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30過ぎてからの親との関係

私は30を過ぎた。夫に加え、自分の子どもも生まれてみると、ああ本当に私は自分の家庭を持ったんだなぁと実感する。

例えば夫とレストランに入る時、これまでは「2名さまですね」と言われていたのに、まだ生まれて数ヶ月だけど赤子を連れていると「3名さまですね」と言われる。ああこの子も赤ちゃんだしまだレストランでは何も食べないけれど1人の子どもとしてカウントしてもらってるんだなぁ、私たちってもう2人じゃないんだな、と実感する瞬間だ。

私は、両親とも家族だし、夫と子どもとも家族だ。まあみんなで家族なんだけど、また別の世帯という意味では新しい家庭を築いたわけだ。

両親は完全に超健康というわけではないけれど、元気だ。私は一人っ子なので、数ヶ月前に生まれた我が子は、彼らにとっての初孫になるわけで。ものすごく喜んで、溺愛して可愛がってくれた。産後1ヶ月は実家で両親にお世話になった。新生児という未確認生命物体みたいだった我が子を前にアタフタしていた私にとって、かつて子育てをした経験のある2人が近くにいてくれることはものすごく、心強かった。

母がある日、やたらと年季の入ったノートを押入れから出してきた。「これ、私の30年前の育児日誌よ」。そこにはかつて、私と同じくらいの年だった母が、この世に生まれたばかりだった私を前に、初めての育児に奮闘する様子が記されていた。私が夜ぜんぜん寝てくれないだとか、今日初めて笑っただとか、首がすわったかもしれないだとか。寝顔がかわいいだとかたまに父親に対する愚痴もあったり。

涙が出てくるもんだ。母の愛を感じた。

当時、私はと言うと新生児を前にして、戸惑っていた。赤子はなんで泣いてるか分からないし、何をしても泣き止んでくれない。一歩間違えればポキっと折れてしまいそうな小さな体。とても可愛いけど、反面こわい。そんな気持ちで、母もかつて私に向き合ってくれてたんだな、と。だから私はいま健康に生きてられるんだ、と。

人は、子を産み育てることで、2回目の人生をなぞるように経験するとはよく聞く。それは自分自身もだし、もはや私の親なんて、今回孫が生まれたことで3回目の人生をなぞっているような感覚なのでは無いだろうか?

親に感謝したい。いざ自分が子を持って、改めて心からそう感じた。

そして同時に、自分の人生を全うして楽しく幸せに生きたいと思った。私が我が子に願うことはただそれだけだから、私の親もきっと同じようにそう思ってくれてるのでは無いだろうか?

もう30を越えた私が心に決めたことが2つある。
まず1つは、両親が私を健康に豊かに育ててくれたこと、今元気でいてくれることに心から感謝すること、伝えること。
もう1つは、両親とはまた別の家庭を持つ母として妻として、幸せな家庭を大切に維持すること。新しい役割を持つ自分が、夫と子と共にハッピーに生きられる道を選ぶこと。

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