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「思い通りにいかない村」 vol.42

コミュニティメディアが機能すれば、サイハテ村の認知度は飛躍的に上がり「ヒト、モノ、カネ」の流通量が多くなります。自己啓発系の人に言わせたら、情報発信力を上げれば自己実現力が上がると言ったところでしょうか。


簡単に説明すると、フォロワー〇〇万人のように情報発信力の高い芸能人や著名人が「音楽ツアーしたい」「サウナ村作りたい」と言えば、その想いは万人に行き渡り、望むべき未来がつくられていく。


逆になんの情報発信力もない人が「オーロラ見たい」「車が欲しい」と、いくら呟いた所で願望は願望のまま、現実になることはほとんどありません。

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つまり、影響力のある人というのは、他人に対して影響を及ぼし、自分の未来に影響を与えられる力を持っているというわけです。


SAIHATE Mediaを作ったのも、サイハテ村の情報発信力を上げることで、「家を作りたい」「パワーショベルが欲しい」と、言った願望を現実にすることができるようになると考えたからです。


動機が不純だと思われるかもしれませんが、 自分たちの力だけで村づくりをしていたらやることが多すぎて途方に暮れてしまうです。

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それに、これは人を騙すとかではなく、モノやヒトが繋がる機会を増幅させて現実化を早める、人類が昔から扱ってきたチカラの一つなのです。


現代でもあらゆる個人や会社が、この影響力というチカラを使っていますが、どうしたらサイハテ村もチカラを手に入れることができるかを考え、他では真似できないような 〝コミュニティメディア〟を作ったのでした。


しかし、思い通りにはいかないのがサイハテ村。住人一人一人にアカウントを用意し、サイト上でもプロフィールやSNSなどの紐付けもして、個々の発信力を掛け合わせる装置を作ったものの、ほとんどの住人が記事を書かなかったのです。

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もちろん、SAIHATE Mediaにどう記事を書くか、LIGで培ったライティングや編集力も使い一人一人に説明したり、このコミュニティメディアが機能すれば、住人たちの作品やスキルをマネタイズ化することも可能になることも力説したのですが、結局は情報発信に強い工藤シンクと僕のふたりのメディアになってしまったのです。


なぜ、こんな結果になってしまったのか、住人たちのヒアリングを通して分かったのは、記事を書くことが思っている以上に、他の住人たちにとってハードルが高かったこと。


Facebookに投稿するのでさえ一時間もかかる住人からしたら、文章を書くのは苦痛でしかなかったわけです。それに、SNSのように簡単な操作で投稿できるわけでもなく、ライターとしての最低限の知識や技術も必要でした。

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もちろん時間をかけて学べば、将来の経済的余裕にも繋がることも理解はしてくれましたが、未来の数十万円より今日の数千円を選択しなければいけないほど、懐具合いがギリギリな住人からしたら、未来に投資する余裕はありませんでした。


この失敗で気付いたのは、ビジョンとスピード感の差です。村づくりをライフワークとしてサイハテ村に移住した僕は、村づくりに対する熱意から、ハイペースで物事を進めてきましたが、それぞれの住人がどんな想いでここに住み、未来を想い、今を生きようとしているかを、あまり知らなかったのです。


一般的なチームや会社などの組織からしたら驚かれると思いますが、組織的にサイハテ村を運営しているわけではなく、それぞれが〝お好きにどうぞ〟で村づくりしたらどうなるのか?を実践していたので、意図的に足並みをあわせなかった所はありますが、改めて「サイハテ村をどんな場所にしたいか」を聞いてみることにしました。

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2017年当時住んでいた住人たちの答えは、「発見と創造が活発な村」「平和な村」「ユーモアたっぷりの可愛い村」「刺激的で面白い村」「楽園感のあるリゾート村」「幻想的な村」「悩みがなくなる答えのような村」「自然環境と調和のとれたエコな村」「様々な世代や価値観が集まり暮らす多様な村」「アーティストやクリエイターの聖地」「住み心地のいい村」などなど、ベクトル的には似通った方向性は持てているものの、かなり抽象的なビジョンであり、それがまた個性を尊重するサイハテらしさでもありました。


ただ、懸念することはスピード感、つまり熱意の差です。それぞれが同じくらいのスピードでビジョンに向かって進んでいけばバランスがいいのですが、例えば5年後に辿り着きたいと動いている人と、20年後に辿り着けばいいかなくらいに思っている人では、 活動の質も量も全く変わっていきます。

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そして、もう一つがパワーの分散です。同じゴールに向かって一致団結するなら、パワーは無駄なくチカラを発揮してくれますが、同時にいくつもの目標に向かって動き出すのはパワーが分散してしまい非効率になるのです。

実際ほとんどの住人が、抽象的でもどんな村にしたいかはあっても、収入を生み出す経済活動に忙殺され、ビジョンに近づいていくための創造的な活動どころか、村の機能を維持するための草むしりや掃除と言った作業まで手が回らない状況が多々起きるようになりました。


コミュニティマネージャーならビジョンや理念を明確にし、役割分担を徹底させて、マネジメントしようよ、と言われると思いますが、当時は一人ひとりが問題にぶつかり何を感じ、どんな乗り越え方をするのか、それがコミュニティにどう影響するのかを知りたいので、観察していたのですが、しびれを切らしたのがウチの嫁でした。


次回は、vol.43「サイハテインカム制度の導入」です。フォロー、スキ、シェアしてくれると励みにります!^ ^


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