日本で企業問題が起きる理由

 ここでは、エニアグラムのタイプ6の国民性と言われる日本の企業で問題が起きる理由を説明します。

 理由は、2つあります。

 1つ目は、
安心・安全・安定が好きで、その反対の混沌を嫌うタイプ6の国民性が、混沌であり続けるものに対して、それを見ないことで“安心・安全・安定”感を得ようとする、その態度です。

 例えば、モリカケ問題をウンザリする気持ちがこれに当たります。
 行政は、関連文書を「破棄した」とか「見当たらない」とか、ごまかしています。

 これが完璧主義のタイプ1の国民性だったら、そんないい加減な態度は、憤怒で迎えられるでしょう。たぶん、タイプ1国家のドイツなどでは、そうなるのではないかと想像します。
 ですが、タイプ6の国民性の日本であれば、始めのうちこそ、その混沌は嫌われますが、その混沌が長く続くと、今度は、それを見ない動きに変わり始めます。

 これは、モリカケ問題だけではなく、
 例えば、標準的な日本人でも無く、模範的な日本人でもないヤクザが居続けられる理由ともなってきます。
 外国人は、なぜ、礼儀正しい日本人が、ヤクザを許すのか理解できないそうです。
 私なら「日本人は、あり続ける混沌には対応できないからだ」と外国人に説明します。

 ほかにも、日米地位協定の問題などの扱いなどもそうで、「押し付け憲法反対」と言っている人も、これには、どうやら関わろうとしていません。
 「では、これらの問題と言われているものに対して"諸手を挙げて賛成"なのですね」「反対していないということは、同意するという意味でよろしいですね」と言われれば、どう答えるのでしょうか? 

 今の日本において、問題が解決しない理由のひとつとして、「混沌に長く付き合えないタイプ6の国民性」があります。
 つらい話、難しい話、めんどくさい話など、つまりは、混沌とした話は、したくは無いのです。

 ですから、問題を認識しても "なあなあ" で済ます可能性が高くなります。

 これを読む人も、タイプ6の国民性に影響を受けていれば、ここまで書いてきた話は聞きたくは無いでしょう。

 そうやって、問題は、次世代、次世代へと、それが無視できなくなるまで、放って置かれます。そして、無視できなくなったころには、大抵、それらは手遅れか重症化、という事態になっているわけです。


 もう1つの理由は、「時間と共に市民権を得る」というものです。

 「なぜ、そうなのかは分からないけれども、まあ、あるのだからいいか」という扱いです。

 安心・安全・安定が好きなタイプ6日本人は、初めてのもの、知らないもの、未知のものに、警戒心を持ちます。
 これらのものは、安心・安全・安定を揺るがす可能性があるからです。

 ここでは、これらのものを、まとめて「未知」と呼びます。

 こういったタイプ6日本において、「未知」の反対の「既知」は、ほぼ無条件に受け入れられる傾向があります。
 いわゆる「前例主義」です。

 もうすでにあるものは、合理的な説明ができなくともタイプ6日本社会では、存在が許されます。

 それは、知らない間に、あり続けているものに対して、しばしば適応されます。

 例えば、日本においてのオタク文化などがそれにあたります。タイプ3アメリカで言うところのギークやナードな人たちの活動がそこそこできているのも、活動の場がいつの間にかあるので、これも「前例」として処理されているからです。
 安心・安全・安定が好きで、そのために、人と違うことを恐れて、空気を読んで、横並びになるタイプ6日本において、
それとは、真逆の独自の漫画文化や、コンピューターの文化が出てくる土壌が確保されているのは、こういった「前例」扱いになったからです。

 他にも、ある人物が変わり者であっても、学者という身分を持てば、その身分が「既知」となるので、日本人は受け入れます。

 日本人が、「正月の初詣は神社で、お盆はお寺にお墓参りで、(ときに結婚式は教会で、)クリスマスはサンタさんがやってきて」というのを何の疑問も無く受け入れているのも、それらが「既知」になっているからです。
 つまり、タイプ6の国民性は、日本人の宗教観にまで影響を与えています。

 これは、良い面と悪い面が両方あります。
 悪い法でも、悪い習慣でも、「いつの間にかある前例」や「既知のもの」であれば、それを変えられない傾向となるからです。

 日産自動車やスバルでは、無資格者が完成検査をしていた問題がありました。
 神戸製鋼所では、品質データの改ざん・捏造問題がありました。

 これらも、「いつの間にかある前例」や「既知のもの」で、それを変えられなかった可能性があります。

 そしてこれまでに問題を認識していた人も、一人ではなかなか変えるのが大変なその混沌を見ないことにしていた可能性があります。

タイプ6国民、日本人の思考停止』で引用した田原総一朗さんの言葉に、

思考停止大国、ニッポン 2012/8/1 出口汪X田原総一朗

 とにかく日本人は、自分の頭で考えることが嫌いなんだ。素晴らしい会社だと思うから、あえてトヨタについて言いたい。
 前社長がアメリカ市場に向けて、高級車レクサスの大量生産に2003年くらいから踏み切った。リーマンブラザーズの破綻は2008年ですが、3年前くらいからいずれそうなることはわかっていた。
 専務や常務はやがて来る事態を理解していたのにストップをかけなかった。「社長が大量生産しろ」と決めたから、ノーと言えない。ここが日本の弱さ。
 日本の企業は多かれ少なかれこうなんですよ。「それは違います」ということが言えないんですね。

というのがありました。

 また、
日本型組織の長所と短所(『三菱自動車・益子CEO、「燃費不正事件」を語る』を読んで)
の中で取り上げた2017/08/21の日経ビジネスオンラインの記事
三菱自動車・益子CEO、「燃費不正事件」を語る(池松由香)
の中にも、

社内調査で私自身、(燃費不正を起こした)何人もの社員にインタビューをしました。そこで「ああ、そうか」と思ったのは、ある社員にこう言われた時です。「益子さんは、先輩から『これ(燃費の測定方法)はこういうふうにやるんだぞ』と言われて、『それは本当に法規に適合したやり方ですか?間違ってないですか?』と指摘できますか?」と。

というのがありました。

 問題が起こる背景には、他にも、
出過ぎた杭には手が出せない日本』や『日本の道徳観』で取り上げたような理由があるのかも知れません。

 つまり、「出過ぎた杭に手を出せずに放っておいたり」だとか、
「安心・安全・安定が確保できて気がゆるんでいる場合や、
逆に、安心・安全・安定が確保できず、追い詰められると感じた場合に、
頼りにしていた法を、自分の都合良く改造をし始めたり無視し始めた」だとか・・。

 これらは、日本の国民性と結びついた問題なので、今後も、似たような話は出てくるものと思われます。



2017/11/24 文章訂正
余計な文字を消しました。
『日本型組織の長所と短所(『三菱自動車・益子CEO、「燃費不正事件」を語る』を読んで)

『日本型組織の長所と短所(『三菱自動車・益子CEO、「燃費不正事件」を語る』を読んで)』

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