに気付きました。
違うのはその事前準備の内容だけで、試合に臨むその姿勢や心構えに、クラブスタッフとサポーターの間に相違はないのだと、頭の中では理解していたつもりですが、改めて心で感じることができたのでした。
横浜FM戦の前日はその緊張感に加え、初めてゴール裏で観戦するという事実が加わり、どうしても落ち着くことができませんでした。
ですので、横浜FMを横浜名物になぞらえた夕食を摂ったり、
ウェルビー栄で心身を整えたりしました。
それでもやはり試合前日の興奮を抑えることはできず、最高のタイミングでクラブが発してくれたこれまた最高の動画によって、その昂ぶりは最高潮に達してしまったのでした。
ますます眠れなくなったのは記すまでもありません…。
758 Run〜豊田スタジアム
迎えた試合当日の朝、週末恒例のRunの準備中に、一つのポストが目に入りました。
ロッキー・ジュニオールさんのそのナイスランに直ぐ触発された私は、いつもより少し距離を短くすることに決め、私のお気に入りの名古屋城のスポット「鵜の首」のそばを通ることに決めました。私たちの誇るホームスタジアムへ横浜FMを誘い込むんだ、という意味を込めて。
そのRunによって試合当日の興奮を幾分か鎮めることができた私は、初めてお会いするXの相互フォローさんと約束した14時まで、家でゆっくりすることにしました。
この日は「グランパス応援きっぷ」を使って名古屋鉄道で豊田スタジアムへ行きたいと考えていたので、自宅から金山駅まで歩き…と当初は予定しておりましたが、家でグラサポの皆さんのポストを眺めては「いいね!」を繰り返して時間を過ごしていた私は、歩いて行く時間が結局無くなり、最寄駅から名城線で金山駅を目指すことになりました。
金山駅に到着し、無事に切符を購入。
途中の知立駅での乗り換え時に、マリサポの幸せカップルにアシストいただきながら(初めての知立駅の乗り換えは複雑に感じました汗)、
私は無事に豊田スタジアムに到着したのでした。
※2024/4/2追記:知立駅は今改修中とのことで、駅構内の導線が一時的に複雑であるようです。このマリサポカップルさんは日々乗り換えに慣れている愛知県在住の方々だったのかもしれません。
思いがけない記念撮影
約束の時間にかぐらさんにお会いでき、しかし挨拶もそこそこに、そのかぐらさんにお誘いいただき、とある記念撮影に参加することになったのでした…。
ふみふみさん主催によるこの撮影会はもちろん、その他の方々によるグラサポ間の交流は、「グランパス」でエゴサできる限りは、クラブスタッフ時代に眺めては、その都度ほっこりさせていただいておりました。しかし、まさか自分が参加することになるとは…。
ただ、この日は「28」が欠番だったようで、榊原杏太選手ユニの私は初回にして貢献できたのでは?と嬉しくなり、参加して良かったですし、とっても楽しかったです!
「マリサポ兼グランパスくんサポ」さんとの初めまして
この日はそのかぐらさんだけでなく(かぐらさんとお会いした際、開幕戦以来のhiroさんにもお会いできました)、もう二人、素敵な出会いがございました。
お一人目はかほさん。昨日の対戦相手である横浜FMのサポーターの方です。
かほさんは私の退職エントリをお読みくださり、Xのフォローもしてくださり、X上で何度かやり取りさせていただいていたのでした。
そして試合当日の朝、
のような心温まるリプライをしてくださり、お会いできることになったのでした。
しかし、この日のチケットをお譲りくださったなかぢさんと同様に、私はかほさんのことを実はずっと前から知っていたのでした。かほさんはマリサポとして愛するクラブをサポートされているだけでなく、グランパスくんファミリーも愛でてくださる方だったからでした。
クラブスタッフ時代、2017シーズンをもってクラブからグランパスくんのマネちゃんが去った後、グランパスくんのSNSを私はサポートさせていただいてました。その中で数多くのグランパスくんへの愛情をグランパスくんと一緒に感じさせていただいていたのですが、その中でも一際その愛を届けてくださっていたのがFマリサポと一目でわかるアイコンのかほさんでした。
試合で全力を尽くし合う相手クラブとは、事業スタッフ同士のやり取りこそありましたが、SNS上で相手クラブと温かい交流があることは年に一度有ればいい方です。そういった勝負の世界において、グランパスくんへの他クラブサポーターの方による愛情は、心のオアシスどころか、日々における宝物に近い感覚でした。そのことをかほさんにお伝えさせていただきました。本当に嬉しかったです!
かほさん、ご多用の中、ありがとうございました。お土産の崎陽軒「横浜月餅」美味しく頂きました!
X上の飲み友達から真の飲み友達へ
お二人目はシンキッチさん。
先のお二人と同じく、クラブスタッフ時代からそのTweetに元気を頂いていたアカウントのうちのお一人でした。
そして1月にXを再開して以降、タイムライン上で交流を続けさせていただいておりましたが、今月頭に私が少し落ち込んでいた時に、ポストやDMで温かい言葉をくださったのがシンキッチさんでした。本当に助けていただきました。
なお、シンキッチさんはサッポロビールの新銘柄をXで教えてくれるので、オンライン上の“飲み友達”であると私は感じていました。
そんなシンキッチさんと念願のリアル乾杯をさせていただき、
楽しい時間を過ごしていたところ、豊田スタジアムからヨースケさんの声が鳴り響いているのが聞こえてきました。選手迎え入れに間に合わなかったことに気付いた瞬間でした…。楽しい時間はすぐに過ぎてしまうものです。
シンキッチさん、ご多用の中、ありがとうございました。頂いた美味しい日本酒、最高でした!
初めて訪れる聖域
試合中のゴール裏には一度だけ取材の立ち合いで入ったことがありましたが、その時は仕事に集中していたので、その凄さを肌で感じることができていなかったように思います。
しかし、サポーターとして訪れるゴール裏は、正に聞きしに勝る空間でした。
メインのコンコースからゴール裏コンコースに足を踏み入れた瞬間、その身体に受ける圧に怯んでしまったほどです。幾度か通り過ぎたことはあったのですが、自分がその“聖域”に入り込む、という事実がそうさせたのだと思います。
その声と拍手、緑のピッチが見え隠れするくらいに密集して振られるパイフラ。サポーターが作り上げるその空間に、ただただ圧倒され、胸のドキドキが収まることはありませんでした。
そのような圧を感じながら、なかぢさんから譲り受けたシーズンチケットの座席を探しました。31⚪︎番台、30⚪︎番台、29⚪︎番台…。コンコース上を左へと横に移動しながら、譲り受けたシーズンチケットの縦位置に辿り着きました。それは何と右側のゴールポストすぐそばの所からの延長上でした。コンコースから眺めるだけでも、ゴールシーンが見やすいだろうなと感じました。
その時は、選手が既にピッチインされて試合前トレーニングをしている最中で、各選手へのコールが始まる直前でした。束の間の静寂のなかサポーターの方々を掻き分け、階段を降りるその最中も、胸の鼓動は収まる気配はありませんでした。
席に到着し、両隣の方に挨拶した方がいいかなと思いながらも、お二人ともピッチ上の選手から目を一切離さずにいらっしゃたので、声をかけるタイミングを逸してしまいました。
そしてピッチへと目をやると、その近さに、一気に緊張が高まりました。
初めての声出し
席に到着すると間もなく、各選手へのコールが始まりました。
実はゴール裏での観戦を決めたものの、声にコンプレックスのある私は、拍手で貢献すれば良いかなと考えておりました。前近代的な時代を過ごした一社目と二社目の酒席において、私は先輩譲りのタンバリンテクニックでクライアント様の心を掴んできました。そのリズムを持ってすれば、初めての参戦とは言えゴール裏に貢献できるのでは、と甘く考えていたのでした。
しかし一緒に闘う仲間の声を聴いた瞬間、そんな生半可な姿勢ではダメなことをすぐに察し、自分なりに声を張り上げました。
とは言え、普段声を張り上げるような生活をしているわけではないので、その声量はか細いものだったと思います。それでも、8年半に渡って私も全身に受けてきたチャントとコールの歌詞と言葉が、自然と口から発することができたのは、自分でも誇らしかったです。
初めてのアンセム
席に着いた時に周囲の方へ無言のままその場に収まってしまったことは先述しましたが、そのなかぢさんの席がシーズンチケットでないと購入できないようなエリアだったが故に、私が一見さんであることは周囲の方々からも明らかだったと思います。服装もユニフォームこそ着用していましたが、ゴール裏戦士が醸し出すような雰囲気を纏っているわけでもなかったからです。
試合前トレーニングが終わり、選手がミックスゾーンへ姿を消した瞬間、私は席に持参していたビールを飲み干し、追加のビールを買いに行きました。飲んでいないと、ゴール裏の独特の雰囲気に耐えられなかったのです。
その日4杯目のビールを手に席に戻った後、コールリーダーのシンゴさんから立体コレオを用意しているとの説明が稼働席組へありました。後から知ったのですが過去にも実施したことがあるそうで、しかし私の広報時代には記憶が無く、初めての試みであると早合点してしまった私は、テンションが上がってしまいました。そして首にかけていたタオルマフラーを頭上に掲げ、その立体コレオの陰で、初めてスタジアムでアンセムを歌ったのでした。
正直、ところどころ歌詞に詰まった所はありました。それでも立体コレオの実施に立ち会えた興奮も手伝って、私なりに歌うことができました。試合前トレーニング時の各選手へのコール時より、声が大きくなっていることを自分ながら感じることができました。
※2024/4/2 8:30 追記
裏側から見ていた立体コレオのカッコよさを、試合後にXの投稿で答え合わせしながらのビールは本当に最高でした🍺
心が通い合ったと感じた瞬間
キックオフ後、シンゴさんが最初に繰り出したのは『ラ・マルセイエーズ』でした。クラブスタッフ時代の9シーズンに渡って、数え切れないくらいチカラを貰ったチャントです。私は発することのできる限りの声で歌いました。柏戦の勝利を導いたと私が信じている、あの入りの『デスパシート』のように。
※ 2024/3/31 16:00 追記
キックオフ後、そのゴール裏の雰囲気というか熱量へ見事に飲み込まれた(良く言えば乗れた)のですが、サッカー観戦としてはほぼ初めて見る眺めだったので、始めは見え辛かった、と言うのが正直なところです。しかし、大学のサークルと30歳前半のそれぞれ数年間、フルコートでサッカーをしていたので、その時のことを思い出してからは、逆に選手目線でピッチを縦方向に俯瞰できるようになり、一気に観やすくなりました。
その後も『Come on!』『イッツ・タイム・フォー・ナゴヤ』『この声を力に』『フォルツァ・ナゴヤ』『ディス・イズ・ホーム』など、私の心身に刻まれているチャントの数々を全力で歌いました。もう、タンバリンでクライアント様との酒席を誤魔化していた私はもうそこには居ませんでした。
※ 2024/3/31 16:00 追記
前半の45分間は、ずっと声を出し続けながら立ち続けるという初めての体験でしたので、その少しの疲れを癒すために、お手洗いに行きました。ゴール裏のお手洗いは思ったよりスムーズに行列が進み、余裕を持って自席へ戻ることが出来ました。
※2024/4/2 8:30 追記
前半終了時に感じた疲労感は、上述の45分間に渡り声と拍手をし続けたことによるものだけではなく、yuttyさんのレビューを読んで、グランパスが意図して忍ぶプレーを選択し “非保持で優位を取る” 45分間によるものだった、と感じるようになりました。
次節からは疲労を感じることなく、長谷川健太監督の意図を汲めるように観戦できるよう努めたいと思います。
深みのある観戦方法のきっかけを与えてくれたyuttyさんに感謝。
54分に横浜FMに先制ゴールを許した後、私は正直ガクンと来てしまったことをここで告白します。私の席からはゴール前の混戦が余り見えず、何とか切り抜けて欲しいと思った矢先に、永戸勝也選手の脚の振りとネットが揺れる瞬間だけは、しっかりと目に飛び込んできてしまったからです。
しかし、ゴール裏の仲間はやはり違いました。直ぐに気持ちを立て直し、切り替え、シンゴさんの指揮のもと「名古屋グランパス」のコールを繰り出したのでした。
その「名古屋グランパス」のコールの時、私の声が仲間の声に吸い込まれた瞬間が訪れたように感じました。私の全力の声が仲間の声と同化するというか、どれだけ声を出しても自分の声が自分の耳には届かず、「ゴール裏の声」として耳に届くというか…。
アウェイ柏戦の翌日、同じ千葉県で開催された「PUNK SPRING 2024』に私は参戦し、そのライブにおいてHi-STANDARDの『STAY GOLD』をハイスタのメンバーとオーディエンスと一緒に合唱しました。ただ、私の立ち位置が会場の真ん中付近であったことも影響したのかもしれませんが、自分の歌声は自分の歌声として、周囲の歌声は周囲の歌声として、ハイスタのメンバーの歌声はメンバーの声として、聴こえてました。それはいつも通りのライブにおける合唱で、いつも通りのかけがえのないライブ体験でした。人と一緒に歌うことは、そういうものだと思っていました。
しかし、先制ゴールを許した直後の私の『名古屋グランパス』のコールは、ゴール裏の声に私の声が “加わった” ように感じたのでした。振り返ると、「合唱」ではなく「一心同体で歌う」という表現の方がしっくりきます。本当に自分の声が自分の声として耳に届くことなく、「ゴール裏の声」として耳に届くのです。
そして何となく距離を感じていた両隣のサポーターのお二人が、私を仲間に入れてくれたようにも感じられました。両隣の方とも一心同体となり、コールを、チャントを、拍手を、共に繰り出せるようになったと感じたのでした。
そして、77分に訪れた森島司選手の同点ゴール。森島選手のループシュートがゴールへと吸い込まれた瞬間、その両隣の仲間とハイタッチ、更には周囲360°の仲間とハイタッチをして、喜びを分かち合うことができたのでした。
私はその時、ゴール裏に受け入れてもらえたような感じがしました。
アディショナルタイムの奇跡
前半でのスクランブル交代出場で少し浮き足立っているように見えた吉田温紀選手への米本拓司選手による声掛けや、その温紀選手による森島司選手のゴールを導いた素晴らしいアシストなど、言及したいディテールやプレーが昨日の試合にはたくさんあります。しかし、noteを書き始めて3時間近く経ってしまっているので、山中亮輔選手のグランパス初ゴールのシーンと試合終了時のシーンに絞って振り返させてください。
後半45分を迎えようとしていたその時、右サイドで何度か良い崩しを続けていたグランパスの選手たちを後押ししていたのは、グランパスサポーターが作り上げていた豊田スタジアムの雰囲気だったと、私は思っています。あの時間帯の選手たちはどこかリラックスしながらも、ゴールだけを目指してピッチ上で全員が “躍動” していました。それを可能にしていたのはあのスタジアムの空気感だったのでは、そう私は感じています。
右サイドの和泉竜司選手からグラウンダーのクロスが入り、そのボールをペナルティライン近くで収めようとした倍井謙選手がバックチャージを受けた瞬間、私は「PK!」とばかりに右手を空に繰り出してしまいました。しかし、ゴール裏の仲間たちは冷静でした。一呼吸置き、柏戦で2つのゴールを生み出したそれぞれのセットプレーの時と同様に『風』チャントを歌うことで、豊田スタジアムに上昇気流を巻き起こしたのでした。
私は全身をその風に委ねました。委ねながら、最後の力とばかりに全力で『風』を歌いました。
その歌声の中、集中を最大限まで高めた山中亮輔選手が左足を一閃したその刹那、ゴールネットが揺れました。そして豊田スタジアム全体が揺れました。
グランパス公式Xアカウントによる表現 “ヤマの完璧すぎるフリーキック” が、ゴールネットだけでなく、豊田スタジアムだけでなく、私たちの心をも、揺らしたのでした。
※ 2024/3/31 21:30 追記
山中選手のインスタのコメントを、ここに追記しないわけにはいきません😌
タイムアップの瞬間
タイムアップのホイッスルが鳴った瞬間、私はガッズポーズをしそうになりました。しかし思い止めました。何故か?ゴール裏の仲間たちが試合終了間際から歌い始めた『輝く星を』を歌うのを止めなかったからです。なので、私も喜びたい気持ちを封印し、歌い続けたのでした。
2024シーズンのホーム初勝利、昨年8月以来のホームでの勝利、苦しんだ開幕からの“逆襲の二歩目”…。いくらでも歓喜に湧く要因や理由付けはあったはずです。それでもゴール裏は『輝く星を』を歌い続けたのです。なので私も歌い続けました。
そして歌いながら気付くのです。この勝利がこの試合の勝利というだけでなく、「輝く星」へと連なる、そのための勝利なのだと。その歌は選手がスタジアムを周回する間も続きました。
あの選手による『風』チャント
ゴール裏に選手がやって来て、今シーズン初の『風』の合唱の時が近付いて来ました。私にとってもサポーターとして初めての選手との合唱です。
そんな合唱前のソワソワを、永井謙佑選手が見事にファストブレイクしてくれました。トラメガを殊勲の温紀選手へ手渡したのです。
少し苦笑しながらトラメガを受け取る温紀選手、そして温かく見守る選手たちとサポーターの面々。
ここで一つのエピソードというか、私の個人的なお話をさせてください。
温紀選手がトップチームへ昇格した2022年春、同時に昇格した甲田英將選手と豊田晃大選手と合わせた3選手に、私はプロアスリートとしてのSNSの使い方講習を行いました。
アカデミー選手に同様の講義を行う際はみんながメモを取り、質疑応答も活発です。そのアカデミー時代に私が既に三選手へ講義をしたことがあったこともあったでしょうし、はたまたコロナ対策としてオンラインで開催したことが影響したこともあったのだと思いますが、講義中三選手とも少し覇気がありませんでした。私がコメントを振ってもやる気のない生徒のような回答が戻って来て、トレーニングの疲れもあったのかもしれません。ただ講義後に担当の坂本亮史トップチームスタッフから私が謝られてしまう、そんな有様でした。
もちろん私の講義内容の拙さに起因することなのだと思いますが、三選手のその時の様子と当時のSNSの使い方を見るにつけ、若干の心配を私が感じてしまったのも否めませんでした。
その温紀選手がトラメガを手に堂々と「名古屋〜」と『風』の歌い出しを繰り出した瞬間、7年前の佐藤寿人さんと楢﨑正剛さんの姿が自然と浮かび上がり、私は涙を堪えることができなかったのでした。
※2024/4/1 20:00 追記
ミッチと楢さんのポーズが一緒ですね😆
家に帰るまでがゴール裏
ミックスゾーンにはけたランゲラック選手がコールに応えるために私たちの前に姿を現してくれて、改めてロッカールームへとその姿を消した後、私は少し座って落ち着こうと思いましたが、意外に周りの仲間は直ぐに自らの座席を離れていったので、私もそれに倣いました。僭越ながら、コールリーダーのシンゴさんとドラムのKazuyaさんに挨拶をさせていただいた後、豊田スタジアムを後にしました。
初めて渡る勝利後の豊田大橋。その自然に起こる渋滞も、周囲の方々の話し声、つまりは勝利の喜びの声を聞きながらの牛歩なので、全然苦ではありませんでした。
橋を渡った後に少し喧騒から逃れたくなった私は、ドリンクを買おうと近くのドラックストアに足を運びました。気がついたら、名古屋グランパスが誇るパートナー アサヒビール様の「アサヒスーパードライ」を手に取っていました。
そして気分の良くなった私は豊田スタジアムを愛でて、
初めて目にする祝祭感溢れる豊田市駅前の街から幸せを分けてもらい、
名鉄に乗って金山駅に到着したのでした。そして酔いを覚ますために自宅まで歩き、自宅に着いた瞬間バタンキュー、この文章の冒頭に繋がるというわけでした。
今こうして書き終わったわけですが、この文章が夢日記ではないことを、私には証明する手段がありません。ですので、この文章を校正せずにnoteへ取って出しして、直ぐにDAZNを観たいと思います。観終わった後、加筆修正するかもしれませんことご容赦ください。
※2024/3/31 16:00 追記
ドラムのKazuyaさんが試合後にこんなポストをされていたことに遅ればせながら気付きました。昨日の試合は “俺が勝たせた” と言っても良いのでしょうか…😌
※2024/4/2 8:30 追記
キックオフから長い時間を耐え忍び、横浜FMの先制ゴールに起きた「名古屋グランパス」のコール時に、私はゴール裏に加われたように感じましたが、森島司選手の同点ゴール時は、それこそ頭上を覆うゴール裏の屋根だけでなく、メインとバックを加えた三方向の屋根が豊田スタジアム中のグラサポの声と拍手を跳ね返し、それはそれはすごい音響でした。
ピッチで撮影していた月刊グランの木村友仁フォトグラファーの下記ポストの言葉が正にそれを表していて、上述のKazuyaさんの言葉を私も発して良いのかな、なんて試合から三日目の朝にも関わらず、またもやほくそ笑んでおります。
一生忘れられない体験をさせていただきました。なかぢさん、本当にありがとうございました。
そして、名古屋グランパスに関わる皆さん、2024ホーム初勝利✨本当におめでとうございました!
そしてそして、最後までお読みくださり、ありがとうございました。
※2024/4/2 21:30 追記
このnoteに関して、「ゴール裏とはこうあるべきという “べき論” を推し進めることにならないか」「ゴール裏を聖域化し過ぎではないかと」との指摘を頂きました。
ただ、この文章は、私がゴール裏で初めてグランパスを観戦(旧国立競技場のゴール裏最上段から高校サッカーを観戦したことはあります)し、そこで感じたことやその場所の雰囲気に影響を受けて、90分闘った観戦記になります。
お読みいただきました通り、ゴール裏での他者とのコミュニケーションは、得点時のハイタッチと試合後の挨拶のみです。決して誰かからその応援スタイルを強制されたわけでありません。
そして、私なりのバックボーンが影響し、9シーズンに渡ってピッチレベルから見てきたゴール裏の情景(憧れと言えるものかもしれません)が加味されての「初ゴール裏観戦記」となります。
ですので、とあるサポーターによる、とある観戦記、に過ぎませんし、それでもゴール裏の雰囲気が少しでも伝わり、少しでも「試合におけるチームへのサポートの仕方」に思いを馳せるきっかけとなるのでしたら、ラッキーですし、嬉しく思います。
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