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「生成AI開発で日本を元気に」松尾研発スタートアップの若手起業家が語る創業ストーリー

▼プロフィール
下野 祐太/Yuta Shimono
株式会社エムニ 代表取締役CEO
大阪府出身。京都大学工学部を卒業後、同大学大学院エネルギー科学研究科応用科学専攻へ進学。(株)松尾研究所にて製造業向けのAI社会実装に3年間従事し、IoTセンサーを活用した異常検知及び原因特定、外観検査の自動化、生産計画の最適化にPMとして取り組む。複数の有名テック企業にてプロジェクトを多数経験。ビジネス面では松尾研にてコンサル営業に1年間従事。株式会社エムニでは代表として経営を行う傍ら、自ら営業活動やデモ開発等のコーディング・マネージメント等幅広く業務を担当し、次々に大手企業とのプロジェクトを成功に導く。また多くのセミナー登壇やDream Japan Project審査員長に選出されるなど、個人としても活躍の場を広げる。



株式会社エムニとは


株式会社エムニの会社の事業内容について教えてください

私たちは京都大学かつ松尾研発のスタートアップとして、製造業を中心にAI技術の開発と導入支援を行っています。企業が直面する実際の課題に対し、クライアントのニーズに合わせて最適なソリューションを提供しています。

具体的には大きく3点に分かれていて、まず1点目がAIの導入支援です。
AIを活用していきたいとは考えていても、具体的にどういった活用ができるか分からないから一緒に探して欲しいというようなご要望に対し、ワークショップの実施や、アドバイザリーのような形でご支援しています。どのようなAIがクライアントにとって最適かを判断し、その導入プロセスからサポート可能です。
2点目がオーダーメイドAI開発です。ワークショップやアドバイザリーを通じて開発に移行した場合は、企業のご要望や課題に合わせた最適なAIモデル及びシステムの開発をしています。また、単に開発にとどまらず、クライアントのスタッフがAI技術を効果的に活用できるように、現場での実践的な側面までサポートしています。
3点目がセキュリティの担保されたチャットボットをご提供しており、プロダクトという形で導入させていただいています。


プロジェクトに取り組む上で、最も挑戦的あるいは困難を感じる部分は何ですか?

我々は普段、クライアントが取り組もうとしている課題に対し、AIによって実現可能なことをご提案をしています。AIを活用した解決策が理論上は機能するかもしれませんが、実際に現場でどれほどの精度が得られるかを正確に予測するという事は、実は非常に難しいんですね。
これは開発におけるAIの不確実性という部分にあたるのですが、このような不確実性をどのようにして減らし、クライアントにいかに確実な価値をご提供するかというところに我々は全力で取り組んでいます。

会社ミッション

当社では「AIで働く環境を幸せに、世界にワクワクを」というミッションを掲げています。実は前半部分を私が、後半部分はCOOの後藤さんの発案をそれぞれ組み合わせた形になっています。

「AIで働く環境を幸せに」という部分は、私が就職活動やインターンをしていた時から軸にしていたくらいずっと大切に持っている思いでもあります。松尾研究所でのインターンシップやエムニでの活動を通じて、多くの企業、職場で様々なAI開発をご支援してきました。
その中で成果が出て、クライアントに喜んでいただく事にとても喜びややりがいを感じて、私自身働くことが楽しいものだと捉えているんです。
ですがふと俯瞰して世間を見た時に、プライベートは楽しいもので、労働は楽しくないものであるといった二元論的な捉え方が多いのかなと感じています。もちろん、プライベートはプライベートで楽しいんですが、労働は労働でベクトルの違った楽しさを感じていたので、どちらかが楽しくてどちらかが楽しくないという分け方はもったいないなと感じるんですね。
ではなぜ労働が楽しくないのかというと、一つ挙げられるのは、社会に価値を提供していると感じられない事が関係すると考えています。自分の努力や成果で人に喜んでもらえる瞬間は、楽しさに直結する部分でもあると思うんです。

更にそこを感じにくくなっている要因は何なのかを考えた時に、クリエイティビティを発揮する業務ではなく、単純作業のような、誰にでもできる仕事に忙殺されている点が一つの原因になっていると思います。
もちろんそういった作業が社会を支えている側面もあるのですが、単純作業を一部AIがサポートしていく事により、人間にしかできないような創造性溢れる仕事に、より時間を使えるような環境を整えていくことが可能です。その先で、先ほどの働く環境を幸せにする事に繋がるんじゃないかと考えています。

後半の「世界にワクワクを」に関しても前半と通じるところではあるんですが、AIが将棋の世界チャンピオンを倒したというニュースは、彼(後藤氏)がこの世界に飛び込むきっかけでもあり、それほど衝撃的なものだったと思うんです。
このミッションには、AIを活用して世界に衝撃を与えられるような、ワクワクするような価値を届けられるような会社になりたい、というメッセージが込められています。

会社のチームで技育展出場し、ファイナリスト選出された際の様子


リーダーシップスタイル


下野さんは普段から謙虚で物腰柔らかでありながら、決めるところは決めるという印象があります。ご自身のリーダーシップスタイルとして、普段から意識されていることがあれば教えてください

リーダーシップスタイルとは少し違うかもしれないんですが、基本的に可能な限りリアクションをすぐに返すことは意識しています。リモートワーク前提の会社だからこそ、相手が待っている時間が長いと不安に繋がりかねないので、そこは意識している点ですね。
あとは、リモートワーク中心の会社なので、必然的に出社文化のある会社以上に文字で伝える情報量が多くなります。文字だけで伝えるとどうしても冷たく感じやすいので、語尾に絵文字など意図して入れるようにはしていますね。普段からお互いが緊張せず気軽にコミュニケーションが図れるよう、リーダーとして意識しています。

もちろん代表として意思決定が必要な場面では決めますが、そこは使い分けています。学生インターンに対しても、経験の差からくることはもちろんあるかもしれませんが、一人前だと感じたから一緒に働いているのであって、学生だからどうということはなく、皆対等なメンバーの一員だと思っていますね。


創業ストーリー


もともと京都大学のエネルギー科学専攻のご出身とお伺いしていますが、なぜAIに興味を持ったんですか?

元々はエネルギー問題に関心があり、京都大学の工学部地球工学科に入学しました。
特に再生可能エネルギーの活用など、日本の頸動脈でもあるエネルギー問題を解決し、日本を元気にするための事業に関わりたいと思っていました。
ただ学んでいるうちに、一人の力では解決できない大きな問題がいくつもあることに気が付きました。そして、ちょうどその頃、AIとディープラーニングがニュースで話題になっていたんです。それが非常に新しくて、この技術なら何か新しい解決策を提供できるかもしれないと可能性を感じ、学ぶことにしました。


創業メンバーの母校でもある京都大学正門前


実際に学び始めてどうでしたか?

大学でプログラミングを本格的に学び始めたのは二回生の時です。最初は情報系の学部ではなかったのですべてが新鮮で、とても楽しかったですね。
そこから夢中ではまっていって、大学四回生の時に松尾研に所属しだしてからも、プログラミングはずっと続けていました。

起業に対する意識を強く持つようになったのはいつ頃ですか?

直接のきっかけは、松尾研で発足された起業クエストに参加した時ですね。
私自身一期生なんですが、そのプログラムを通して先輩起業家の方の実際のオフィスで話を聞き、起業に必要な知識やどういう形でビジネスを進めるべきかのイメージが掴めたんです。
一期生として参加していた他の方々がすでに起業していたり、その境遇や経験に大きな差を感じなかったことも大きいです。つまり、私もそれなりに追いつけるかもしれないと感じてからはハードルが下がり、それからは起業という選択肢を、自分の人生で本格的に考えるようになりました。


元々はエネルギー分野で日本を良くしたいと思っていた、その根本にあるビジョンが変わらずあるからこそ、起業を通して日本の未来に貢献したいと考える今の下野さんがあるように感じます

そうですね、なぜかと言われると難しいんですけど、そこはずっと持っている思いですね。


登壇中の下野氏



起業への道のりにおいて、印象的なエピソードはありますか?

修士二回生の時に四人で起業した会社ですが、皆がそれぞれ就活も頑張って大手に内定もいただいていました。考えに考えた上で、私はこのまま会社を続けたいと何回もメンバーに話していたんですね。
そんな中、12月頃だったと思うんですけど、愛知県の祖母の家にいた時に後藤さんから、「一緒にやるわ」っていうLINEが突然届いて、すごく驚いた記憶があります。彼は普段全くそんな素振りを見せなかったので、ちょっとオーバーにテンションが上がりましたね。
話を聞くと、ある日大阪で三時間コンサルティングの仕事があった日の帰りの電車で、その日は皆とても疲れていたんですが、私は勉強のためにと本を読んでいたんですね。その姿勢が後藤さんに強い印象を与えたようで、後日、彼からその話を聞かされました。

起業してから今まで特に困難だった事や、不安に押し潰されそうになったエピソードがあれば教えてください

そうですね、私は少し楽観的なところがあって、実はあまりプレッシャーを感じないタイプなんです。今の事業形態も赤字に傾く可能性が小さいので、夜に眠れないというようなことはありません。

しかし困難な時期は確かにあって、さきほどの話とも通じるんですが、以前事業や会社の進退を含めて今後をどうしようかという話し合いを繰り返していた時期に、私だけ残ってエムニでやりたいと言い続けていたんです。当時他三人は全員抜けて就職するという回答だったので、それを一緒にやらないかと説得するという期間があって、その時期はなかなかきつかったですね。
ただそこで事業に関して一旦自社開発の方針をピボットして受託開発に切り替え、今の形にしたのが良かったと思っています。まだまだ結果論では語れないですが、そのような判断をしたからこそ、後藤さんと今も一緒にやれているので。
創業メンバーには心から感謝していて、4人でエムニという会社を始めて良かったなと、自慢できるような会社にしていきたいです。


仕事をしている上でやりがいを感じる瞬間を教えてください

セールスで言うと、やはりお客様に認められて、信頼を獲得できていると実感できるフィードバックを頂いた時には、とてもやりがいを感じます。

マネジメント部分で言うと、内部的な側面と外部的な側面に分かれます。まず外部的な面で言うと、成果物がでてきた段階で効果を実感していただけたり、お客様に喜んでいただけたりといった嬉しいフィードバックがあると、頑張ってよかったなと感じます。
内部的な面で言うと、メンバーの成長が感じられた時にとても嬉しく感じます。例えば半年以上継続しているプロジェクトの場合、当初は私の指示に基づいて手を動かしてくれていた学生インターン生が、今では自分でミーティングを回したり先方の対応を任せたりと、どんどん独り立ちをしていってくれているんです。一緒に働いてきたからこそ、メンバーの成長を肌で感じる瞬間は非常に嬉しいですね。

生成AIワークショップの様子


今後の展望


弊社は製造業×生成AIという領域に注力していて、製造業ならではの課題や、生成AIでどう解決できるのかという知見が溜まってきています。
企業のご相談やご支援をさせていただいたりと、今本当に多くのお声をいただく中で、共通した課題が見えてきているところでもあるので、出てきた課題を自社開発のような形でプロダクトに移行していくというのも選択肢としては考えています。ただ、今すぐではなく、その知見を蓄積していきながら、拡大を続けていきたいというのが今の考えですね。

会社としては、10月31日に設立記念日を迎えるので、全社会という形で何かイベントをしたいなとは考えています。普段プロジェクトに入ってしまうとチームメンバーとは協力していても、プロジェクト間での交流が少なかったりするので、何か全体で顔を合わせられるような機会を作っていきたいですね。

CEOから見たCOO後藤

一言で言うと、信頼できる相棒ですね。
困ったことがあったり悩む場面では、まず後藤さんにライトに相談ができる関係でもありますし、気兼ねなく頼ることができる存在です。
あとはメンバーからも思われているんじゃないかなというのが、彼はすごく面倒見がいいんですよね。私はどちらかというと自主性に任せて、懇切丁寧にサポートするというのがあまりできない性格でもあるので、彼のそういう部分はすごいなと感じます。まめにサポートしすぎて体を壊さないで欲しいですね。

下野さんにとって株式会社エムニとは?

一言でいうと、「幸せな働く環境」です。
弊社のミッションと通じるところでもあるんですが、自分達自身がミッションを体現していないと本末転倒だと思っています。
今本当に多くの素晴らしい方々の支えをいただいて、幸せに働かせてもらっているので、「幸せな働く環境」というのが一番しっくりくるなと思いました。

未来の仲間に向けて


未来の応募者へメッセージをお願いします

日の浅いスタートアップだからこそ裁量権が大きく、圧倒的に高いレベルで成長できる環境でもあると思います。そこを自分で掴み取っていくようにして働くことが好きな人であれば、一緒に成長しながら作っていける場所になるのではないかなと考えています。

これからさらに世界にワクワクを届けることができるような活動をしていきたいので、同じ思いの方はぜひ我々と一緒に働きましょう!



株式会社エムニでは、大きな挑戦に向かって我々のビジョンに共感し、共に成長してくれるメンバーを募集しています。

また、我々に少しでも関心を持っていただけた方は、公式X(Twitter)、Wantedlyも運用していますので、noteと合わせてお気軽にフォローお願いします。

一緒にAIと共働し、ワクワクした世界を実現させましょう!


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■会社概要

会社名:株式会社エムニ
代表取締役CEO:下野祐太
本社オフィス:〒113-0033東京都文京区本郷6丁目25-14 宗文館ビル3階
京都オフィス:〒606-8307京都市左京区吉田上阿達町17番地 地域経済牽引拠点3階
事業内容:オーダーメイドAI開発、セキュアチャット開発、生成AIワークショップ
企業理念:「AIで働く環境を幸せに、世界にワクワクを」
URL:https://www.emuniinc.jp/

【本件に関するお問合せ】
株式会社エムニ広報部 
担当 藤田 
Email:sayako.fujita@emuniinc.jp


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