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減らない私語 前に進まぬ議論

※これはノンフィクションで、実際に筆者のクラスで起きていることです。

高校生になって初めてクラス会議が開かれた。

議題は「私語をどうやって減らすか」

これまで授業中うるさいというのが原因で二人クラスメイトが転校をしているという事態が起きている。

一年生の頃は言葉にしていなかったが、多分担任の先生は諦めたのだろう。

転校する前、聴力が弱く、周りがうるさすぎると誰が何を言っているのか解らなくなってしまう、と訴えていた子がいたが、それを無視して騒ぐ、とんでもない輩が私のクラスにはいる。

本人に理由を聞けば

「自分はうるさい方が集中できる、誰も迷惑していない、迷惑をしてる人がいるなら自分の前に連れてこい、うるさいのが嫌なら通信に行け」

誇張表現でも無く、本当に言っていたのだ。

本当に、本当に。

私はこれらの発言を聞いた時、確かに自分が黒い衝動に駆られたの覚えている。

特に『誰も迷惑していない、迷惑してる人がいるなら自分の前に連れてこい』は私が迷惑だと思う人がいるから静かにした方が良い、と注意した時に言われた言葉だ。

友人として、注意したが、彼には響かなかったらしい。

これが静かに授業を受けたい人たちの心をどれだけ傷つけた事だろう。

ただ学級に行って、授業を静かに受けたい。

それだけなのに、なぜ迷惑しなければいけないのだろう。

それも二年間。

その人たちが何か悪い事をしただろうか?

何もしていないはずだ。

それなのに騒音という理不尽な暴力を受けなくてはいけない。

これがいかに辛いことか。

騒音では無いが、先ほどの少年に対しては、このような事もあった。

一人転校する際、伝言を残していったのである。

内容は

皆、今まで私に気を使ってくれてありがとう。
さようなら、どうかお元気で。

静かで、どこか皮肉を込めているような。

優雅な、最後の反撃。

もっと行動できていれば変わったのだろうか、と意識した伝言だった。

だが、華やかな一撃は、届かなかった。

この伝言を聞いた後、少年にどう思ったか聞くと、私は。

ああ、こいつは救いようがない人間だ。

と呆れてしまった。

眠くて何も聞いてなかった。

何が彼をこんな人間にしてしまったのだろう。

かわいそうに。

話を戻そう。

二年生になってからも授業中の私語は酷い。

それを改善するためにクラス会議は開かれた。

私は中学生の頃効果があった、授業前に特定の時間皆で静かにする。

という物を提案した。

これは実際に効果があったのだ。

候補として黒板に案が書かれる。

次々と心構え、提案が挙げられていく。

内職、人の迷惑にならないから寝る。

色々挙がったがこれと言った決め手になるものは出てこない。

それ以前に、授業中騒いでる者たちは改善する気がなく、真剣に参加しない。

そもそも、クラスの八割がそちら側の人間なのだ。

細かくわければ、八割の内の何人かが、良く喋り、そうでない人たちがそれに影響されて騒ぐ。

その中の良く喋る人たちは、今回の議論に参加せず、寝る。

本来であれば授業中騒ぐ輩はクラスで浮き、皆から白い目で見られるのであるが、そうでなく、授業中騒ぐ人間が多数派になってしまっている。

寧ろ私たちのような人間は少数派だ。

理不尽極まりない。

緊迫し、鉛のように空気が重たくなる。

その空気の中勇気ある発言が、授業を静かに受けたい少数派の一人から飛び出した。

「そもそも何で授業中に喋りたいの?」

哲学。

ふざけた台詞が多数派の誰かから飛び出た。

それに影響され、笑いがあちこちから溢れる。

普段ふざけた真似をしていると言うのに。

ふざけていないと死ぬ病にでもかかっているのか?

私は

「それを明らかにしない限りこの話は解決しないんじゃないかな?」

と後に続いた。

沈黙が訪れる。

授業中もこうなって欲しいものだ。

本来、会議というのは前に進むために行われるものである。

前に進むためのオールが無い船は風に身を委ねるだけだ。

それがこのクラス。

未来を見ずにその場しのぎだけで終わる。

小学生にも劣るかもしれない。

多数派が

「先に被っている提案まとめようよ!」

と言ってしまったため、各々が自分と向き合う時間は取られずに終わってしまった。

オマケに次の議題もある、ということで私が最初に提案した「黙る時間を儲ける」も行われずに終わった。

またクラス会議の時間を取り、その時にこの議題で話す、と担任が言ったので、また行われるのがせめてもの救いだろう。

そして変わらない八割を変えることができる一手を指さなければいけない。

これ程八割に時間を割いているのに、自分が恵まれているという自覚が無いんだろうな。

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