日本型組織の長所と短所(『三菱自動車・益子CEO、「燃費不正事件」を語る』を読んで)
エニアグラムから見ると、日本はタイプ6社会と言われています。
タイプ6とは、安心・安全・安定を大切にする性格で、安心・安全・安定を損ねないように、今あることからはみ出すことを嫌います。同様に、安心・安全・安定であるように、周りに合わせ、横並び、没個性、金太郎飴となります。
また、組織や役所というものは、タイプ6的だとも説明されています。
組織維持のために、ルール重視、前例主義となります。
タイプ6は集団主義でもあります。
2017/08/21の日経ビジネスオンラインの記事
『三菱自動車・益子CEO、「燃費不正事件」を語る(池松由香)』
がおもしろかったので、
これを使って、日本型組織の長所と短所を見てみたいと思います。
まずは長所から
会社というのは面白いもので、問題の原因が自分の中にではなく外にある場合、ものすごい力を発揮します。
私自身も実際に体験してみて分かったことですが、リーマンショックや東日本大震災、タイの洪水、円高……。この10年間で本当にたくさんの危機に直面してきましたが、いずれも一致団結して乗り越えることができました。タイの洪水では部品メーカーの協力もあって、ものすごい力を発揮してくれましたし、東日本大震災の時は「工場を止めるな」と私が言ったら、早期復旧して稼働させてくれました。
タイプ6は、集団主義です。
タイプ6は、自分にとっての、安心・安全・安定を、自ら解決しようとはせずに、何らかの集団に所属することで解決しようとします。そして、所属した集団の維持に励みます。
ここに書かれているのは、所属する集団の危機に対して、自らも含めて、皆で、逃げ出さずに、その危機に対処しようとするタイプ6の姿です。
これはタイプ6の長所だと言えます。
それと、もうひとつの特徴として、これらの事件が「突発的」だったことがあげられます。
タイプ6は急激な変化は、ストレスです。蜂の巣をつついたような状態になります。
この場合は、そんな状態になっている集団に対して、リーダーが「工場を止めるな」という方向性を示せたのが、良かったのだと思います。
タイプ6自身は、判断や決断が苦手です。それは、自ら安心・安全・安定の枠をはみ出す行為だからです。こういったときに、リーダーが目標設定を適切にできるのならば、タイプ6集団は、リーダーの元、一致団結できます。
つぎに短所の部分の引用です。
でも会社というものは、自分で自分の問題を解決するのはものすごく弱い。「今、自分が変わるために何をしたらいいか?」という内なる問い掛けに対しては、なかなか答えを見つけられないものなのです。
今回の燃費不正問題は、外的要因ではありません。自分自身の問題です。そのため、「自分たちで変わろうよ」と強力なリーダーシップを発揮してくれる人が現場から何人も出てくる、なんてことにはならない。しかも燃費不正問題の場合、根本的な原因は20数年前にまでさかのぼらないと見えてきませんでした。だから非常に複雑で根深かったのです。
タイプ6は、ヘッドセンター(思考センター)の否定点です。思考停止な性格タイプです。
問題があっても自ら考えることはしません。内発的道徳観も、もっていません。前例主義でもあります。
ですから表面化していない危機や、将来の懸念に対しての対応が苦手なものとなります。
おかしいと思っても、前例を踏襲します。
さらには、レベルの低いタイプ6は組織の問題点を見ようとはしなくなります。
参考
『タイプ6国民、日本人の思考停止』
『日本の道徳観』 ※ 内発的道徳観の説明
『通常のタイプ6(これで近頃の日本を説明する)』 ※レベルの低いタイプ6の説明
『【エニアグラム用語】否定点とは?』
その結果、次のような社員の態度になります。
社内調査で私自身、(燃費不正を起こした)何人もの社員にインタビューをしました。そこで「ああ、そうか」と思ったのは、ある社員にこう言われた時です。「益子さんは、先輩から『これ(燃費の測定方法)はこういうふうにやるんだぞ』と言われて、『それは本当に法規に適合したやり方ですか?間違ってないですか?』と指摘できますか?」と。
「となり百姓」という言葉があるそうです。なんでも、となりを見て農業をする百姓のことだそうです。自分で判断をしない思考停止な態度ですね。これが、工業社会になっても、続いていて、ただただ言われたことを思考停止で行なう社員の態度につながっているのです。この態度は、タイプ6の社員もそのほうが楽ですし、組織としての会社も、社員がはみ出た行動を取らないほうが組織の維持管理が楽なので、双方がこういった態度をよしとします。
参考
『タイプ6国民、日本人の思考停止』
『農耕民族なタイプ6の性格が日本の高度成長期を支えました(そして、今は・・・)』
『議論を回避する日本』
『ネガティブ、ポジティブ、日米の違い』
この引用文の最後には、
社員には安心感ではなく危機感を持ってもらいたいと思っています。常に危機感を持って変わり続ける努力が大切です。
と書かれています。
が、これは無理です。
タイプ6は、危機感を持つのがストレスなタイプです。危機感とは、今ある安心・安全・安定が損なわれる可能性を常に意識することです。これにタイプ6は耐えられません。
言っていることには、私も賛成なのですが、タイプ6にとって、これはとてもとても高いハードルです。
こんな高いハードルを期待して、「安心」していると、また問題が起きるかも知れません。
参考
『『グーグル会長が語った「価値を生み企業を成長させる人材のたった2つの資質」とは』を読んで』
『学力の新観点「思考コード」がもたらすもの』
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