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CXMに「感情データ」が超重要という話(#KARTE_CXC)

皆さん、こんにちは。広報の一瀬です^^
昨日は、CX(顧客体験)のビッグイベント、KARTE CX ConferenceのDay3に参加しました。

CX向上に取り組もうとされている方で、参加されていらっしゃらない皆さんにも是非役立ててもらいたい!と考え、弊社が登壇した内容を簡単にレポートいたします。

これを読んでいただければ、顧客体験を向上させ収益向上に繋げるための考え方や調査方法、分析手法が理解できます。

※お時間ある方は、フル講演映像もどうぞご覧ください!

・答えは顧客にあり!CXMの鍵となる「感情データ」とは?

今、お客様の情報というのは、さまざまな形で取得することが出来ます。お客様が何をどれくらいの頻度でいくら購入したかはもちろん、お客様の年代や性別など、このような購買データは、今多くの企業のマーケティング活動で活用されていることでしょう。

では、次のような情報は、どのくらい精度高く把握出来ているでしょうか。

・自社の何が愛され、不満に想われているのか?
・なぜ再購入されないのか?
・再購入してもらうには、どの体験を変えるべきなのか?

恐らく多くの企業が、このような情報をきちんと把握出来ていないのではないでしょうか。

私たちは、このようなお客様の心情に関するデータを「感情データ」と呼んでいます。感情データは、直接顧客から得た”フィードバックデータ”によって知り得た「気持ち」に関する顧客データの総称のことです。

購買データも、有益な顧客データのひとつです。しかしここに「感情データ」を掛け合わせることで、顧客の解像度をぐんと高めることが出来ます

顧客にとって重要な体験、そうではない体験を把握することが出来れば、的確に顧客体験を改善することが出来、また顧客体験を的確に改善し続ける事が出来れば、時代に即した体験を提供をし続けファンを生み出すことが出来ます。

以上のように、数値データ×感情データによって、顧客体験を解明・改善し、「顧客体験」の価値を最大化させファンを増やす手法をカスタマー・エクスペリエンス・マネジメント(CXM)と呼びます。

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・「感情データ」を取得するためには?

「感情データ」を把握する方法として、私たちはオンラインアンケート調査をおすすめしています。顧客に直接回答してもらい、その回答を分析するというシンプルな手法です。

しかし、シンプルであるが故に、実はとても奥深いものです。

まず、この調査はいわゆる「満足度調査」ではありません。
満足度調査とは、「あなたは●●にどれくらい満足していますか?」と聞いて5段階で回答してもらうと、いったような調査ですが、この調査結果からは、理想的な感情データは取得できません。

なぜなら、「満足度調査」では、顧客が「”心の満足”をしているか」を推し量ることが出来ないからです。(満足度調査と言っているのに「本当に満足をしているかが分からない調査」というのも、変な話なのですが…笑)

では、どんな調査をすれば良いのでしょうか?
この話に入る前に、まず「理想的な満足を得ている状態」とはどのような状態かということについて、少し考えてみます。

・「顧客満足」には、2種類ある?!

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「満足した」という概念について考えてみましょう。すると、満足には2種類あることが分かります。

一つ目は、「頭の満足」です。
これは、「安い」とか「近い」といった、合理的な基準や判断で満たされる満足です。「安いから買うけど、少しでも高くなったとたんにそのお店を利用しなくなる」、「近いから通っているけど、少しでも近くに別のお店が出来たらそっちへ流れてしまう」といったように、「頭の満足」は実に不安定な満足の状態です。

二つ目は、「心の満足」です。
これは、「信頼できる」、「好き」、「安心できる」といった、感情的な基準や判断で満たされる満足のことです。「少し高くてもこのサービスが好きだから買いたい」、「遠くても信頼できるから足を運びたい」といったように、心の満足とは、そのサービスや商品に対する熱量が高い、頭の満足には適わない満足の状態です。

冒頭で伝えた満足度調査は、この「頭の満足」の計測をする調査、と言い換えることが出来ます。
しかし私たちが今得るべきなのは「頭の満足」ではなく、「気持ちに関する感情データ」です。つまり、「心の満足」を計測するための調査を実施する必要があります。

・「心の満足」を明らかにする調査とは?

「感情データ」である「心の満足」を抽出するために適した調査があります。それは、NPS®を活用した調査です。

NPS®とは?
「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略。顧客ロイヤルティ(企業やブランドに対する愛着・信頼の度合い)を数値化する指標。

NPSは、「●●をどの程度親しい友人におすすめしたいと思いますか?」という1問だけで算出できるスコアです。NPS自体は、一般的なサーベイツールさえあれば、誰でも、簡単に算出することが可能です。

しかし、重要なのはNPSのスコアそのものではありません
重要なのはその背景にある顧客の心の満足や状態を知ることです。
そのため、NPSに最適化した、優れた質問設計をして、それを分析する必要があります。

・「心の満足」を測る!優れた質問の作り方とは?

心の満足を測る優れた質問を作るためには、まずサービスのカスタマージャーニーマップを作成します。

自社のカスタマージャーニーを想像しながら、皆さんも考えてみていただけると良いと思います。

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これは、某ECサイトのカスタマージャーニーマップです。
カスタマージャーニーマップの作り方は、まずこちらの図のように、大きなCXの塊から考えます。
この場合はECサイトなので、CXは左から、「サイト全体の印象」⇒「商品検索」⇒「商品詳細の確認」⇒「購入・購入後」といったようになります。

次に、大きなCXの塊を小さなCXに細分化していきます。
「サイト全体の印象」であれば、「全体的なサイトのデザイン」、「操作・同線の分かりやすさ」…といったように、書きだしていきます。

カスタマージャーニーが出来上がったら、次はいよいよNPS®に最適化したアンケート調査を作成していきます。

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まず、問1は、「あなたは●●をどれくらいすすめたいか」という、NPSを把握するための質問からはじめます。次に問2以降に、先ほどのカスタマージャーニーで明らかにした大きな塊のCXについて、質問を続けます。具体的には、問1で「おすすめ」の点数を付ける上で、それぞれの体験がいかに「影響したのか」というように、質問をしていきます。

更に「ややプラス(マイナス)に影響した」「プラス(マイナス)に影響した」と選択した体験については、更に深く要因を特定するための質問を続けることも可能です。大きな塊のCXの中に、小さく細分化したCXがあるので、より改善すべき体験の特定をしやすくしていくことが可能となります。

と、長くなってしまいましたが、以上のような調査が「感情データ」を収集するための優れた質問の作り方となります。

・「感情データ」を分析するには?

質の良い「感情データ」を得た後は、そのデータを様々な観点から分析することが重要です。

ここから先は、Emotion Tech独自の調査方法となってしまい申し訳ありませんが、分析における考え方だけでもご理解いただけますと、皆さんの分析にも役に立つかなと思っていますので、ご紹介します。

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上記は、先ほどの調査結果を「カスタマージャーニーマップ」に照らして落とし込んだ波形グラフです。当社では、集めた回答データを統計解析の手法で分析を行い、その結果をわかりやすくこのように表現しています。

まずこの図の見方ですが、上部は、左から右にかけて、CX(顧客体験)が並んでいます。そしてその下にあるグリーンの線は、「顧客にとって重要度」が、最も重要である体験を100とした時の相対的な数値を算出しています。※先ほどの質問の問2において、「ややプラス(マイナス)に影響した」「プラス(マイナス)に影響した」という概念と、その体験が顧客にとって重要か・重要でないかという概念が、ここの算出に繋がっています。

次に、現在満足しているのか、というのがこちらの赤の波線です。

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この波線はお客様が現状、そのCXに満足しているのか、していないか、を示しています。つまり、このグラフをみれば、お客様の期待値と現状値との差分があるCXを一目で特定することが出来るのです。

更に、これは顧客をまとめて調査した結果ですが、更に顧客を属性に分けてカスタマージャーニーマップを見ていくことも重要です。

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例えば、初めて利用する方にとっての重要な体験と、1度購入したことがある方にとっての重要な体験は異なります。
皆さんの事業戦略に合わせた攻め方を考える意味でも、仮説に合わせて様々なセグメントで顧客データを分析することが大事だと考えています。

おしまいに

ちょっと長くなってしまいましたが、顧客の「感情データ」を得るための、優れた質問設計と分析手法について説明させていただきました。

少しでも、皆さんのサービスが、より愛されるサービスに育っていくヒントになれば幸いです。何か質問がある場合には、いつでもEmotion Techに質問・ご連絡をお寄せください!^^


ネット・プロモーター® 、ネット・プロモーター・システム® 、ネット・プロモーター・スコア®及び、NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。


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