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パリで考えたこと

わたしはいつになっても自分のことが一番かわいそうなので、自分のかわいそうなエピソードを書きます。

日本に帰っていた間のことを綴った下書きはいつかまた別の機会に。
それよりもわたしはかわいそうな自分のことを書きたい。
わたしは自分のことが世界でいちばん不憫だから。

父親から連絡がきた。
前回も前々回も無視している。
なぜならそのさらに前に、あんたは人間でも親子でもないと言われたから。

人間でも親子でもないなら返事しなくていいよね???
文法的になんかおかしいし。わたしは単数なのでそもそも親子ではない。
いや原文はもっともっとおかしかった。
これだけ親の奇行書いといてなお自分の親がこれ書いたんですって晒すの恥ずかしいくらい彼の文はいつも支離滅裂だ。


もう脳がまとまらなくなってきた。
よくわからない。よくわからないけどわたしは多分悲しい。
悲しいのはまだ期待していたからなのか。
そういうのもわからない。


パリに行った。
知り合いとワインを飲んでいたら、母親が韓国人だと打ち明けられた。
打ち明けられたなんてそんな大げさなものではないかもしれないけれど、わたしの中にも差別感情に似たものがあるのか、あるいは少なくとも「韓国の血が入った人は差別を受ける(ことが多い)」という概念があるので、「打ち明けられた」と思った。

韓国人のほうが多い街で育ったそうだ。
母親は血の気が多くてよく殴られたそうだ。
お金がなくて、とはいえ高校は私立だったので飢え死にするほどではなかったけれど、まあ下に二人きょうだいがいたし、裕福でもなかったそうだ。
だから大学に行くのはやめたそうだ。

それを聞いて一番におもうのは、怒られそうだけど、それを承知で言うと、「羨ましい」だ。

わかりやすく目に見える敵のいることが、もうずっと、どうしようもなく、羨ましい。
そんな地域でそんな環境で育ったら何か問題があって当然で、誰かが気づいていて、何もできなくても知っていてくれていて、大変だよねって「大変」とか「あるべき姿ではない」を当たり前に受け入れてもらえて、運が良ければ支援が受けられて、受けられなくてもまあなんとか自分で生きるしかないから勝手に自立するじゃん。逃げ出せるじゃん。
透明化。第三項排除。

だから、貧困とか差別とかでわかりやすく辛い思いをして、誰にでもわかるような苦しみを背負った人たちのことが、ときどき、ひどく、憎らしくなる。

どっちがより辛いとか、そいういうのじゃない。
たださ、わたしが辛いって言っても、親ちゃんと働いてるじゃんとか家あるじゃんとか、そうやって全く取り合ってくれない人が圧倒的に多いんだよ。
信じてもらえないこともあるし、大丈夫だろって軽んじられる。

そもそも言うことだって憚られるよね。はたから見たら恵まれてるんだもん。
母親が自分の人生犠牲にしたと思うくらいにはわたし中心の生活をして、べつにめちゃくちゃ裕福ってわけでもないけど、まあ、わたし一人っ子だし、やりたいことはだいたいやってきた、くらいの家だけど。

貧困や差別のつらさは、あんまり、ほとんど、いや全くわかってないんだと思う。
お金ないと言いつつ食べるものはあるしパリにも行けるし服も時計も買っちゃうし。
コロナコロナ叫ばれて卵投げつけられても大したことじゃないんだよなって知ってる。

父親が母親の携帯の連絡先全部消してたのとか、泥酔すると脚が痛いから救急車呼べー呼んでくれー呼ばないなんてなんでだー俺が死んでもいいのかーって怒鳴りだすとか、遅く帰ったら往復ビンタされたのとか、けっこう忘れてた。
忘れてたくらいだから、日常に溶け込んでたんだなって感じ。

彼ももう定年らしい。
今月でなのか年末までなのか年度末までなのかよく知らない。
知っても何にもならないけど聞ける関係性にないことが悲しいし父親とそんな関係性なわたしはかわいそうだし母親のことはこんなひどい父親よりもっと無理って思うような家庭に生まれ落ちたわたしはもっともっとかわいそう。

夜に一人で帰宅してたら男の集団に追いかけられて卑猥な言葉浴びせられるし家から出たらレイプされるし助けてくれるのかなって思ってた人も無断で体触ってくるしなんで「遅くに一人で歩くな」とは言われるのに「他人に卑猥な言葉を投げてはいけません」とか「同意なしに性行為に及んではいけません」とか「ひとの体に無断で触ってはいけません」とかは教えてあげてくれないの?

そいういうの相談するどころか普通の会話さえしようと思えない両親のもとで育ったわたしは本当にかわいそうだしていうか普通にやばくない?
やばいけど外から見えないからさ、支援の手なんて伸びるわけないんだよね。
わたし、支援してもらえる18歳までは特に、親に似て外ではまあまあちゃんとやってたから。
優等生の心配なんて誰もしない。

だからこそ死んでやろっかなって思う。死ねないけど。
全然死ねないけど、お前らまじで全員ウゼーんだよって、中学生みたいな気持ちで、死んじゃおっかなって、飛び降りられたらかっこいーのになって、7歳くらいからずっと同じこと思ってる。

23区内で習い事して私立通ってどこに行くにも車の送り迎えで育っても人は自殺するんだぞって知らしめたい。
まあけっこう救急車乗ったし入院もしたし、少しはわかってもらえただろうか。

エンデまじで生きててすごい。死ねないだけだけど。
そういう気持ちで今日はずっとGreen Day聴いてた。
今日はひとしきり泣いて、好きな本を読んだら、明日は行ったことない公園まで自転車漕ごうね。

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