文化圏によるおもてなしの違い ― 「くっつく」か?「ほっとく」か?

今回は、国の性格タイプによる おもてなしの違いを書いてみます。

日本は、エニアグラムのタイプ6の国民性だと言われています。
タイプ6は、安心・安全・安定がとても大事です。
逆に、安心・安全・安定が損なわれると不安になります。タイプ6は「心配性」「怖がり」だとも言われています。

そんな、タイプ6にとっての親切とは「気配り」・・・つまり「安心・安全・安定の提供」です。

一般に、人というのは、自分がして欲しいことを相手にもします。

ですが、エニアグラムにはタイプ6の他にも8つのタイプがあります。
タイプが違えば、性格も違います。つまり、国により国民性にも違いが出ます。
ですから、「自分がして欲しいこと」にも当然ながら違いが出ます。

今回は、これらを踏まえて以下の文章をお読みください。

大丈夫な理科系の対談。
第6回 数えきれないカルチャーギャップ
(2000/08/31 内田俊一x糸井重里 ほぼ日刊イトイ新聞)

より

内田:
みんな日本人と同じだと思ってつきあってたの。
で、大失敗を重ねてね。

糸井:
重ねましたか。

内田:
重ねましたね。
日本人と同じ気配りをするだろうとかね。
アジアだけじゃなくヨーロッパでも。
例えばね、一番典型的なのは、
人のもてなし方の違い。

大学にいたとき、
先生の大事なお客さんが羽田に来るから、
お前接待しなさいと言われることがよくあった。
すると我々はね、その方が不自由ないように
ベッドに寝るまで傍にくっついて、
いろいろ何かご用がないか聞かにゃあならんと。
次の日は、ちゃんと朝お迎えに伺いますから
と言って、なるべく早めに行って、
私は待ってますので出発の準備ができたら
いつでもどうぞとか。
そのほか退屈しないように話し相手するとか。
密着型の接待をしないといけないと思ってますよね。
アメリカに長く住んでいる中国人の先生に
ある時、教えられたんだけど
日本ではそういう風にやるのが良いんだろうけど
幸か不幸かお前のやり方は、外国では・・・・・・

糸井:
うるさい、と。

内田:
くっついていられるとイヤなんだと。
私の場合、離れろなんて言う人いなかったけどね、
紳士だから。

今度は私が逆の立場で接待されて
ご招待されるときに、何されたかっていうと、
You must be tired. (「お疲れのことと思います」)だと。
だから、あなた一人にしてあげるからね、
明日何時に迎えに来るからね、
さようならって帰っちゃうわけですよ。
ちょっと、町の中くらい案内してくれたっていいのにとか、
このホテルの中広いんだけど どの飯屋が一番うまいかとか、
教えてくれたらいいじゃないか、とか
思うじゃないですか。
明日何時から講演するのかとかね。
何にもしないで帰っちゃうの。

(中略)

日本流を期待してるから
不慣れな土地で泣き喚くわけですよ。
明日何時にどこ行きゃいいんだ、とか。
朝一番の講演だから会場を前に見ておきたいとか、
いろいろ言おうと思ってたことがあったのに
誰もいなくて心細くなって。
いくら電話かけてもね、着くのが土日で、
大体月曜日からっていうのが多いじゃない。
で、全然ケアしてくれないでしょ。
こりゃ酷いやつに呼ばれたなと思ったら、
そうじゃなかった。

中国人の先生に招待された時は
中国人の先生は日本人的にくっついてくれるわけ。
だから、その時に質問したらそうなんだよと。
中国とか日本の文化は、密着型で、
リスペクト(尊敬)してるというのを
常に脇くっついていることで
表現しなきゃいけないんだけれど
個人主義の国では、他人は
いつもコンペティター(競争相手)であるから、
緊張感が生じるんだって。
独りになってるということが
一番、リラックスできる状態なんだっていうから、
日本人なんかそんなことしたら
寂しくてたまんないって言ったわけで・・・。

東京オリンピック誘致で「おもてなし」という言葉が取り上げられていた時分に、私は、今回引用した話を思い出していました。
「文化によるズレが起きなければいいけどなあ」と思いながらニュースを見ていました。

「おもてなし」にも国民性が出るものです。


それで、引用文に関してなのですが、
まず、中国の性格タイプは、言及しないでおきます。

アメリカについては、
タイプ3で、西欧の子だから、西欧文化の影響を受けているでしょう。
タイプ3は、そのグループの中での優等生(一番)を目指しますから、西欧グループの優等生として、その文化の中で行動するでしょう。
また、成功を求めるタイプ3で、かつハートセンターの国だから、仕事モードと家庭モードで違いが出るはずです。

個人主義の国は、ドイツ・イギリス・フランスあたりまでなら分かるのですが、その他の国の性格タイプは分かりません(というか今のところ調べようともしていないので・・ )。
引用した話の中では、「個人主義の国」と、十把一絡げに雑にまとめていますが、私からすると、個人主義の国の中でも性格タイプは異なるので、全てがコンペティターでも無いと見ています。

単に一人が好きなホーナイの遊離型の場合もあるでしょう。

今回と同じような「外国に行ったら、放っておかれた」という話を聞くことはあります。
ですが彼らにとっては、それは「自分がして欲しいこと」であり、当然あなたにとっても「して欲しいこと」と思っての“親切”なのです。
そして、彼らからすれば、日本のタイプ6的な価値観など、理解不能であり想像すらできないものなのです。

異文化コミュニケーション ≒ 異性格タイプ コミュニケーション
です。

難しいです。

ですが、エニアグラムが分かると、微かに理解ができます。

参考
コミュニケーションのやり方は多数決で決まるので
ドイツ・イギリス・フランスの性格タイプはこの文章の中で書きました。

「するほう」と「されるほう」の問題

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