小さき者へ/重松清(その3)

二つ目のお話。フイッチのイッチ、いきます。

初めて読んだときから、ずっと頭に残っているフレーズがある。
冒頭の「『ふてぶてしい』も、べつに太ってる奴にしかつかえない言葉ってわけじゃないんだ」というところ。
うっっっっわー。ってなりました。うっっっっわー。って。
私も山野朋美みたいに体はちっちゃくて声もか細くて、でも時折態度がとっても大きくなる、ろくでもない子どもだったから。今でもTPOにあわせて態度は変えますけどね。

このお話のなかで主人公は難しい言葉を見聞きすると、その言葉を「どっちにしても漢字では書けない」言葉だと表現する。
ほんと、それ、な。なんとなく聞いたことあったりなかったりでそんなにしっかり意味を把握できてるわけじゃない、そんな言葉のこと、なんて言ったらいいかわからない方、これからは「漢字では書けない」って言ったらいいんじゃないですかね。無教養だとか批判する人もいるかもしれませんが、素直に自分の知の限界を認めたりできるほうがすごいと思うし、そこからまた学べるんじゃないですかね。まあ漢字が書けないのも程度というものがありますけどね。
ちなみにですが私は書き順のめちゃくちゃな人が苦手です。

あとこの話で良いのは、主人公がトモと共謀して両親の仲を取り持とうとかしちゃって全部勘違いだったから失敗に終わって気まずくて……みたいなところですね。
泣かなかったから離婚したとか、泣くの忘れてたとか、勝手に泣きそうになっちゃうとか、なんかもう。
結局離婚するしないなんて、子どもが関与できる範疇にないのかなあ、とか。
うちの両親は私が物心ついた頃から、いや、つく前から、離婚するする詐欺で。するっていいながらしないし、しようともしてないし、私はなかなか不安定に過ごしました。私がいなければ二人とも幸せだったのかななんて思ったり。

結局離婚は夫婦二人の問題なのかな。
どうにも無理って思いながら我慢して結婚生活続けるよりは潔く別れちゃった方が子どもも楽だよとか思ってたけど、意外ともっと複雑かもなあ。主人公が羨ましいと思ったこともあるし、ていうか今でもちょっとそう思う。
トモだって、今は寂しくて不幸のど真ん中って気持ちかもしれないけど、親が離婚してなかったら将来もっと不幸になってたかもしれないし、もう、こればっかりはわからん。

結婚も離婚もなかなか難しいし、子育ては大変そうだし、ほんとうに良く生きるってすっごくすごい仕事。
みんな、よくがんばってるね。よく生きてるよ。すごい。すごいよ。

他にもいいフレーズやら措辞やらはあるけれど、紹介しきれないので良かったら読んでください。
次の「小さき者へ」は表題作だし、私はかなりかなりかなりかなり好きなので、ほんとうにお勧めです。






台風がきているのでお洗濯ができない週末でしたね。
今日は手羽元をオーブンでローストチキンにしました。半分はカレー風味です。そしてわかめスープ付き!

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