地域での活動の経験を言語化することの大切さ　～ 尼崎市地域担当主事会の見学に行ってきました！

みなさん、こんにちは！
エンパブリックスタッフの渡邉です。

先月、尼崎市で定期的に行われている地域担当主事会の見学に行ってきました。
この研修会は、弊社代表の広石も講師として皆さんの学びを深めるお手伝いをしています。

"地域担当主事会"とは？

地域担当主事会とは、尼崎市内６地区の地域担当職員が集まる学習会です。
尼崎市では、近いようで遠い関係になりがちな市役所と地域が新しい関係を作っていくために、若手職員のみなさんを中心に「地域担当主事」として地域と密接にコミュニケーションが取れる現場へ配置する取り組みをおこなっています。

そして、そんな地域担当主事の皆さんが定期的に集まり、地域の情報共有やコミュニケーションしながら見えてきた気づきを持ち寄り、学びに変えていくのがこの勉強会です。

地域担当主事会で気づいたこと

◯ ワークシートの意味

今回の主事会では、地域での活動ふりかえりをチェックシート形式のワークシート(着眼点シート)を使用し、それをもとにペアでお互いの話を聞き合うワークを行いました。
最初のワークでは、
「チェック項目にどう答えれば良いかわからず、記入できなかった」
「チェックの視点は、自分の行動か、事業の進捗かと迷った」
など、ワークシートの使い方についてのコメントが挙げられていましたが、それを受けて講師からワークシートの意味について解説していくことで、

・ワークシートは解答用紙ではなく、自分がどんなところを自覚している/していないのかに気づくために使う
・ワークシートを通してコミュニケーションすることで、成果を出せる人の考え方・視点・スキルが見える化される
・ワークシートの項目を意識しながら行動し、試行錯誤することで自分なりに良い動き方を見つけていくことができる
・自分が経験したことをシートに落とし込み、繰り返して項目が洗練されていくことで、組織全体にとって大きな経験資本になる

など、ワークシートのポイントがたくさん見えてきました。

個別で行われているコミュニケーションは、個人の暗黙知としてプライベートなものになってしまいがちですが、みなさんの経験や知見がチェックシートとして可視化されて残っていくことで、市役所と地域の関係づくりを継続して進めていく上でのとても重要な財産になっていくと感じました。

◯ 「地域に関わる」を探求する

さらに、チェックシートを経て、みなさんそれぞれが地域で活動する中で感じていることやモヤモヤしていることを共有し、講師からもその気づきに対してコメントをしていきました。
毎日の業務の中でついつい埋もれてしまう小さな気づきを意味付けしていくことで、地域との関係性の作り方が改めて見えてくる時間でした。

《コメント例》
・地域で聞き取りをしてみたことで、自分が地域のことを全然知らないということに気づいた
→ 地域を知らないのではなく、相手が自分とは違う視点で地域のことが見えている人がいることに気づいたということ！

・何気ない会話の中から地域の課題を見つけるため、もっと顔を出して、会う回数を増やしていくことが必要だと感じた
→ 地域で違う人と出会うことで、地域の情報を多面的に見ることができるようになる！

また、一人ひとりの活動の中で見えてきたポイントを言語化し、共有しながら、みんなで地域との関わり方を探求していくこの会の姿勢が、主事の皆さん一人ひとりに限らず、その集合体としての市の地域に対する姿勢になっていくと考えると、この取り組みは本当に素晴らしいものだと感じました。

まとめ

素直に地域と関わること

地域との関わりづくりと聞くと、地域に長らく関わってきて情報やノウハウを持っているベテランの方が担当されているイメージがありましたが、
この地域担当主事会では、若手職員の方々が試行錯誤しながら、少しずつ地域との関係性を作っていくプロセスに寄り添いながら、丁寧に言語化を繰り返していきます。

主事の皆さんも積極的に「これはできたけどな〜！」「いやあそれは難しかった！」など、とても素直にお話しされていて、会の中でも何度かツッコミや笑いが起きる場面がとても印象的でした。
言語化となると、わかりやすい成功事例を持ち寄らなくちゃ！と肩肘を張ってしまう場合もありますが、自分が見たもの・感じたことを素直に話してみるということも一つのポイントだと学びました。

「行政にいると地域が怖くなる」という話も聞いたりしますが、現場に入っていろんな視点で地域を見てみる、そしてそれを誰かと共有して学びに変えていくことが、地域に対する「怖さ」を克服していくことにもつながっているのかもしれないと感じました。